3/12版 




                  春を待つ境内        マウスを載せれば写真が変わります

 東北地方太平洋沖地震を被災された方々に、心よりお見舞い申し上げます。
 眼を疑うような光景に、ただただ、一人でも多くの方のご無事を祈るばかりです。

 ここ数日、薄氷が張る寒い日が続いていますが、山がどんより霞んで見えるようすは春の盛りが間近なことを感じさせてくれます。
 一見すると、境内にそんなに大きな変化はありませんが、目をこらしてみると、木の芽が膨らんでいたり、花芽が大きくなったりと、そこかしこに春の訪れを感じます。
 大涅槃図のことがテレビや新聞で報じられてからは、拝観に訪れる人も平年の約50%増になっています。綺麗に修復された涅槃図を拝んでいただくのは、寺側としてもうれしい限りです。
 ただ、今日は土曜日にしたらかなり少な目でした。あれだけ未曾有な大災害が起きて、いまだに行方不明の人も多数おられる中、どこかへ出かけようという気などになれなくて当然でしょう。昨日来られた団体は、新幹線が止まって東京へ帰れなくなり、ツアコンの人が本堂から携帯電話でホテル手配に苦心されていたそうです。
 無事なことの有り難さをしみじみ思います。


    梅花バックに記念写真 / 大いなる本堂に馬酔木の小花  マウスを載せれば写真が変わります
 境内には梅の木が10本ほどありますが、名の付いたような品種ではなそうなのに、開花の時期がずいぶん違います。
 自坊の前の白梅は、2本とももう終盤。風が吹くと花吹雪になります。
 元三大師堂の前の白梅は、お堂の前に紅白の梅が揃い咲くようにと、職員さんが実生の苗を植えたものですが、まだ蕾が膨らんでもいません。ごく普通の白梅のように見えるのですが、かなりの晩熟です。
 墓地にも梅の木が2本並んであります。写真ではよくわかりませんが、右端に見える木のほうが少しピンクがかっています。
 梅の花を背に抱えて墓地を見渡し、三重塔や比叡山、境内の季節の移ろいも見ることができるお地蔵さまは、さぞかし気分もよろしかろう。少し代わっていただきたいものです。
 馬酔木もよく咲いて来ました。でも、あまり目立たないので、足を止めて見る人はほとんどおられません。せっかくですから、見てあげてくださいね。


   女性の名のほうがいいかも、侘助 / 来たる日の群生を夢に見て マウスを載せると写真が変わります
 境内の椿が次々と咲き出しています。でも、去年、多くの株を思い切って剪定したので、今年は花が少ない目。職員さんに、「去年切られたから、花が・・・」と責められています。でも、伸び放題では・・・
 自坊の胡蝶侘助がきれいに咲いてきました。猪口のような花の形、紅と白の色の取り合わせが何ともいえません。
 「侘助」という名は、文禄・慶長の役の時、侘助という人物が朝鮮半島から持ち帰ったからだとか、利休と同時代の茶人の名前だとか、諸説あるそうですが、何ともピッタリな名前のように思えます。ボクの大好きな花のひとつです。
 鐘楼堂の周りの水仙も、よく咲いて来ました。余った水仙の球根をどうしようかと考えた末、人に踏まれる可能性のない、邪魔にもならない、咲きそろったらきれいな斜面のこの場所に、去年植えました。
 今年は咲かないだろうと諦めていたのですが、もとあった場所が日当たりもよく、球根も肥えていたので、ほとんどが開花してくれそうです。
 いやぁ〜 いいわぁ。横から見てもいいですが、鐘楼の基壇の上から見下ろしても素敵です。来年、再来年と、もっともっと増えてくると、素晴らしい光景になること間違いなし! いいわぁ〜
 この場所もちょっと人目には付きにくいですが、ぜひともご覧になってみてください。




       春  待  や   生  き  の  び  し  人  の  息  づ  か  ひ           室生犀星