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  吉田山から見た真如堂の伽藍 / まだ‘ややこしい’色の正面 マウスを載せれば写真が変わります

 夏日を思わせるような日が続き、今日もまた平年以上にあたたかい日でした。
 「これでは紅葉も進まないだろうなぁ…」と思いつつ、ボクが実際にこの目で境内を見たのは10日前。故あって、今は真如堂の近所の病院のベッドの上。
 「当分更新は無理だろうなぁ…紅葉を控えたこんな時期に…」と鐘の音を聞きながら思いを馳せていたら、データ通信装置を貸してくださる方がおられたり、「写真を撮ってきてあげます」と言ってくださったりで、思いがけなく更新をすることができるようになりました。
 今日の写真は‘借り物’、境内の様子はいろいろお話を伺った結果をまとめたものです。
 撮って来ていただいた写真を見て、「やはり、10日前とは少し違うなぁ」というのが第一印象です。以下、あたかも自分で見て来たかのように書き進んでいきます。
 総門から眺めた真如堂。門前の桜紅葉がとてもきれいでしたが、正面参道の石段下に立つと紅葉は進んでなく、ふと目を右側の吉祥院前にやると、時雨に濡れた石畳に落ち葉が敷き詰められて、とてもきれいでした。黄色く色付いているのは「ムクロジ」。風が吹く度にたくさんの葉を枝から離していました。
 少し進んだところにある銀杏の葉っぱは、緑に近い黄緑。樹下には、たくさんの実が落ちていて、職員らしき人がそれをバケツに集めていました。
 明日は立冬。晩秋の気配あふれる境内でした。

        また赤みを増した花の木 / 赤黒がちな本堂横    マウスを載せれば写真が変わります
 11月に入った途端、マスコミなどは「紅葉! 紅葉!」と言い出しましたが、京都の紅葉はまだまだです。
 境内のもみじはまだ全体的に緑がちで、所々に紅くなっている木がある程度。他に抜きん出て紅くなっているのは、ほとんどが‘不調’のサイン。健康な木の葉っぱはまだ緑がちです。
 そんな中、本堂前の「花の木」は天辺を赤く染めて、たくさんの葉を降らしていました。他の花の木も、もみじよりはずっと紅葉が進んでいます。境内で一番早く紅葉するのが、この‘花の木群’です。
 本堂の中では、5日から「十日十夜別時念仏会(お十夜)」が勤められています。10日間、鉦を叩きながらお念仏を唱えて、阿弥陀さまに報恩感謝する法要です。
 本堂から外の回向柱まで1本の白い綱が延び、本堂側のその先はご本尊の御手に繋がっていて、この綱を持って念ずれば、ご本尊に直接通じると言われます。15日には、僧衆や稚児が境内を練り歩きます。「お十夜」は真如堂最大の行事です。
 5日から始まったばかりなので、まだ鉦も本調子とはいかないようです。





       十  夜  鉦   ひ  た  す  ら  打  ち  て   揃  は  ざ  る        山田弘子






            まだほとんど緑の本堂裏     マウスを載せると写真が変わります
 本堂脇の緑は、少し赤黒い感じ。裏まで回ると、まだほとんどが緑色です。
 多くの人は白川通でバスを降り、東参道を上がって、本堂の裏側から入ってこられます。
 坂を上り詰めてたどり着いた本堂裏はまだ緑。本堂脇へ回っていくと心持ち緑が赤黒くなってきて、本堂前に来て花の木などの紅葉を見て、やっと「少し紅葉の走りだなぁ」という雰囲気を味わっていただけます。
 今日も比較的多くの参拝者がおられましたが、赤くなったところを探しては、「あー、あそこがきれいよ!」「ほら、こっちも!」「しばらく経てば、もっと綺麗よねぇ」などを話し合っておられました。
 紅葉のピーク時のきれいさは、今日話しておられた方誰一人も想像がつかないほど。まるで今とは別世界の、息を呑む美しさなのです。
 「しばらく経って」から、またお越しください。今年の紅葉のピークは12月に入ってからでしょうか?


     菊の咲く茶所前 / 紅葉!? ちょっと弱った木です  マウスを載せると写真が変わります
 茶所では、今日から御抹茶の接待が始まり、毛氈の赤や提灯が雰囲気を盛り上げています。
 自坊の吉祥院では、「かふぇ水琴窟」が9日から始まります。
 このカフェは、京都市内の心の病を持った人への働く場所を提供すると共に、紅葉を見に来られた方に、紅葉の境内で‘ほっこり’していただきたいという思いで、数年前から始めたものです。メニューはコーヒーと紅茶、ちょっとした焼き菓子程度ですが、なかなかの雰囲気ですよ! どうぞお越しください。12月初めまで、一応、無休(11:30〜3:30)で開いています。
 さぁ、紅葉のピークはまだまだですが、ゆっくり散策できるのは今のうち。どうぞお越しください。




       近  づ  き  て   遠  ざ  か  る  と  き   薄  紅  葉          稲畑汀子




写真をご提供くださったYoshi◇kiさんに深謝申し上げます。