11/20版 




       本堂脇の参道 / 濁っていますが、赤くなりました    マウスを載せれば写真が変わります

 今日も例によって‘想像更新’です。
 京都の人出は、昨日あたりから急に増え、駅も、バスも、人だらけ。月末までがピークです。
 境内の紅葉は、さほど冷え込む日はなかったものの急に進んだようで、感じ方にもよるでしょうが、もう「十分に見頃」だという方もおられます。
 まだ澄んだ色ではありませんが、真っ赤になったもみじもチラホラ。もみじなりに訪れる人に気を遣ったのか、紅葉する条件が揃ったわけでもないのに赤くなっています。お天気がよくて、陽の光さえさしてくれれば、‘実力’以上に人を魅了してくれるに違いありません。
 雨も降って木も潤っているでしょうから、後は厳しい冷え込みさえあれば、息を呑むような紅葉の景色を見られるかも知れません。


       境内一の紅葉、花の木(右) / まだらに紅い正面参道  マウスを載せれば写真が変わります
 「今、境内で一番きれいなのは、総門を入った右側の花の木だ」、そんな感想を何人かの人から聞きました。
 赤というよりは黄金色に輝く花の木。左側にも同じ花の木がありますが、そちらのことは誰もおっしゃいません。種類が多少違うのか、雌雄が異なっているのか、隣同士でもずいぶんと差をつけられたものです。
 境内には、他にも10本以上の花の木があります。代表的なのは、本堂前の井戸の横の木ですが、こちらは黄色くなっているだけで、今年はあまりパッとしません。他の花の木も、微妙に色合いが違っていて、この総門内の木には及びません。
 でも、そのうち「一番きれい」と言われる順番が回ってきて、たくさんの人がカメラを向けるようになるでしょう。1年間頑張って来て、ようやく‘晴れの舞台’を迎えるのですから、そうなって欲しいと願います。
 他のもみじでも同じです。木は木で精一杯過ごしてきましたし、こちらは肥料を施したり、害虫駆除や枯れ枝処理などをしたりして、ようやく迎えた紅葉の季節。どうか、きれいに色付いて欲しいと願うばかりです。




   紅   葉   山    い   ろ   ん   な   色   に   落   着   か   ず       岸田稚魚






       紅い木がポツリポツリ / まだ緑がちなの本堂裏     マウスを載せると写真が変わります
 本当に紅葉の美しい年は10年に1度程度だと思います。今年がそれに当たるかどうかは、まだわかりません。
 お寺の寺務所には、「紅葉はどうですか?」「いつ頃が見頃ですか?」という問い合わせの電話がひっきりなしにかかってきます。寺務所では、「もうそろそろ見頃ですよ」「ピークは今月末頃から12月はじめ頃でしょうか」と答えているに違いありません。毎年、それほど大きく変わるわけではありません。
 境内の紅葉は、先ず花の木から始まります。そして、本堂前〜本堂脇や正面参道〜本堂裏のもみじと進んで行きます。でも、中には回りと比べてずば抜けて紅葉が進んでいる木が所々にあります。木の個性ともいえますが、多くは弱っている木です。
 1年間世話をしてきた末に、いち早く真っ赤に、でも何となく元気そうではない赤い葉っぱを見ると、「来年、この木は大丈夫かなぁ」と心配になってきます。紅葉の季節は、木の‘体調’を診断する大事な時期でもあります。


        床机で紅葉を愛でながら / 静かな時間です  マウスを載せると写真が変わります
 紅葉の人出を見込んで、本堂前の茶所には御抹茶や甘酒のお店が出ています。また、自坊の吉祥院では‘かふぇ水琴窟’が開店しています。犬の散歩の人程度しかいない普段の境内では、こんなお店を出しても客は来られませんが、紅葉の時期だけは違います。近くに一服する場所が少ないので、結構重宝していただいているようです。
 ‘かふぇ水琴窟’は、こころの病にかかった人たちに働く喜びを感じてもらおうと数年前から始めたもので、今年は5つの施設で運用しています。
 庭の蹲に水琴窟の仕掛けがあり、水を流すと妙なる響きが聞こえて来ます。紅葉の中、そんな音に耳を澄ませていると、とても心が豊かになる気がします。
 どこへ行っても大混雑の紅葉期の京都。ちょっと喧噪を離れて、美味しいコーヒを召し上がれ!
 さぁ、紅葉は今からですよ!




      こ  の  ひ  と  と  添  う  て  よ  か  つ  た  夕  紅  葉          新井佐知子




写真をご提供くださったYoshi◇kiさんに深謝申し上げます。