12/15版
静かな境内が戻って来ました。紅葉を求めて来られる方もまだおられますが、ぽつりぽつり。ツアーの集合時間を気にして忙しく歩く人もなく、必死に写真を撮る人もいません。つい数週間前の雑然とした雰囲気が、まるで嘘のようです。
でも、所々に何とか見るに堪える葉が残っていて、稀に今が盛りかと見間違えるほどの木もあります。そこに陽の光が当たった時には、ビックリするほどきれいな瞬間が現れます。 侘びた雰囲気の中に、日が照っている時だけ出現するある華やかさを求めて、境内を歩くのも楽しみなものです。 「あっ、あそこがきれい!」と急いで近づいて行っても、陰ってしまうとその輝きは色褪せてしまいます。まるで隠れんぼうか鬼ごっこです。 人だらけの時にはそんな‘遊び’もできません。今ならではの楽しみです。
「三脚禁止ですよ! 松葉杖と足で‘三脚’でしょ!」などと冷やかされながら歩くのも、大怪我をした今年ならではです。 落ち葉がいっぱい積もった時期の掃除は、とても爽快! ブロアで落ち葉を吹き飛ばして集め、大きな塊を作ります。落ち葉が意のままに飛んでいくのは、とても愉快です。意気消沈している人にはぜひともオススメしたい、達成感のある作業です。 例年は年内にほとんど終わる落ち葉回収作業ですが、今年は枝に着いたまま残っている枯葉が多いので、年を越すかも知れません。 枝に残った枯葉も、地面に落ちた葉もなくなる頃、冬色の境内が現れて、季節が推移したことを知らされます。 地 の 温 み 空 の ぬ く み の 落 葉 か な 吉田鴻司
これから春にかけて、山茶花や椿などが次々と咲いてきます。静かな季節の楽しみです。 野路菊も、ずっと咲き続けています。普通の小菊がずっと前に咲き終わっているのと比べると、ずいぶん‘長寿命’です。 野趣があって、それでいて可憐な野路菊。去年よりも今年、今年よりも来年と、どんどん増やしていって、そのうち秋から冬の境内を彩る‘見どころ’になっていくでしょう。 今年もあと半月。やり残したことを数え上げるよりも、今からでも出来ることをさっさと片付けた方てしまいたいものですが、一向に着手できません。まぁ、いいかな。落ち葉の中を歩き回る方が、ずっと気持ちがよさそうです。 我 が 生 は 淋 し か ら ず や 日 記 買 ふ 高浜虚子
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