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今朝の最低気温は−1.2度。ちょうど、本堂で修正会のお勤めをしていた頃の気温です。境内でももっとも寒い本堂の中のことですから、−2度ほどにはなっていたでしょう。正座をしていても、足の裏や足先が痛くなるほどでした。 お参りになった方のご挨拶の多くは、「寒いですねぇ。でも、今までがあたたか過ぎたのですねぇ」。真っ当な寒さと受け入れておられたような気がします。 境内には普段よりもずっと多くの人影が見られました。初詣に来られたというよりは、年の初めに墓参に来られた方がほとんど。お正月の墓参は、家族連れが多いことが特徴で、3世代10人以上ということもあります。 かつては、‘晴れ着’を着て来られる方もおられましたが、最近は普段の格好と変わりません。華やかさはなく、服装からお正月らしさを感じることはなくなりました。 1日中、雪がちらつく元旦。さぁ、今年も幕を開けました。 去 年 今 年 貫 く 棒 の 如 き も の 高浜虚子
時おり小雪が舞い、鐘楼に向かう参道を照らす投光器の前では、ダイヤモンドダストのように、塵のような氷の結晶がキラキラ輝いていました。 午後から風が強くなり、元旦に向けて掃除をしたのも元の木阿弥で、夕方にはあちこち木の葉だらけ。鐘を撞いている時も、冷たい風が吹き付ける、近年でも寒さの厳しさではベスト3に入る除夜でした。 おまけに、例年ならば、鐘楼堂の中でも篝火を燃やすのですが、今年は強風のために中止。あたたかさだけではなく、少し風情に欠ける除夜の鐘でした。 鐘を撞くのは11時45分からというのに、1時間以上も前から行列が出来はじめ、撞き始める頃には鐘楼から本堂前の白砂を横切るほどにまで達しました。それでも参加者は例年よりも1割ほど少ない450人程度。寒さに出控えた人も多かったのでしょう。 除夜の鐘は、まず一山の僧衆の読経に始まり、僧侶が一人ずつ鐘を撞き終わると、その後は長い間待っておられた方々に4〜6人1組で撞いていただきます。
締めくくりにもう一度僧侶たちが鐘を撞いて、108つすべてが撞き終わるのは1時20分頃。遠くの方からは、大きくて撞くのに時間がかかる知恩院の鐘の音が低くゴ〜ンとまだ聞こえていました。 後片付けをして自坊に帰り、冷え切った体を風呂で温めて寝たかと思うと、元旦の修正会のために5時には起きなければいけません。 寒さと1年最初のお勤めということで引き締まった身心。自坊に帰ってお雑煮などをいただいていると、墓参の方がお越しになります。その後は夕方までひっきりなし。暗くなって、ようやく大晦日から休みなく続いてきた忙しさも一段落。夜になるとほっこりして、「あー、やっと寝られる」とうれしくなってきます。 大晦日〜修正会を終えると、1年がリセットされ、また1からのスタートするという実感が湧いてきます。めでたくもありめでたくもなし・・・。 ひ と り ひ と り こ こ ろ に あ り て 除 夜 を 過 ぐ 桂信子
きれいに掃除をしたかったのですが、元旦から掃除をしてはいけない。「運をはき出す」などと言う人もあろうかと、やめておきました。してもしなくても、「元旦なのに」と言われそう。「虎の口より人の口恐ろし」。 今日、蹲などに氷が張ったのはもちろんですが、新しく作った自坊の庭にちょっと立派な霜柱ができました。 苔が浮き上がりはしないかと心配ですが、霜柱を見るのは久しぶりで、何だか吉兆のような気がしました。 何かを見ては、今年はいいかも悪いかもとこじつけるのも、どこか新年らしいですね。 こんな小さな景色もまたご紹介したいと思います。どうか、またお訪ねください。 霜 柱 総 立 ち 吾 を 迎 へ た り 塩川雄三 |