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                 しびしび雨の境内       マウスを載せれば写真が変わります

 どんより曇りの中に、時折しびしびと雨の降る1日でした(「しびしび」は「しょぼしょぼ」の京都弁です)。
 朝の天気予報では、お昼頃から結構降って夕方にはあがり、一気に気温が下がると言っていましたが、ちょっとハズレ。朝は蒸し暑く、雨量も観測上ではわずか「1ミリ」。本当に傘が要る時間はわずかで、もう少し降ってくれてもいいのにと思うほどでした。
 9月も今日で終わり。残暑の厳しい、自然災害の多い月でした。台風がもたらした涼しさは、今日の雨でまた進み、季節はどんどん移ろっていくのでしょう。
 涼しくなった今日、「暑かったなぁ」ということは頭では覚えていますが、酷暑の感覚、体の感覚はもう忘れています。「これだから、人間は生きていられるのだなぁ」と、自分の忘れっぽさを正当化したりしています。


        青葉の向こうに秋が見える? / 野仏と花     マウスを載せれば写真が変わります
 先週あたりから、境内を訪れる人が増えてきています。お彼岸の墓参の人が多かったということもありますが、観光の人、散策をしている人が目に見えて増加しています。
 やはり、暑い盛りの間じっと外出を控えていた人たちが、涼しくなってきたのを契機に、一気に活動し始めたのでしょうか? 個人客然り、団体客然り。
 京都市内でも、修学旅行生の姿をたくさん見かけるようになりました。観光バスも多くなってきました。秋の観光シーズンが本格的に始まった感がします。
 でも、まだ今の季節はゆったりしていていいですねぇ。真如堂の拝観者が増えてきたといっても、まだ紅葉期のピークの2〜3%に過ぎません。本堂の前に座って境内を眺めたり、長い間、庭に対峙していたり、おしゃべりをしながら歩いたり。今の季節ならそういうことも可能です。
 今日の雨でまた秋が深まります。移ろう季節の兆しを探して歩くには、ちょうどよい頃かも知れません。




     物   の   音   散   り   あ   つ   ま   り   て   十   月   へ        黒川路子






            ‘深窓’の藤袴 / 露地で鍛えた藤袴       マウスを載せると写真が変わります
 昨日、出入りのお香屋さんが藤袴の鉢植えを持ってきてくださいました。
 藤袴は、以前は各地に広く自生していましたが、自生地が減少して近年は目にすることが少なくなり、京都府の絶滅寸前種、環境省の準絶滅危惧種に指定されています。企業として、稀少植物の保護育成活動に取り組んでおられるのです。「香り」を扱っているお香屋さんとしてはピッタリの植物です。
 境内に植えてある藤袴も、この鉢植えなどをもとに増やしたものですが、お伝えしているように今年は不調。さすがにお香屋さんは手のかけ方が違うと見えて、立派に育っています。
 本堂の前にはこの鉢植えが、拝観コースの中には真如堂で育成したものの鉢植えや地植えがご覧いただけます。
 乾燥させて香りを楽しむもので、生ではそれほど香りはしませんので、鼻をくっつけすぎないようにしてくださいね。


       雨になお枝垂れる萩 / 一足先の紅葉、花水木    マウスを載せると写真が変わります
 境内では、まだ彼岸花が咲いています。早く咲いた花はもうすっかり枯れていますが、遅いのは今が盛り。‘彼岸’花とはいうものの、ずいぶん個体差があるものです。
 萩が満開になってきました。今日の萩は小雨を受けて、なおさら枝垂れていました。
 萩の花を見に境内にお越しになった方もおられ、「ここは萩の名所ではないのですよ。‘萩の寺’というのがあっちにありますよ」と教えて差し上げました。
 自坊の庭の花水木の紅葉が、今日は雨に濡れてひときわ綺麗でした。実も真っ赤に色付き、その一角はずいぶん秋が深まっているように思えました。
 門の前の山法師の実も、ずいぶん赤くなってきました。本堂の裏の山茱萸の実は、まだまだらに赤い程度。これからです。
 マテバシイの実を拾ったり、枝付きの青いどんぐりが落ちていたり(カラスの仕業?)、毎日いろいろ楽しめます。
 日に日に深まる秋を満喫しに、10月の境内へもお越しください!




    ほ  ろ  ほ  ろ  と   む  か  ご  落  ち  け  り   秋  の  雨         小林一茶