8/16版
ボクは3日から続いたお盆の棚経が終わったものの、足腰はガタガタ、喉は不調で、心底疲れ果ててしまいましたが、今日のこの日が終わらないことにはお盆が終わったことにはなりません。 今夜は、真如堂の精霊送り灯ろう供養会。本堂で法要をすると共に、本堂前に「大」の字型に灯ろうを並べて、精霊をお送りします。 灯ろうや中に入れる燭台、重りの煉瓦などの準備は、午前中にすべて整いました。 午後、職員さんが挟みを持って、灯ろうを並べる白砂の上を行ったり来たりしています。何をしているのでしょう? 犬の糞の大掃除をしているのです。糞掃除はほぼ毎日していますが、今日は念には念を入れて。いくら注意をしても看板を立てても、糞の始末をしない人が後を絶たないのです。
実は、この形になったのは3年前から。それまでは本堂脇の池に灯ろうを浮かべていたのですが、あまり栄えないので、いろいろ考えた末に今の形に改めたのでした。 「大」に並べ灯ろうは100。五山の「大」の火床の数を参考に、一画目、二画目、三画目の数を割り出して、並べていきます。 普通に「大」の字に並べたのでは、本堂からはそれらしく見えないので、かなりデフォルメされた字形に並べます。 初回からその役を担っている職員さんがまず竹の棒で「大」を書き、その上に煉瓦を並べていきます。本堂の上から見ている職員さんが、「そこはもっと右!」などと指示をして修正。曇っているといっても、午後2時半。白砂の上は暑かったぁ〜。 実は、3時以降の降水確率は50%。しかも、大雨かも知れないとの予報。空を眺めたり、気象レーダーの画像を見ながら、「晴天バージョンで大丈夫!」と判断。雨の場合は本堂の軒下に並べる予定でした。 6時前、ゴロゴロという遠雷の音を気にしながら、灯ろうを並べ始めました。 今年は灯ろうの申し込みが多く、「大」に入らない人の灯ろう約30基は正面参道の石段に並べました。外灯のスイッチを切ったり、車止めを設置したり、どの位置に誰の灯ろうが並べてあるかという一覧表も掲示。準備はすべて整いました。
空模様はますます怪しくなってきましたが、レーダーでは京都市内に雨雲はかかっていません。降ったとしても通り雨。きっと大丈夫! ボクも作務衣から法衣に着替えて、本堂へ。マイクで、お勤めがあることを申し上げると、本堂の中にたくさんの人が入ってこられました。JR東海の会員限定オリジナルイベントの参加者30人も参列。いよいよ点火です。 盆 三 日 あ ま り 短 か し 帰 る 刻 角川源義
本堂の中では精霊送りの読経が始まり、参列者は次々とお焼香をして、本堂前の「大」のほうへと向かわれました。 今日の蒸し暑さは格別。‘滝のような汗’とはこのことかと思うほどの汗をかきました。 読経の最後に、献灯者のお名前と回向する精霊の読み上げをして、8時に法要を終えました。 ややもすると‘イベント’になってしまいがちな送り火。ご先祖を送るための行事だということを、真如堂では少しでもお伝えできたのではないかと思います。
しばらくすると、また人が戻って来られました。「大」が下火になってきたのでしょう。 「今年はなんか早かったなぁ−」と言いながら戻ってこられた方がおられましたが、実は大文字山にも目立つナラ枯れの木に「大」の火が飛び火すると大変だということで、松割木が2割減らされたそうです。こんなところにもナラ枯れの影響が及んでしまいました。 以前は真如堂から五山の送り火すべてを見ることがかろうじてできましたが、いま、‘楽に’見えるのは「大」のみ。「左大文字」は墓所から、「妙法」の「法」は真如山荘などからは見えますが、その他の送り火は境内を走り回った上に、ごく限られたスポットからしか見えないので、「見える」とは言えません。ネットの書き込みなどを鵜呑みにされませんように。 8時半、灯ろうの火を消し、精霊送り灯ろう供養会のすべてが終わりました。今年のお盆も終わりました。 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 ・・・・ 送 り 火 を 焚 き て 戻 り て ま た 老 う る 猿橋統流子 |