8/12版
立秋を過ぎてから、最高気温が35度を越える日が続いています。
最近実感するのは、朝明るくなるのが遅くなったこと、そして夕方暮れるのが早くなったことです。確実に秋が近づいているのに、この暑さはどういうことでしょう! 朝早く、あるいは夕暮れ頃でも、墓地に人影が見られるのはお盆ならでは。早い人は少しでも涼しい6時頃から、遅い人は夜7時過ぎてからでも、墓参に来られます。 いくらお寺は朝が早いといっても、あさ6時ではまだ‘受け入れ体勢’整っていません。先日は、真っ暗になってから墓参に来られた方に、懐中電灯を貸して上げました。棚経でクタクタな身には、ちょっと辛い‘夜討ち朝駆け’です。 夜討ち朝駆けは人だけではなく、カラスもです。朝早くからカァーカァー大騒ぎ。夕暮れには寝床に帰るのか、本堂の屋根に勢揃い。墓参の多い時期は、お供え物を狙ってカラスも‘フル出勤’するのです。気味のいいものではありません。 朝夕、境内を一回りすると、季節が移ろっている気配を感じます。お盆が終わると、その思いはさらに強まるでしょう。 油 照 逃 げ 場 な き こ と 空 気 に も 宮津昭彦
夜になると、自坊では何とも芳しい香りが漂ってきます。 14日は満月。満月の光の下で咲く白粉花の香りを思いっきり吸い込みたいと、何となく今から楽しみにしています。 朝咲いて、夕方には萎んでいたのが朝鮮朝顔。曼陀羅華とも呼ばれますが、世界で初めて全身麻酔を用いた手術を成功させた華岡青洲が使ったのが、この実やトリカブトなどを主成分にした麻酔薬だとか。 曼陀羅華といえば、『阿弥陀経』に、「極楽国土では微妙な音楽が奏でられ、大地は黄金ででき、昼夜おのおの三度、天から曼陀羅華が降りそそいでいる」と記されています。極楽で降り注ぐ花というイメージとは少し違う気がしますが…。 暑い盛り、花を見るとホッとします。本当に有り難い存在です。 16日は五山の送り火です。送り火で岩手・陸前高田市の薪を燃やす計画をめぐり、二転三転して、結局、事の真相もよくわからないまま、嫌な思い、悲しい思いをする人が増えてしまった気がします。 たとえ薪は使えなくても、震災で犠牲になった人が安らかなることを願うのは、多くの人の共通した思いであることには違いありません。今年の送り火の回向は、皆さんのそんな思いを込めて拝みたいと思っています。 白 粉 花 の 闇 の 匂 ひ の た ち こ め し 深見けん二
|