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       新緑にはまだ遠い境内 / 染井吉野は満開   マウスを載せれば写真が変わります
 今週も寒い1週間でした。
 29日の夕方は、風に向かって歩くと体の前が真っ白になるぐらいの吹雪でした。30日の朝には、京都を取り巻く山々が麓まで白くなり、境内の建物の屋根には1センチ弱の雪が積もりました。氷の張った日も数日あり、一時のあたたかさがまるで嘘のようでした。
 雨が降らなかった日はわずか。夕べなどは、実によく降りました。風が強かったこともあり、今朝は本堂の回廊や書院との間の渡り廊下がビッショリ濡れていました。
 春の嵐が頻繁に来ているような、「花冷え」という言葉がピッタリのこの頃でしたが、昨日・今日は少し寒さも弛み、最高気温がやっと17度を超えました。懐かしいあたたかさです。


     宗忠神社の参道から見た真如堂の伽藍 / 一瞬の青い空  マウスを載せれば写真が変わります
 20日頃に咲き出した境内の染井吉野も、ようやく満開を迎えました。咲き始めから満開まで1週間が普通ですから、実に倍かかったことになります。寒さを我慢した甲斐があったというものです。
 「今年の桜は色が薄いですねぇ」などという声を聞きます。毎年、そんな評をする人が必ずおられるのですが、色が薄いのが当たっているとすれば、この2週間でエネルギーを使い果たしたためかも知れません。
 咲くに咲けない桜は、見ていてかわいそうな気がしました。
 花の咲く枝があるかと思えば、芽さえ吹くことができなかった枝があります。花や新緑の頃はそんな枝がはっきりわかる時で、職員やボクは桜やもみじの木を見上げては、花を楽しむでもなく、一喜一憂しています。
 春に「明と暗」「光と影」を見る気がします。人にとってのこの季節も同じかも知れません。
 

               傾いた陽の光越しの桜花       マウスを載せると写真が変わります
 「花曇り」の今日、境内には普段よりも多い人がお越しになりました。雑誌などを見てこられた他府県の方も多いようです。
 最近の旅行雑誌には、真如堂が隠れた桜の名所のように紹介されていることがあります。旅行雑誌の内容はどれも似通っていて、ほとんどは先行した雑誌の焼き直し。訪れたこともない人が記事を書くこともあるようですから、そうなってしまうのでしょう。
 真如堂は、三重塔と桜、あるいは縦皮桜などがよく紹介されています。
 境内の桜は約70本。多くは染井吉野です。桜をこれ以上増やすことはないでしょう。
 かつて、桜を見に来られる人の中には、飲んで大騒ぎをして、ゴミを置いて帰るような人もおられました。桜を増やさない理由は、そんな人がたくさん来られては困るからです。
 でも、最近の悩みの種は、紅葉の時と同じく、アマチュアカメラマン。三脚規制をしなければいけない日も遠くない気がします。



      人  去  っ  て  冴  ゆ  る  ほ  か  な  き  夕  さ  く  ら        太田鴻村





          山桜と本堂 / 花見をしながら寝る猫      マウスを載せれば写真が変わります
 いま境内で見頃なのは、もちろん桜。もみじの新芽も顔を出していますが、まだ葉を広げるには至らず、新緑を楽しむには時期尚早です。
 椿の花も見頃です。木によってはもう咲き終えたものもありますし、今が盛りのものもあります。
 花を終えた椿から剪定作業を進めていて、今日も1本を‘片付け’ました。
 ボクが鋏でチョキチョキやっていると、「椿はいま切ればいいのですか?」「葉っぱは何枚付けておくのですか?」「花が咲かないのですが、どうしてでしょう?」などと、何人もの人に話し掛けられました。帽子を被っていたので丸刈りと悟られず、植木屋さんだと思っておられるのでしょう。
 一応答えはしましたが、その通りやって花が咲かなかったと言われても、ボクは知りませんよぉ〜


         満開の山吹 / 長谷観音堂と椿     マウスを載せると写真が変わります
 山吹もきれいです。
 今春、山吹を10株ほど植えました。まだ花を咲かせるほどには大きくなっていませんが、来年には期待できます。
 植えたといえば、西洋卯木を5株ほど、みつまたを2株、明日は芝桜を植えるつもりです。
 不調の馬酔木の大株の側にも、白やピンクの馬酔木の苗を植えました。大きくなるにはかなりの年月がかかりますが、その頃を想像するだけでもワクワクします。
 藤ももうすぐ咲き出すでしょう。いま花を咲かせている藤は房の短い種類ですが、昨年、長〜い花の種類を植えました。こっちも数年後には・・・。
 数年後には、今よりもずっと花の種類や数が増えている境内。さぁ、その日のために、また頑張ろう! 乞うご期待!
 まだ桜は十分楽しめます。お早くお越しください!




      う   ぐ   ひ   す   の   笠   お   と   し   た   る   椿   哉        松尾芭蕉