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               3月31日開花の染井吉野は3分咲ほど   マウスを載せれば写真が変わります

 昨日とは打って変わった肌寒い日になりました。昼過ぎまではどんより曇っていましたが、次第に青空が見えるようになって来ました。
 境内を歩いていると、頻繁に‘春の臭い’が漂ってくるようになりました。‘香り’ではなく‘臭い’と書いたのは、それが決して芳しいものではないからです。でも、「春が来たなぁ」と思わせてくれる臭い・・・土の中の微生物が活発に活動を始めた証の臭いです。
 「桜の樹の下には屍体が埋まっている! これは信じていいことなんだよ。何故って、桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか。」と記したのは梶井基次郎(『桜の樹の下には』)。
 ボクは臭いからも、「ひょっとしたらそうかも・・・」と感じることがあります。


               今が見頃の枝垂れ桜       マウスを載せれば写真が変わります
 境内の染井吉野も3月31日に開花しました。史上2番目に開花の早かった去年に比べるとずいぶん遅い気がするのか、「今年は遅いですねぇ」という声をよく聞きます。でも、今年も平年よりは2日ほど早く開花しているのですよ。
 その染井吉野よりも早く、境内で一番早く咲く桜は、三重塔脇の枝垂れ桜です。昨日のあたたかさで一気に満開近くにまで開きました。
 朝日の差す頃、日中、そして次第に日が落ちていく頃と、それぞれに違う美しい姿に、いつまでも見ていたい気がします。
 正面参道からは見えにくい位置にあるので、今日は「枝垂れ桜が開花しました」という立て札を出しました。
 花が開ききってしまうと、その色が薄くなってきます。今日・明日あたりが、咲き具合と色からみて最高かも知れません。お勧めの時間は、日が西に傾いてきた頃です。


    ベストビューポイントより見た縦皮桜 / 小降りで愛らしい花  マウスを載せると写真が変わります
 枝垂れ桜に1〜2日遅れて咲き出すのが「たてかわ桜」。樹皮の模様が普通の桜と違って縦に走るところからその名前がある、春日局お手植えの桜です。
 樹齢は350年以上ですが、伊勢湾台風で折れ、樹皮の一部から奇跡的に再生したので、まだ細い木です。
 枝垂れ桜もこの桜も、江戸彼岸系の種類です。下の写真をご覧になってください。萼の付け根の部分が丸く膨らんでいるのがおわかりになれますか? これが江戸彼岸の特徴の一つです。
 この桜を見るベストスポットは、桜の木の本堂と反対側。本堂をバックに桜を見るのが一番きれいです。
 ところが、それを解さない植木屋さんが10年以上前にその場所にもみじを植えてしまいました。せっかくの場所ですが、もみじを切るのも忍びないとずっと躊躇してきましたが、とうとうこの冬にボク自らそのもみじを根元から切りました。写真のような光景は初見参です!
 木の側に立てた説明書きにもベストスポットを紹介したものですから、今年は多くの人にこの光景を楽しんでいただいています。日の当たり具合によって刻々と変化していく縦皮桜の花は、本当に魅力的です。




      ま  さ  を  な  る  空  よ  り  し  だ  れ  ざ  く  ら  か  な        富安風生





            夕暮れ時の枝垂れ花 / 椿に西日照る      マウスを載せると写真が変わります
 今日は、枝垂れ桜とたてかわ桜ばかり撮っていて、他の写真がほとんどありません。
 染井吉野はまだ2〜3分咲。見頃は来週後半でしょうか。土日には少し散り始めている頃かも知れません。
 浄土宗宗祖法然上人800年大遠忌が、震災のために今秋や来春などに延期になったので、京都のホテルが一気に空きました。来週が狙い目かも知れませんよ!
 ボクは染井吉野にはあまり興味がないので、毎年、写真が少な目です。今年は記録のためにも、頑張って撮っておかなければと思っています。
 もみじの新芽も出始め、桜が終わる頃には新緑の季節が始まってくるでしょう。山吹の花も咲き始めました。馬酔木も満開。鐘楼の周りでは、まだ水仙がいっぱい咲いています。
 いよいよ春爛漫! ぜひとも、ゆっくり、のんびりとお越しください。





     さ  く  ら  さ  く  ら  今  宵  は  誰  を  連  れ  て  ゆ  く         黛まどか