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境内の紅葉も終盤戦。今日もウイークデイにもかかわらず、たくさんの人がお越しになりました。 例年は白川通から東参道を上がった本堂の裏側から来る人が多いのですが、今年は人の流れが違います。JR東海のキャンペーンの影響で、南隣の金戒光明寺(黒谷)から歩いてくる人が多いのです。メディアの影響の大きさを痛感します。 紅葉期の観光客は、それ以外の時期の観光客とは少し‘質’が違うような気がします。普段の季節に真如堂に来られる方は、どちらかというと京都に詳しい人が多いようにも思いますが、今の時期は違います。ただの‘物見遊山’の人も多く、余計に境内が騒然としているような感じです。
境内には約350本のもみじ、カエデがありますが、場所によってかなり色付き具合が違います。 本堂前のもみじは、もうかなり散りました。一早く紅葉した「花の木」などの梢に残っている葉はわずかです。 いま、ピークを迎えているのは正面参道付近です。この辺りは、朝日が差してくる頃が特に綺麗です。塔の西の銀杏の葉が黄色くなるのも、今年は早かったような気がします。その回りの黄葉するもみじ群は、これからが見頃です。
一方、南側はいまひとつ色が冴えてきません。枯れたような葉が点在して、樹全体の発色を邪魔しています。近年、この場所はあまりよくないのです。調子の良くない紅葉を見ながら、「8年ぶりの紅葉の当たり年だという人もある今年でもダメかぁ…日当たりに問題があるのかなぁ…寒肥などの施し方を変えたらいいかなぁ…土壌改良などをしてみることも必要かも…」などと、いろいろ考えてしまいます。
まだ緑色の葉も残っていて、紅色と緑色のない交ぜになった景色は深みがあってきれいです。 本堂の南東は、夕方になると光りがあたるので、たくさんの人が写真を撮ろうと集まって来られます。 苔の上であろうと歩き回って踏みくちゃにされる光景は見るに堪えません。きっと、普段、花や木の世話をしたことがない人なのでしょうね。 そんな人たちに注意をしても、逆ギレされることが多々あります。この紅葉期も、そんな‘事件’がたくさんありました。 ただ、今までは「三脚使用禁止」の掲示をしてもそれ破って三脚を使う人が多かったのですが、今年はそんな人をほとんど見かけません。おそらく、京都の寺社で三脚が使えるところが稀になったから、持ち歩く人も減ったのでしょう。でも、一眼レフを持った人の多いこと! その中でも、一部の中高年のアマチュアカメラマンのマナーの悪さには、本当に閉口してしまいます。
いろいろな季節のページを見てみると、例えば冬は色彩に乏しく、グレーっぽい感じ。春は若葉色などと、季節によってページの色調が違います。 木々たちは、春から夏、夏から秋へと過ごしてきて、そして最後に冬を迎えてパッと赤や黄色に散っていく。何だか、とてもドラマチックで、いさぎよい最後ではないでしょうか。 紅葉もあと10日から2週間。そろそろ毎朝の落ち葉掃除が大変になりつつあります。 風に揉まれ、雨に打たれ、そして今年のあの酷暑の夏を過ごしてきたもみじたちの最後の晴れ姿、どうぞ見てやってください。 歩 き ま は れ ば た ま し ひ 揺 ら ぐ 紅 葉 山 本郷をさむ |