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おまけに今日は午後から冷たい雨。春真っ盛りのはずなのに・・・。 境内は新緑の季節を迎えています。 寒さのせいか、桜の花がまだ散り切りませんし、もみじの新しい葉も開いていいものか躊躇している感じですが、境内の‘色’は鮮やかな新緑に取って代わられました。 つい数週間前まで、幹や枝などを露わにしていた木々たちが、あっという間に新しく芽生えてきた葉っぱに包まれ、やわらかい形へと変貌しました。 「春ってすごいなぁ」「自然って不思議だなぁ」と、毎年新たに感心する季節です。
昨日は出ていなかった芽が今日は出ていたり、いつの間にこんなに咲いたのだろうと思うほど花が咲いていたり、「這えば立て、立てば歩めの…」という言葉がありますが、毎日何かが‘プラス’されているのです。秋は逆。一葉落ち、また一葉散り、そして最後には木の‘形’だけが残ります。 こんな自然の様子を見て、あるいは周りの人たちが新しい生活を始めるのを見て、「自分も何かしなければ」と焦って辛くなる人が多くなるのも春です。 考えてみれば、植物たちは12月頃にすべての葉を落としてから実に4ヶ月もの間、じっと息を凝らして力を蓄え、この春の日を待ちかねていたのです。だからこそ、こんなに爆発的に芽吹き、花を咲かせることが出来るのだと思います。 春はすごい、春の植物はすごい・・・。 春 雨 や 人 の 言 葉 に 嘘 多 き 吉岡 実
ごく身近な木のもみじですが、もみじに花が咲くことをご存じない方も多いようです。 赤い花が梢に付いているため、今はもみじもスッキリとした新緑色には見えません。赤と新緑の混じった、複雑な色合いです。でも、それがいかにも春という気がします。 地面の苔の間などからは、無数の芽が出ています。 もみじの花はすぐに結実し、やがて実を落とします。それが、春を迎えて芽を出し始めたのです。その数は、境内全域ではいったいどれほどになるでしょう。何万、何十万、何百万? ほとんどは枯れ、あるいは草引きの時に引かれ、やがてほとんど消えていきます。毎年毎年そういうことが繰り返されていく。生きるということは、何と厳しいことなのでしょう。 芽吹きの時は、そんな過酷な営みを内包しています。
鐘楼の周りでは八重桜が咲き出しました。「関山」という種類でしょう。その他にも、一重の少し大きめの花を咲かせる桜があり、咲き始めています。「大山桜」でしょうか? 鐘楼の基壇に登ってご覧になると、息苦しいほどの咲き方に圧倒されそうになります。 清楚な花を咲かせているのは、白山吹。山吹といっても黄色い山吹とは種類が違い、山吹は5弁花で、白山吹は4弁花の小低木。 「これは何という花ですか?」とよく尋ねられる、人気の高い花です。 他にも、 桜の時期はどこへ行っても大混雑でしたが、ようやく静けさが戻って来ました。静かに春を楽しむにはうってつけの季節でしょう・・・あたたかい日が早く戻って来てくれますように。 騒 が し き 世 を お し 祓 っ て 遅 桜 小林一茶 |