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     蘂降る予備軍がいっぱいの梢 / 先週と違いますでしょう? マウスを載せれば写真が変わります

 「桜しべ降る」 この季語が好きです。
 桜の花が終わって1〜2週間ほどすると、残された赤い雄蘂や雌蘂が、萼ごと降るように落ちてきます。染井吉野は結実しませんから、花の数だけ蘂が降ることになります。
 もみじが赤い花を咲かせ、その花粕をたくさん落とすのと時を同じくしています。
 花の季節から新緑の季節へと移っていく、生きとし生けるものの動きが盛んで、毎日景色が変わっていく、そんな時期を連想させる季語です。
 言葉は好きなのですが、ちょっと掃除が大変な季節でもあります。地面は桜の萼ともみじの花粕だらけ。それだけではありません。
 今日も桜の木の下にある墓地で拝んでいたら、次から次へと桜の萼が頭を直撃。ボクの場合は滑っていきますが、墓参中の毛のある人は髪の毛に萼が付き、「かんざしが刺さっていますよ」とからかわれていました。
 屋根樋や排水管が萼と花粕で詰まって雨水が溢れたり、木の下に駐めた車は‘ゴミ’だらけになります。
 今日は蘂や花粕は降るし、雨も降るし・・・そんな「桜蘂降る」頃ですが、それでも大好きです。


     日々、新緑の季節へ / もみじの花も散り始めました   マウスを載せれば写真が変わります
 そんな赤い萼や花粕のため、また芽吹いて日の浅い葉っぱたちは黄緑色がかっているため、まだスッキリした新緑の景色にはなりきっていません。
 でも、芽吹いた葉っぱは完全に広がって面積を大きくし、色も日に日に若緑色になってきて、先週とはずいぶん違ってきました。春と初夏の間であることが、景色からも伺えます。
 奇妙に思われるかも知れませんが、今の時期は落ち葉の季節でもあります。樫や楠などの常緑樹も今は新しい葉を芽吹かせる時期。新しい葉が出るには古い葉が邪魔。そこで、新芽を吹くと同時に古い葉っぱが散らすのです。それも、毎日毎日大量に。掃除が大変です。
 一昨日と昨日の2日間の雨降りのお陰で、新しい葉っぱはたくさんの水分を補給できたでしょう。
 今日は眩しいほどの新緑が楽しめるかと思っていたのですが、朝の間は晴れ間があったものの、昼頃には強い雨と雷に見舞われました。スコールのように雨は上がって、2時過ぎ頃からは快晴。空模様に翻弄された日でした。  これからしばらくは上空に寒気が流れ込んで落ち着かない天気が続くとか。そうこうしながら、季節は初夏へと移っていくのですね。




      雨    に    色    交    へ    て    桜    蘂    降    れ    り        宮津昭彦





        鐘楼の桜 遠景 / 息苦しいほどに咲く八重桜  マウスを載せると写真が変わります
 鐘楼の周りでは、遅咲きの八重桜が満開になっています。
 正面参道を通るだけで、せっかくの桜に気付かない方が多いので、今日は「鐘楼の周りの八重桜が満開です」という小さな看板を出しました。
 下から見上げても圧巻ですし、鐘楼の基壇の上に登れば、花に包まれたような幸福感を味わっていただけます。
 同じ八重桜でも、元三大師堂の前付近では、白い花が咲いています。2本の葉化した雌蘂が白象の牙のように見えるというところから、「普賢象」という名前が付いている桜です。
 残念ながらこの桜が咲いていることに気が付く人は少ないのですが、鐘楼回りの八重桜「関山」のピンク色の花に比べて、普賢象はおとなしくて品があって、ボクは大好きです。上品なのがいい・・・。


      雨に濡れた自坊の庭と散り椿 / シャガと蔓日々草  マウスを載せると写真が変わります
 境内は百花繚乱の季節を迎えつつあります。
 椿、どうだんつつじ、馬酔木、山吹、白山吹、シャガなどがよく咲いています。
 自坊の庭の散り椿が、咲いてもよし、散ってもよし。花水木も咲いてきました。門前ではシャガや蔓日々草が咲いていますし、去年種を蒔いたレンゲも少し咲いてくれました。レンゲの上で寝転がってみた〜い!
 藤も咲き出しましたし、ツツジももうすぐ咲き出します。
 茶所の横の向井去来の句碑と建物の間に、見慣れない花が咲いています。「石楠花もどき」という不名誉な和名も付けられていますが、「ロドレイア」という中国南部〜ベトナム〜ビルマ原産のマンサク科の木で、日本ではまだ珍しい種類です。
 今の時期の花はみんな駆け足。毎日、様子を見に行かないと、気付かないうちに咲き始めています。「あの花は咲いているかな?」などと、境内を一巡りするのが楽しみな季節です。
 新緑と花の境内へお越しください。朝な夕なに、いろいろな景色が楽しめますよ!




     朝   寝   し   て    敗   者   に   似   た   る   思   ひ   あ   り        菅原けい