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本堂正面の茶所の付近では、境内で一番早く咲いた萩が満開になっています。その後ろでは朝顔が咲き、夏と秋が同居しているかのよう。日陰では猫の親子が昼寝。 訪れる人はまばらですが、のんびり散歩を楽しむ人、ベンチで昼寝をする人、お弁当を食べる人など、皆さんそれぞれに今日の秋晴れを満喫されているかのような、静かで、ゆったりした境内でした。 一方では、明日の大きな法要に備えて、職員さんたちが総出で境内の掃除。3台のブロアがあちこちで大きなエンジン音をたてていました。 1週間前なら砂埃だらけになっているところですが、今日は大丈夫。12日に、待ちに待った恵みの雨が降ってくれたのです。実に1ヶ月ぶりの本格的な雨でした。 雨の‘効果’は絶大。それまで乾ききっていた境内は一気に潤いを取り戻し、木々たちは蘇ったかのよう。もみじの葉も萩の花も、みずみずしく見え、すっかり元気を取り戻してくれたようです。本当に一安心しました。
日が短くなることや気温の変化を感じ取って、木々たちは葉を色付かせたり落としたりするのでしょう。人も夏物から秋物へ更衣しますが、植物の営みは命がけです。木々をよく見ているとその必死さが伝わって来ます。 桜の葉が半月以上に渡って落ち続けていますが、これも季節の移ろいを感じてのこと。毎日大量の桜の落ち葉を掃除していますが、木に付いている葉っぱが減った感じはあまりしません。 ところが、中に、ずいぶん葉が少なくなった桜があります。犯人は毛虫です。木自体の落葉よりも、毛虫の食欲のほうが圧倒しているのでしょうか? 2週間ほど前から、毛虫が出没するようになりました。木の下に小さく黒い粒がたくさん落ちていたら、その上の枝には毛虫がいると思って間違いないでしょう。即刻、そこから立ち去ったほうがいいです。明日は、植木屋さんが境内一円の毛虫退治をしてくれます。 そんな一々の出来事にも秋の深まりを感じるのは、ボクがそれを楽しみに待っているからかも知れませんね。 夜 長 し 何 で も わ か る 体 重 計 中谷三千子
カレンダーを見ればお彼岸が近づいて来るのはわかりますが、それに負けないぐらい正確にお彼岸の到来を教えてくれるのは彼岸花です。 気候の変動があって、桜などは年によって開花時期が前後しますが、この花だけは極めて正確に、お彼岸が近づくと咲いてくれます。「ホントに几帳面だねぇ」と、いつもボクは誉めてあげています。 彼岸花は球根で増えますから、株分けでもしない限り、急にいままで生えていなかったところから出てくるはずはありません。でも、「あれっ!? 今までこんなところに生えていなかったのに・・・」と思うことがよくあります。今年も何か所か、そういうことがありました。 今の時期、境内の踏み固められていないところを歩く時には、彼岸花の芽を踏まないように細心の注意を払わなければなりません。でも、ホントにどうしてでしょう・・・。
この花の名前は、花の上半分は赤色、下半分が白色で、これがお祝い事などに使う紅白の「水引」に似ていることに由来しています。光が当たり過ぎていましたが、はたして水引に見えますでしょうか? いま京都では藤袴がちょっとしたブームです。藤袴はキク科の多年草で、万葉集に詠まれた秋の七草の一つ。乾燥させた藤袴は香料としても用いられ、平安時代のの女性たちは藤袴を香袋に入れ、十二単にしのばせていたともいいます。 ところが最近は河川改修などによる環境の変化で減少し続け、環境省・京都府から保護、保全の対象として扱われ、地元のテレビ局なども、「守ろう!藤袴プロジェクト」などとキャンペーンを張って、保護活動を推し進めています。 園芸店で「藤袴」として売っているのは藤袴とヒヨドリバナなどが交配した園芸種ですが、この春、原種の藤袴の苗をテレビ局のプレゼントに応募して入手でき、以来、大切に育ててきました。 その花が今日開花しました! それほど派手な花ではありませんが、何となく平安の雅の香りが漂ってくるような・・・。いま、自坊では原種と園芸種を並べて展示しています。 さぁ、秋の深まりがますます楽しみです。5連休の方、ぜひとも秋の野山に飛び出してみられてはいかがですか? や ど り せ し 人 の か た み か 藤 袴 わ す ら れ が た き 香 に に ほ い つ つ 紀 貫之 |