12/18版
この寒さも長続きせず、次第に平年並み以上の気温になってくるとのこと。急な冷え込みは堪えます。 今日は曇りがちで、ほんのわずかに晴れたり、時に時雨れたり。冬らしい空模様でした。 すっかり人波の途絶えた境内は、静寂そのもの。やっといつもの境内に戻りましたが、紅葉期のあの喧噪が嘘のようです。 いつもの境内しかご存じない方が、紅葉の時期に来られると、本当にビックリされます。逆に、紅葉期しかご存じない方の中には、いつも境内が賑やかなのだと思っておられる方もおられ、「今だけですよ」と申し上げても、信じがたいというような表情をされます。 ある意味‘異常な’紅葉期が終わり、普段に戻った境内は、これから冬の休息へと向かいます。
大量の落ち葉はブロアで吹き集められて、境内の彼方此方で‘山’となっています。その‘山’を軽トラックで本堂の裏に運んで、とりあえず集積していきます。 集積された葉は、後日、近くの総合支援学校に運ばれて、畑の堆肥として鋤込まれたり、粉砕されて茸の培地として利用されます。 いまは、ブロアで吹いて山を作りつつ、集積場所に運ぶ作業がピークです。 落ち葉の下からはいろいろなものが出てきます。他寺のパンフレット、ティシュー、菓子のパッケージ、カイロ・・・。今日は眼鏡が出てきたようで、石のベンチの上に置かれていました。レンズは両眼とも外れ、フレームのそばに添えられていました。 何だか寂しげな光景ですが、「この持ち主はどんな人だろう? 落とされた時、落ち葉をかき分けて探されたのだろうな…」などと想像すると、何だか滑稽な景色が浮かんできます。 ‘強者ども’の夢の跡です。 地 の 温 み 空 の ぬ く み の 落 葉 か な 吉田鴻司
境内には、まだ赤い葉っぱの付いたもみじが何本か残っているのです。 ‘表’の写真は、総門前のもみじです。境内で一番葉が残っている木かも知れません。もちろん、色は往時と比べると褪せてしまっていますが、雑誌などがよくやっているように画像ソフトで彩度を上げる加工をすれば、ビックリするぐらいきれいに見えるでしょう。おっと、この写真は無修正ですよ! ‘裏’の写真は本堂裏です。万霊堂前の1本のもみじが、まだ紅い葉っぱをたくさんつけています。この木は、他のもみじが紅くなっている時に、まだ緑色でした。
あと数日でブロアで吹き集められてしまうでしょうから、ご覧になるのなら今しかありません。 これほど葉っぱが散らずに残っている木は他にはありませんが、たとえば鐘楼前や三重塔西側のもみじなどは残った葉に風情があって、冬の景色として十分楽しめます。紅葉ピーク時の圧倒的なもみじよりも、かえって趣があるかも知れません。 残っている紅い葉を求めて、人のいない境内をカサコソ落ち葉の音をさせながら散策するのは、実に楽しそう! オススメです!
こんなに魅力的な輝きに誘われたら、鳥たちもメロメロ? でも、まだ実が熟していないので、食べても美味しくないらしく、鳥たちはじっと我慢をしています。来月半ば頃になったら、一夜のうちにすっかり消えてなくなっているかも知れません。 お茶の木の花のフワフワとした黄色い雄蘂も綺麗ですし、柊が小さな白い花を付けています。自坊では、十月桜が花盛りです。 吉祥草の花もよく咲いていますが、葉に隠れて目立たないので、気がつく人は少ないでしょう。とても強健で繁殖力も強いので、グランドカバーや土留めにはもってこいです。 自坊の「『吉祥院』にふさわしい」といただいたのですが最初で、自坊では大繁殖し、最近は境内の彼方此方に活用しています。 山茶花、寒椿、椿なども咲く冬の境内には、散り遅れた紅葉だけではなく、いろいろな見どころがあります。あたたかくしてお越しください。 数 へ 日 や メ モ 一 つ 消 し 二 つ 足 し 大橋敦子 |