3/19版
18日が彼岸の入り。天気のいい今日は墓参の方も多く、お散歩がてらお越しになったという方も何組かおられました。お参りするほうも気持ちよくなるのが、最高の墓参ではないでしょうか。 晴れたり降ったり、温かかったりまた戻ったりと、お天気の安定しない日が続いています。「毎年、こんなに不安定だったかなぁ…」とも思いますが、そういう日を繰り返しながらも、確実に春の深まりを実感しています。 朝明るくなる時間、夕方暗くなる時間、光の色、木々の様子、芽吹き、鳥の鳴き声、土の臭い、それぞれがみな一様に春の深まりを告げています。放物線を描くように、動き出したらもう止まらないという勢いを感じるまでになってきました。
桜の開花情報に使われるのは染井吉野。種の出来ない染井吉野は、接ぎ木によるすべて同じDNAを持っている木なので、開花情報に使うのにはもってこい。 京都地方気象台は、今日、染井吉野の開花を宣言しました。昨年と同日で、2002年の18日に次いで過去2番目に早く、平年より12日も早いそうです。気象台の桜は、例年、ずいぶん早く咲き始め、開花宣言が出て2〜3日経ってから、境内でも咲き始めます。 真如堂の境内で一番多い桜は染井吉野ですが、一早く咲き出すのはそれではありません。 17日に境内一早く咲き出したのは、三重塔横の枝垂れ桜。毎年お決まりの一番乗りです。 まだ1分咲にも到っていませんから、今月いっぱいは十分楽しませてくれるでしょう。正面参道からは見えにくい場所ですから、ぜひ見逃さないようにしてください。下から見上げるのがベストです!
単純計算では樹齢350年ほどですが、1958年の伊勢湾台風で折れ、奇跡的にもその折れた幹の一部から芽を吹いて、現在に至っています。幹の形を見ていただければ、もとがどれほどの大きさだったかおわかりいただけるでしょう。 その縦皮桜も、ほんの数輪、咲き始めています。枝垂れ桜よりは少し白っぽく、小輪の清楚な桜です。 せっかく息を吹き返したこの桜も、最近枝枯れが顕著で、とても気になっています。何とか元気になってくれませんと・・・。 1番最初の写真は総門前の桜です。写っていませんが、この木も今日すでに2〜3輪咲いていました。 毎年いち早く咲く木で、ほとんどの人は染井吉野だと思っておられますが、よく見ると、花の色も葉も違っています。名前はわかりませんが、少し白っぽい花を咲かせます。 この連休ではまだ染井吉野は咲き出しません。縦皮桜、枝垂れ桜、総門前の桜をご覧いただくのが、今の真如堂の桜巡りコース! わずかに咲いている花を愛でてください。満開の時よりも奥ゆかしい雰囲気も漂い、一点集中でお楽しみいただけますよ! 初 桜 男 同 志 も 恋 に 似 て 目迫秩父
境内をぐるっと一回りすると、桜以外にもいろいろな花が咲いているのに気付きます。 総門を入れば椿。少し進むと、山吹や連翹の黄色も目に入ってくるでしょう。花の木の真っ赤な花も見事。梅、雪柳、馬酔木、山茱萸・・・。植えたばかりの銀木犀や三つ叉も咲いています。散って落ちている椿もまた綺麗。こうなると、‘見つけた者勝ち’。気にもとめずにただ通り過ぎていく人は、お気の毒です。 苔の色もまた鮮やかです。苔の間から、もみじの芽が出てきていたりするのも一興です。いろいろな草木の新芽も、とても綺麗ですよ!
境内に約70本近く植わっている染井吉野の見頃は、27・28日頃から月末にかけてでしょう。山茱萸は盛りを過ぎましたが、これから綺麗になる花もたくさんあります。 本堂では、兆殿司が描いたとされる涅槃図が特別公開され、「花供曽」が授与されています。公開は月末までということになっていますが、4月4日頃までは公開するつもりです。 そして、何よりも感じていただきたいのは、境内全体から醸し出される春の‘オーラ’です。その中にスッポリと身を預けて、全身で春を受け止めてください。 のーんびり、ゆーったり、春本番の境内を満喫してくださいね。お待ちしています。 朝 の 間 の 見 え ぬ 雨 な り 春 彼 岸 安原楢子 |