12/12版 




          参道脇に残る紅い落ち葉 / 夕木立    マウスを載せれば写真が変わります
 曇ったり時雨れたり、時には日が差したりの、いかにも冬の京都らしいお天気でした。
 暦の上では「大雪」を過ぎ、次第に寒さが本格的になる頃ですが、今日はさほど寒くもなく、自転車に乗って墓参に来られた方が「暑うて暑うて」と上着を脱いでおられました。
 土曜日とあって、境内を訪れる人は少し多目。「紅葉も終わっているのに、何を見にお越しになったのだろう・・・」と思いましたが、落ち葉の季節がお好きな方もおられるでしょうし、人が少なくなってからの真如堂が好きだという方もおられるでしょう。何やら明日は京都検定の試験日とか。お受験にお越しになった方ともお会いしました。
 紅葉はもう見られないと諦めて来られた方も、わずかに残る紅い葉めがけて、しきりにカメラを向けておられました。紅葉のピークの頃ならば見向きもされない一枝ですが、今まだ散りきらずに我慢した甲斐あって、衆目を独占。「上手くやったねぇ」と言いたいほどです。


                   本堂裏の敷き紅葉         マウスを載せれば写真が変わります
 3日の日曜日を境に人が急減して以来、境内では落ち葉掃除が急ピッチで進められていますが、雨や時雨の日も多く、濡れた葉は掃除しにくくて、なかなか思うようには進みません。枯れてもまだ枝に付いている葉もあり、いつまでも落ち葉が止むことがありません。
 まずは境内一円の落ち葉を大ざっぱに集め、特別支援学校(旧称 養護学校)の畑に搬入しましたが、並大抵の量ではありません。年末にかけて、何度も何度も落ち葉を集め、畑に持って行き、クリスマスの頃になってようやく一段落します。
 「大変ですねぇ。我々は綺麗なところだけ見せてもらいますが、後始末が大変なのですねぇ」とおっしゃって下さる方もおられます。でも、実は、落ち葉掃除は楽しいのです。
 落ち葉掃除は成果がはっきり見えます。落ち葉を集めたところは苔が顔を出して緑色、そうでないところとは歴然と違います。緑色の地面を見て、「あー、よく頑張ったなぁ」と思うことが出来る落ち葉掃除には、何だか励まされている気がします。自信を失っている人にはぜひともお勧めしたいものです。


        残り紅葉と敷き紅葉 / 木の姿が見えてくる季節     マウスを載せると写真が変わります
 境内で、かろうじて紅葉が見られる場所は、本堂裏のみ。3本ほどのもみじの木に、お世辞にも色がいいとは言えないものの、紅い葉が残っています。‘上手くやった’木です。地面には、赤というよりは茶色っぽい敷き紅葉が広がっています。
 敷き紅葉は、いつ掻き集められても不思議ではないような色なのですが、今日は昨日からの雨や時雨の‘お陰’で、カラカラに乾くことなく、かろうじて‘紅い’色を保ちながら、最後の最後の紅葉を演出していました。
 今年の紅葉は、決してよくありませんでした。たまにお越しになる方の目には、「わぁー、綺麗!」と写っても、毎年何十年も見続けている者には、「いつになったら本当にきれいな色を見せてくれるの?」と思わせながら、結局ほとんど実現せずに終わっていった紅葉でした。
 気候の影響ですから仕方がない面がほとんどなのですが、年が明けてからの寒肥の施し方などにも工夫をして、来年こそは「これぞ真如堂の紅葉!」という素晴らしい景色をご覧にいれたいと思っています。
 ともあれ、境内340本のもみじたち、ゆっくり冬の眠りについてください。ありがとう。




    遠   い   木   が   見   え   て   く   る   夕   十   二   月          能村登四郎      





        夕方の飛行機雲 / 最後の最後に魅せてくれた紅葉    マウスを載せれば写真が変わります
 12月も半ば。今年も、あと20日足らずとなりました。これからは、紅葉の後始末と共に、歳末〜年始の準備が忙しくなってきます。
 やらなければいけないことは山ほどありますが、残された時間でできることはわずか。人が慌ただしくしている間にも、南天の実はますます赤くなり、木々たちは冬支度を進めるなど、境内の様子はゆっくりと移り変わっていきます。
 気忙しい時こそ、そんな移り変わりに目をやって、心に余裕を保っていたいと思います。時間がゆっくり進む季節。そんな冬の境内が大好きです。
 紅葉の季節もいいですが、真如堂らしさを味わうのなら、むしろこれからのほうがいいかも知れません。来週からは寒さも本格化するとか。しっかり着込んでお越しください。




   山  茶  花  の  く  れ  な  ゐ   ひ  と  に  訪  は  れ  ず  に         中村汀女