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             真夏のような本堂前の広場     マウスを載せれば写真が変わります
 真夏のような日が戻って来ました。今日の最高気温は33.7度。炎天下にいると、干上がるように思えました。
 境内はカラカラに乾いて、ブロアで風を送って落ち葉掃除をすると、砂埃で前が見えなくなるほど。
 雨が多くて梅雨明けが遅れた反動のように、今度は一転して雨が降ってくれません。京都でこの前雨が観測されたのは、8月13日の10.5ミリ。パラッと降ったこともありましたが、気象台の記録としては残っていません。
 弱っている木は一気に枯れ込み、桜は急いで葉を落としています。紫陽花は干からびてきています。ホースで水を撒いたぐらいではまったく追いつかず、苔もだんだん茶色くなってきてしまいました。
 例年ならば秋雨前線が横たわって、天気がぐずつく頃なのに、この先1週間も雨は望めないようです。本当に困りました。雨乞いでもしたい心境です。


        真夏? 桜葉は次第に秋色 / まだまだ夏色の楓     マウスを載せれば写真が変わります
 今朝、5時半頃に境内のお堂の侵入センサーが反応し、けたたましいベルが鳴って、急を知らせる電話がかかってきました。走って駆けつけましたが、幸い誤報。虫か蜘蛛などがセンサーの感知する部分に‘立ちはだかった’のでしょう。
 「なぁーんだ、誤報か」と自坊に帰ろうとしたら、西の空に大きなお月さんが出ていました。夕べは満月だったので、しばらく夜空を見上げて月を見ましたが、その月よりも、朝ぼらけの空に出た今朝の月のほうが、ずっと大きく綺麗でした。誤報のお陰です。
 月を見て、しみじみ、「秋だなぁ・・・」と思いました。
 本堂の前まで来たら、さっきまで境内を散策していた若い女性2人が、ベンチに座ってコンビニのお弁当らしきものを食べ始めていました。「なんで今頃、こんなところで・・・」とビックリしましたが、ご本人たちはただ黙々と召し上がっていました。実に奇妙な光景でした。




      い   わ   し   雲   一   片   た   り   と   駄   作   な   し        島村正木






      茶色の実をいっぱい付けた栴檀葉の菩提樹 / 袋果と種   マウスを載せると写真が変わります
 いくら暑くても、確実に季節が進んでいることを、折に付け感じます。虫の鳴き声は蝉からコオロギなどへ次第にバトンタッチ。蝉の死骸をたくさん見かけるようになりました。
 秋は結実の季節。先日まで綺麗に咲いていた屁糞葛へくそかずらの蔓には、小さな緑色の実がたくさん付いていました。藪茗荷やぶみょうがも結実し、その実の色も白から紫へと変わりつつあります。
 緑色をしていた自坊の栴檀葉せんだんばの菩提樹(モクゲンジ)の風船蔓のような袋果も、今ではすっかり茶色くなって、とても目立つようになり、次第に落ちてくるようになりました。木の下には、袋そのままの形をしたもの、割れたもの、袋の中の黒い種だけがこぼれているものなどが散乱しています。
 木の下には今年作った新しい庭があるのですが、花の時期には黄色い細かい花粕が、結実の頃には実が、そしてこれから迎える秋から冬にかけては落ち葉が、そこに降り注いで来ます。花粕や実だけでも掃除が大変。まして落ち葉となると・・・。そこまで考えていませんでした。


           わずかに咲く萩 / 白から紫へ、藪茗荷の実    マウスを載せれば写真が変わります
 萩の花が、先週よりも少し咲き進みました。まだ、「開花」とは言えないほどわずかな咲き具合です。
 先日、植木屋さんに「今年は萩が早いですねぇ」と言うと、彼は「実はですねぇ」と語り始めました。
 どうも萩が早く咲きすぎる。おかしいなぁ、おかしいなぁと思っていたら、材料屋さんから来る萩が一時期、宮城野萩ばかりになっていた。宮城野萩は6〜7月から咲くので、秋になったらもう終わってしまう。宮城野萩は、葉っぱなどを見ただけでは、なかなか見分けられない。一度お客さんの庭に植えてしまった宮城野萩を、すべて山萩に植え替えさせて貰った、と。
 「萩」は秋の七草の一つで、「草かんむり」に「秋」と書くように、秋の代表的な草花。それが6〜7月から咲いているのでは、風情がありません。
 境内の萩は宮城野ではありませんが、今年の開花は少し早め。お盆過ぎ頃から「萩は咲いていますか?」という電話がかかり始めています。見頃はやはりお彼岸頃です。




      さ  ま  ざ  ま  の  虫  鳴  く  夜  と  な  り  に  け  り          正岡子規