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                のどかな境内           マウスを載せれば写真が変わります

 20度近くまで気温のあがった昨日に比べると、今日の最高気温は13.1度とかなり低い目。それでも3月中旬並のあたたかさでした。青空が広がり、うららかな日差しにあふれ、どこかへお出かけしたくなるような日でした。
 そんな人が多かったのでしょう、朝から夕方まで、境内には人影が絶えませんでした。
 季節によって訪れる人の雰囲気が違うように思います。今は、ゆったりモード。せかせか歩いているような人はなく、紅葉期などとはまるで雰囲気が違い、実にのどかです。
 ‘何もない’季節は、特にこれといって目的のない人がブラブラと散歩され、穏やかな雰囲気になるのかも知れません。桜が咲き出すと、カメラを持った人が増えたり、賑やかな団体が加わったりと、また雰囲気が変わります。
 ボクもカメラと植木鋏やノコギリを持って境内へ。写真を撮りつつ、気になる枯れ枝を切ったり、花の付き具合を観察したり。日々の微妙な変化が楽しみな季節です。


  新聞を見て来られる人多し / 左下に珊瑚をくわえたクジラが   マウスを載せれば写真が変わります
 境内に人が多いのは、お天気がよかったからだけではありません。例年の2月末は、いくら好天に恵まれても、それほど人はお越しになりません。
 実は、例年3月から公開される大涅槃図が、今年は2年間にわたる修復を終えて、23日から公開されているのです。修復を終えた大涅槃図が帰って来たことが新聞やテレビで報道され、それをご覧になった方などがいち早く来てくださっているのです。
 1707年に製作されたこの大涅槃図も経年劣化により、傷みが激しくなり、穴が空いて向こう側の明かりが見えるほどにまでなりました。直すには莫大な費用がかかりますが、遅れれば遅れるほど修復には困難が伴いますし、費用もかさみます。そこで、一昨年の公開が終わった4月からこの2月までの2年間、巨費を投じて平成の大修復を行いました。
 今回の修復に伴って汚れや埃などが取り除かれ、とても色鮮やかになりました。欠損していた部分などは加筆や加色などをせずに、補強などだけに留めました。
 裏打ちの紙や軸木などをはずしてみて、新たに判ったことがありました。軸木には、「三井氏が涅槃図を描いて欲しいと厭求に依頼したところ、厭求は絵の具を調達してくれるならと言った。三井氏はそれに即応し、厭求は描くことを応諾した」ことなどが記されていました。また、完成してほとんど月日の経っていない1734年に修復し、さらに1897年に直していました。
 新聞の見出しに「クジラ・タコも釈迦の入滅嘆く 真如堂涅槃図の修復完了」などと書いてあったものですから、「クジラはどこですか?」とお尋ねになる拝観者も多いとか。
 本当に綺麗になりました。ぜひお参りください!




      梅   林   を   風   の   歩   幅   の   二   人   か   な          土谷 倫





     いち早く春色のもみじの枝 / 遠い木も次第に春の色へ    マウスを載せると写真が変わります
 陽の光の色も違ってきましたし、境内の様子も次第に春色を思わせるように変わって来ました。
 もみじの枝が赤みを増し、芽も少しずつ膨らんでいます。遠目に見ても、もみじやかえでの木の色が変わって来た気がします。根っこが既に活動を始めているのが、想像できそうです。
 案外、桜のほうが動きは控えめかも知れません。
 大手の気象予報会社の桜の開花予想が出そろいましたが、いずれも例年よりも早い目の予想。京都は平年よりも3日早い3月28日。今日の桜の蕾からは、あと1ヶ月ほどで咲くとは思えないような堅さでしたが、もうしばらくすると、一気に加速するのでしょう。そんな様子を見るのが楽しみです。



   光を灯した行燈のような馬酔木の花 / 陽を受ける水仙の花    マウスを載せると写真が変わります
 本堂の北側の馬酔木の花が見頃になってきました。まだ2〜3分咲ですが、どの木が咲いているのか探すのも面白いものです。
 水仙も日に日に花の数が増えていきます。球根を植えるというのは、そんなに時間がかからずに花が咲いたり成果が見られるのでいいものですね。木なら何年もかかります。数年後が本当に楽しみ! この季節に境内を歩くと、水仙の香りが漂ってくるようになるでしょう。
 自坊の前の梅は、もう満開を過ぎて花吹雪です。でも、大師堂前の紅梅・白梅はまだ蕾のまま。咲くまでにはしばらくかかりそうです。同じ梅でも、種類などによってこうも違うのかと思います。
 探さないとわかりませんが、正面参道の北側(本堂に向かって左側)の垣根では、銀木犀が小さな小さな花を咲かせています。貝塚伊吹の間に昨年補植した小苗ですが、白く小さな花が付いている株があります。小さいためか、まだ芳香を漂わすほどではありません。
 「探さないとわからない」「探してまでも見つけたい」というのが浅春の花かも知れません。今日はすみれがよく咲いているのを見つけました。これからはそんな‘発見’が増えていくでしょう。
 さぁ、皆さんも綺麗になった大涅槃図を御参拝に、小さなあなただけの春を見つけに、ぜひお越しください。




     尾  の  切  れ  し  凧  の  ご  と  く  に  二  月  終  ふ          有賀充惠