7/10版 




              総門前の木槿        マウスを載せれば写真が変わります
 午前中は雨。時おり強く降って、少し風もありました。
 降水確率は午前中90%、午後80%。雨雲レーダーを見たら、岡山県あたりまで強い雨雲が来ていたので、拝みに伺ったお家の方に、「午後は強く降りますよ。今日はお墓参りはおやめになったほうがいいですよ」と申し上げました。
 お昼頃には雨も上がりましたが、いつ降り出してもおかしくないような空模様。雨の上がっている間に、紫陽花の剪定をしていたら、何だか明るくなってきました。その後、一瞬パラッと来たので、「いよいよ降るぞ」と自坊に帰ったものの、雨はそれだけ。夕方には日が差してきました。
 「今日はお墓参りはおやめになったほうがいいですよ」と、気象予報士ぶって檀家のおばあさんに申し上げたのが、少し悔やまれました。ご主人の命日でしたのに・・・。


            薄暗い境内       マウスを載せれば写真が変わります
 お昼頃、「雨が上がっている間に写真を撮ってしまおう」と境内に出ました。雨が上がったばっかりの境内は薄暗くさえありました。
 「あー、木の下闇だなぁ。これではベンチで本も読めないや」と、夕方のように薄暗い木々の下を、滑らないように用心しながら歩きました。
 紫陽花ももう色褪せ、緑は暗く、菌類が元気なことが唯一の特徴のような今の境内。木槿むくげの花だけが、暗い境内をパァッと明るくしてくれています。
 カメラを持っているものの、どこを撮るかという当てはまったくありません。グルッと1周して、「境内が暗い、木の下闇という写真しか、しょうがないなぁ」と数枚撮りました。これが正真正銘「今日の散歩道」でした。


      雨を喜ぶ古仏の苔 / 一面に落ちた菩提樹の苞  マウスを載せると写真が変わります
 過去の気象統計を見ると、梅雨の間の京都で、一番降水量が多いのは6月下旬です。7月初旬から月末にかけて、雨の量は毎日減っていきます。
 今年は7月になってから雨がちな気がしますが、雨量を見ると、6月後半とは比較にならないほど少なく、ほとんど1桁。蒸し暑さが募ってきたので、よく雨が降っているように感じるのでしょうか。
 梅雨後半の京都の蒸し暑さは格別です。そんな中、今日から祇園祭の「鉾建て」が始まりました。32基の山鉾のうち、今日建てられたのは、長刀鉾、函谷鉾、鶏鉾、菊水鉾、月鉾の5基。14日の宵々々山までに、すべての山鉾が建ちます。
 京都の繁華街や商家の多い地域に大きな鉾が建つのですから、当然交通は規制されます。雨のうえに、その影響が加わって、市街地は車が渋滞していました。
 祇園祭が終わる頃、近畿は梅雨が明け、本格的な炎暑の季節を迎えます。梅雨とも、あと1週間〜10日のお付き合いです。




      木   下   闇   木   喰   仏   の   高   笑   ひ         志城 柏






        自坊の庭の桔梗 / 雨にうちひしがれた擬宝珠の花  マウスを載せれば写真が変わります
 今年5月に完成した新しい庭に、桔梗ききょうの花が咲き出しました。ボクはこの紫色が大好きです。
 桔梗の花は、雨に打たれて頭を垂れ、さらにゆらゆらと風に揺さぶられて、ちょっと可哀想に思えました。
 塔の脇では、擬宝珠の花も咲いています。こちらはごく淡い紫色。龍の髭の花色とよく似ています。
 5月頃、誰かにイタズラされて新芽が散り散りになっていたので、今年は花も無理だろうと思っていたのですが、ちゃんと咲いてくれました。一昨年にボクが移植したので、なおさら愛着があります。
 祇園祭というと、檜扇ひおうぎ。檜扇は長さ80センチほどの扇形に開いた剣のような葉を持つアヤメ科の多年草で、夏にオレンジ色の小さな花をつけ、祇園祭では魔よけとして室町の問屋や商店などの店先や玄関に飾られます。
 境内の花の主役は、これから2ヶ月ほどは木槿むくげです。総門あたりに咲きそろってきましたので、お楽しみください。




    桔   梗   の   花   咲   時   ほ   ん   と   言   ひ   さ   う   な          加賀千代女