1/9版 




           何思って過ごす冬の猫 / 朝日の当たる三重塔   マウスを載せれば写真が変わります
 日差しのあたたかい、風もない穏やかな日でした。
 「今日は寒さもマシですねぇ」とおっしゃる方に、「でも、今日は氷が張っていたのですよ」と教えてあげると、「お山は寒いですからねぇ」と言われました。確かに、境内は市街地よりは1〜2度は気温が低いでしょう。
 「うぅー 寒い!」と思ったのは七草の日でした。風が強くて気温以上に寒く感じ、氷が張っていないのが不思議に思えるほどでした。
 寒く感じたのは風のせいです。体感温度は風速1メートルで1度下がるといわれています。また、乾燥した日のほうが寒く感じ、湿度が10%低くなると体感的には1度低くなるそうです。
 衣服で隠せる部分はまだいいですし、毛のない頭には帽子を被ればいいのですが、風をまともに受ける顔はヒリヒリするほど寒く感じました。
 でも、まだ小寒を過ぎたばかり。京都で一番気温が下がるのは1月下旬から節分の頃にかけてで、平均最低気温は今より1度は下がります。寒さはまだまだこれからです。


            冬の木は面白い / シルエット・ロマンス   マウスを載せれば写真が変わります
 境内の木々はすっかり葉を落とし、木の形がよく見えます。特に夕焼けの時に見る木のシルエットは、本当に綺麗です。
 鳥の姿もよく見えます。群れをなして移動していたり、もみじの種をついばんでいたりして、一年中でも最も鳥の姿を意識する季節かも知れません。
 猫たちは日の当たる場所を求めて、1日に数度、居場所を変えています。日の当たっているお堂の縁側などは、きっと温かいでしょう。日の当たっている場所が移ると、猫もそれに合わせて移動しています。苔の上もきっとあたたかいのでしょうが、苔が枯れないか心配です。それでも、気持ちよさそうに目を細めている姿を見ると、追いやるには忍びないので放っておきます。
 季節の移ろいにあわせて、木々や鳥、猫たちがしっかり生きている姿が如実に見えます。
 飾り気のない冬の境内が好きです。




      人   恋   ふ   る    捨   猫   の   ゐ   て   冬   木   立         坂本登美子





    山茶花と南天の赤の競演 / わずかに咲き出した馬酔木   マウスを載せると写真が変わります
 枯淡の境内で目を引くのは、山茶花や寒椿の花、南天や千両の実などです。
 真っ赤な南天や千両の実は、鳥の目にもしっかり留まるのでしょう。もうしばらくすると、あっという間に鳥の餌となって、一粒残らずなくなってしまいます。熟して美味しくなった‘食べ頃’をちゃんと知っているのですから、不思議です。
 馬酔木の花が咲き出しました。今頃の時期になると、「もう咲き出したかな?」と、一足もふた足も早い春の兆しを求めて、馬酔木の花を探します。
 本堂の北側に3メートルを超えるほどの高さにまで成長した馬酔木群ですが、近年、枝枯れが多くて心配しています。
  馬酔木や夏の木槿は実に花期が長く、馬酔木は桜の花が散ってもまだ咲いています。可愛いい花ですが、ちょっと控えめ。もう少しアピールしたほうがいいような気もします。
 枝を切って室内の花瓶に挿しておいた白梅の花が咲き出しました。露地でも、早咲きのものはもう咲いているかも知れません。「探梅」の季節! 春に花が咲くのは当たり前ですが、厳寒期に花を探して散策するのって、何だかとても愉快ではありませんか?
 寒さをものともせずに、野に出ましょう! きっと何か発見がありますよ!




     山  茶  花  の  花  の  こ  ぼ  れ  に  掃  き  と  ど  む          高浜虚子