12/10版 




         流れる時間がゆるやかになってきた境内    マウスを載せれば写真が変わります

 今年一番の冷え込みとなった今朝。京都市内でも初氷が観測されたとか。朝一番に境内に出ても、息が白く見えるわけでもなく、それほど寒いとは思わなかったのですが・・・カイロを貼っていたからかも。
 晴れたり曇ったりの1日でしたが、ここ数日の冷え込みで枯れたり縮れたりせずに残っていたもみじの葉の色は、とても澄んできました。日が照れば、それはもう美しい!
 そんな木がたくさんあるわけではありませんが、ところどころにあるのがかえってよくて、「あっ、あそこへ行ってみよう!」と誘われる気がします。
 人も、一時から比べるとずいぶん少なくなって、ゆったりと境内を散策できるまでになりました。次第に境内に静けさが戻ってきつつあります。


            静かできれい、言うことなし!       マウスを載せれば写真が変わります
 今年の紅葉は決してよくありませんでした。紅くなるのもずいぶん遅れましたし、紅くならずに枯れて縮れてしまった葉も例年以上に多かったです。
 今年の秋の気候は、気温が例年よりかなり高く、雨が多くて日照時間が少なかったようです。紅葉がよくないのも無理はありません。紅葉するには酷な気候でした。
 紅葉を見に来られる方はその時だけきれいだったらいいでしょうが、手入れをする側は、今から「来年はどういう手入れをしようか?」ということに腐心しています。施肥はどうするか? 害虫防除は? 紅くなるのを妨げる要因をどうしたら少なく出来るだろうか? そんな打ち合わせを植木屋さんとも始めています。
 そんな積み重ねがあっても、最終的には気候に左右されるのが紅葉。秋が近づいてくると、「どうか順調に冷え込んで」と願うばかり。今年もそんな循環がが終わろうとしています。
 「お疲れさま。冬の間、ゆっくり休んで、力を蓄えてください」ともみじに声を掛けてやりましょう。




       掃  く  落  葉   掃  か  ぬ  落  葉  も  庭  の  も  の          稲畑汀子






       ここは最後まで掃除をしない / 落ち葉も景色の涅槃の庭 マウスを載せると写真が変わります
 境内のあちこちには、集め始めた落ち葉の山が出来ています。落ち葉掃除はこれからが本番です。
 どこもかしこも一様に掃除をするのかというと、そうではありません。
 風情としてそのままにしておくところ、景観のため、あるいは濡れて滑ったりするのを防ぐなどの理由で、真っ先に掃除をするところ、手が回らないので放っておかれるところなどもあります。
 今日も職員さんから、「涅槃の庭はどうしましょう?」と相談されたので、「置いておきましょう」と答えました。別の職員さんは、「とにかく、溝をやらないと」と、溝に落ちた落ち葉を集めていました。

       落ち葉まみれになって寝てみたい / ‘取り残されたベンチ マウスを載せると写真が変わります
 掃除をしていると、落ち葉の下から踏まれてツルツル光るまでになった地面や、クチャクチャに踏まれてしまった彼岸花の葉なども顔を出します。
 「こんなところまで…」と思うような場所までお構いになしに‘侵入’されるので、その度に規制を強化しなければなりません。
 ‘常識’は通用せず、柵を設けたり、ロープを張ったりしないと、どんどん‘侵入’されます。柵を設けても越えて入ってくる人に注意すれば逆ギレされる。そんなことも珍しくなくなってしまいました。
 三脚禁止はようやく‘当たり前’になってきましたが、看板を立てても平気で使うのはだいたい年輩の人たち。マナーが悪いのもこの年代が筆頭です。
 紅葉期は柵や規制だらけ? だんだん窮屈な寺になっていきそう…。愚痴が多くなるのも、紅葉期につきものです。


        落ち葉の中の野路菊 / 真っ赤だよ! 鳥さんおいで! マウスを載せると写真が変わります
 ‘紅い’色ばかり見ている時、野路菊の‘白い’花を見るとホッとします。
 姫路でもらい受けた苗を挿し芽して増やし、初めて咲かせたのは去年。今年はずいぶん増やしましたが、かなりの数を根こそぎ盗られ、紅葉になってからは手折られたり、ガードがしてあるのに踏み倒されたりして、ダメージも大きかったです。
 来年はさらに株数を増やし、適地を選んで大きく育てる予定です。紅葉の中の白菊、いいですねぇ。
 寒くなるのにつれて、南天や千両などの実の‘赤’が、色鮮やかになってきました。とても美味しそうですから、これなら鳥も我先に食べに来るでしょう。
 来週は紅葉も終息し、落ち葉掃除のブロアの音が境内にこだましているでしょう。訪れる人もごく僅か。侘びた境内も楽しみです。
 寒さも本格化しそうです。風邪などお召しになりませんように。




      遠   ざ   か   る   人   と   思   ひ   つ   賀   状   書   く         八牧美喜子