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              大きく揺らぐ木々       マウスを載せれば写真が変わります

 昨夜から台風の風が強まり、時々、「ピュー」という風音が聞こえたりしています。
 いま、午後5時。台風は四国を横切って瀬戸内海に出ようというところです。
 昨夜と比べると、京都にどんどん接近してきているのですが、それほど風が強まってきている感じはありません。雨は時折降る程度で、今日これまでの降水量は2ミリだけ。大型の台風と聞いていただけに、少し拍子抜けです。
 気象レーダーで降水状況を見てみると、南から来た雨雲が鈴鹿山脈や紀伊山地にぶつかって、ほとんどの雨をその南側に降らしていました。京都の方には、雨雲らしい雨雲は来ていませんでした。
 間もなく、京都に最接近。拭き戻しの風が強いそうですから、まだまだ気は抜けません。
 今日会った何人かの人からは、「京都はひどい災害が来なくていい。さすが、都のあった場所だ」という趣旨の言葉を聞きました。京都は王城の地。かつて京都を都と定めたのには、天災が少ないということが理由にあったことは確かでしょう。


            伊勢湾台風の被害 本堂南西 / 正面参道   マウスを載せれば写真が変わります
 でも、京都も台風の大きな被害にあったことが幾度もあります。その一つが伊勢湾台風(1959)。
 真如堂に「風禍」という写真帖があります。そこにはモノクロの四つ切りサイズの写真が20枚ほど貼ってあります。
 伊勢湾台風の時の境内の被害の様子を写したものですが、驚くような光景ばかり。「たてかわ桜」もこの時に倒れました。「倒木だらけで、普通に歩けなかった」とも聞きます。
 それまでの境内は松の木が鬱蒼と生えていましたが、伊勢湾台風で多くが倒れたり折れたりして、その後の松食い虫の被害で枯れ、今ではわずかとなりました。その副産物として、紅葉が際立って来たのです。
 「天災は忘れた頃にやって来る」とよく言いますが、忘れるどころか、3月の東日本大震災で、その怖さは骨身にしてみています。
 境内の今回の台風被害は、木々の枝が折れたり、提灯や看板が飛ばされたり程度です。早く遠ざかり、少しでも被害が少ないように祈るばかりです。


        あー もったいない銀杏 / 吹き寄せられたおみくじ   マウスを載せると写真が変わります
 台風の影響は、他にもありました。一笑に付して済む程度のものです。
 銀杏の実がいっぱい落ちてしまいました。7月の台風の時にもたくさん落ちましたが、それにも増して今日は落ちていて、もう木の枝にはほとんど残っていないのではないかと思うほどです。
 熟して落ちてくるようになると、職員さんが拾って皮を剥き、本堂で少しお金をいただいてお分けしています。わずかながら職員さんのお小遣いになるのですが、今年はほとんどないかも知れません。かわいそう。
 ‘裏写真’は、ワイヤーに括り付けてあったおみくじが、右方向から吹いてきた風によって左側に寄せられたという、ただそれだけの写真です。はい。




      大  い  な  る  も  の  が  過  ぎ  ゆ  く  野  分  か  な          高浜虚子





     どんどん色が変わってくる花の木 / ひっそり咲く百日紅   マウスを載せると写真が変わります
 境内の木々の色も次第に変わって来ています。花の木の天辺などは、もう赤褐色になっています。気が早いですが、今年の紅葉はいかがでしょうね。
 この木も一番高く伸びた枝が枯れてしまい、すっかり樹形が悪くなってしまいました。往時の美しさを思い出します。
 台風の影響を調べるために境内を歩いていて、本堂の北側にほんのわずかに咲いている百日紅を見つけました。
 境内には百日紅が6本ほどありますが、今年はどの木も不調で、花もわずかしか咲きませんでした。百日紅には合わない気候だったのでしょう。
 ちなみに、本堂の破風のところにある網目は鳩除けではありません。「ドレンチャー」という防火設備で、類焼・延焼を防ぐために水を放水して建物の周りに水幕を張る設備です。


   今日は咲かなくてよかった酔芙蓉 / 屁糞葛も今の時期らしい花  マウスを載せると写真が変わります
 5日ほど前から酔芙蓉の花が咲き出しました。花色が朝は白く、昼頃にはピンクに、夕方には濃いピンクに変わっていく楽しい花です。
 今年、数株増やして補強しましたので、まだ小さい木ですが、これから境内の数か所でご覧になれるでしょう。
 昨日は2輪、一昨日は3輪咲いていたのに、今日はゼロ。風が強いことを察知して咲かなかったのでしょうか?
 茶所前のヘブンリーブルーは、結局、1株だけ生き残りました。でも、まだ1輪も咲いていません。
 急遽、種をいただいた他の朝顔を植えましたが、朝のわずかな時間咲くだけで、おとなしい色合いということもあって、とてもヘブンに代わるものではありません。
 ヘブンを見に来てくださる方も多く、本当に申し訳なく思っています。それにしても、何が原因で次々と枯れてしまったのか、いまだにわかりません。
 まだまだ残暑の日が続きます。夏の疲れも出てくる頃かも知れません。皆さん、どうかご自愛ください。




     う   す   う   す   と   刻   を   染   め   ゆ   く   酔   芙   蓉          岡田和子