苦 沙 彌 (竹内純照) | ||||
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2011/1/1版
6時から行われる修正会を前に、雪明かりでいつもよりは少し明るい、けれどほとんど暗闇の境内を、凍った雪を踏みしめる自分の足音を聞きながら本堂に向かいました。雪が空の塵を抱き込んでくれたのか、澄んだ空に星がきらめく、とても幻想的な元旦の朝でした。 発達した低気圧に強い寒気が流れ込んだ大晦日、朝8時頃から雪が舞い始め、あっという間に境内は真っ白。京都市内ではこの冬初めての積雪でした。細かい雪はその後もやむ気配がなく、夕方には10センチ以上も積もりました。12月として過去3番目の記録だそうです。 雪のお陰で、いつもよりもいっそう気持ちの改まったお正月を迎えることが出来た気がします。
幸い、好天に恵まれて雪はどんどん溶けていきました。お参りの方の頭に木から落ちてきた雪が付いていることもありました。 例年は朝早くから来られる方々も、今日は午後から。午前中は雪の溶けるのを待っておられたようです。 大阪から京都へ入った途端に雪景色に変わること、大原では30センチほど積もっていたこと。昨日は雪のために途中で引き返した、タクシーがぜんぜん拾えない、雪による渋滞に巻き込まれたなど、話題は雪一色でした。 印象に残るに違いない、今年の元旦でした。 去 年 今 年 雪 夜 雪 片 か さ な り 降 る 斉藤美規
雪用のタイヤをはめている車がそう多くない京都市内では、雪の積もった坂道を登ってくることも難しく、墓参をされる方もわずか。まして夜ともなると、「こんな雪では危ないから、やめておこう」という人も多かったのでしょう。 例年は撞きに来る人が多くて、5〜6人で1回撞いていただくのが、今年は1人でもOKということもありました。108つの数を数える係の僧が人の列の長さを見ながら、列が延びてくると「3人以上でお願いします」、短くなると「2人でもいいですよ」などと融通をしていました。 かがり火や通路を照らす照明などに‘ライトアップ’された雪景色はこれまたきれい! 雪にはしゃぐ人もなく、‘雪中行軍’の困難を乗り越えた人たちだけが鐘を撞くことが出来る、静かな除夜でした。
「キュッ キュッ」と雪を踏みしめる感触は久しぶりで、何とも楽しいものです。でも、普通の靴で歩くにはちょっと雪深いですし、石畳の上は危険。 若い僧侶−もちろんボクもその中に含まれています、職員さんなどが7〜8人がかりで、正面参道〜本堂、鐘楼堂、書院などを結ぶ道の雪を除雪。僧の中には北海道出身の者もいましたが、「これぐらいの雪で、どうして大騒ぎするの?」という感じ。除雪をする腰つきは、さすがに他の者とは違っていました。 雪の上にはたくさんの枝が落ちていました。もみじの枯れ枝に雪が積もり、その重みで折れて落ちてきたのです。中には直径5センチ以上の大きな枝もありました。雪のお陰で枯れ枝の掃除が出来て大助かりです。
テレビでも金閣寺の絵に描いたような雪景色が写っていたりして、やはりとても季節感と魅力にあふれる景色に違いありません。 境内にはさっそく雪だるまや雪兎が作ってありました。兎は今年の干支。タイムリーですね! スノーボードで境内の坂道を滑っている子供たちもいました。駐車場はアイスバーン状態。車もスケートが出来そう!? 除夜の鐘、そして元旦の修正会と、大晦日の夜は3時間足らずしか眠れず、眠たい眠たい元旦です。たっぷり寝ることが、何よりのお年玉です。 今年も折々の境内の様子をお伝えしてまいります。境内に思いを馳せてご覧いただければ幸いです。 今年1年の皆さまのご多幸をお祈り申し上げます。 き の う よ り こ こ に こ う し て 雪 兎 宇多喜代子 |