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新緑の季節、曇っているのと晴れているのとでは、柔らかな緑の輝きがまるで違います。 1週間前は桜の花びらが境内のあちらこちらで飛び交っていました。 14日に久々に降った雨が、地面に落ちて乾ききった花びらの残骸を一気に流し去り、葉に積もった花粉やほこりを洗い流して、境内を新緑の季節に一新してくれました。その時の新緑の美しさ、みずみずしさが、今も目に焼き付いています。 春はすごい勢いで時間が早く流れる季節です。つい先日、桜が咲いていたと思ったら、今は新緑、そしていろいろな花が咲き出します。昨日は咲いていなかった花が、今日は咲いていたりと、一刻たりとも目を離すことが出来ません。 宝探しのように、昨日と今日との違いを探すゲームのように、境内を散策するのも今の季節の大きな楽しみです。
鴬の声を聞きながら、新緑越しのまだらな日の光を浴びて、清々しい気分で境内を歩き回りました。 ボクは浮かれた人が境内に溢れる桜花爛漫の季節よりも、今の季節のほうがずっと好きです。新緑の頃は訪れる人もグッと減って、広々とした空間と静寂を独り占め出来ます。 「秋に来たら素晴らしいわよねぇ」と言いながら歩いているご婦人たちがおられました。「今の時期の素晴らしさをわからないようでは、秋に来たってあかんなぁ」と密かに思いました。 野 に 出 で よ 見 わ た す か ぎ り 春 の 風 辻貨物船
柔らかな緑と小さい花の赤がない交ぜになって、新緑の光景を複雑な色にしているのです。 それは花を終えた桜も同じです。一気に若葉が出始めましたが、枝先にはまだ蘂がいっぱい残っていて、こちらも緑と赤の微妙な色合いです。蘂がポトリ、ポトリと木の下にたくさん落ちてきます。「桜蘂降る」季節です。 先に花を咲かせ終わった「花の木」の枝先には、すでにたくさんの種が付いています。もうしばらくすると、この翼果が風に乗って、クルクル舞いながら落ちてくるようになります。光の当たり方によっては種がキラキラ輝いて、これまた綺麗! 目が離せないのは、決して花ばかりではないのです。
この藤は花の房が垂れ下がらない種類なので、少し風情に欠けます。 去年、房の長い種類の藤の苗を買って植えましたが、咲くまでにはまだ数年かかりそうです。 姿はイマイチですが、いい色していますねぇ。 藤の蜜は余程甘いのか、虫たちも大好き。蜂や虻などがたくさん集まってきています。虫が苦手な人は、藤棚の下には入らないようになさってくださいね。 鐘楼の回りの八重桜が満開になって、鐘楼をすっかり覆い隠してしまいました。 暑苦しく、窒息しそうなほどに満開の八重。どちらかというと、外国人好みでしょう。
シャガのかわいい花も満開。あちこちで小さな群落をなして咲いています。 白山吹も一気に満開になりました。清楚で清々しい花です。 平戸 その他にも、探せばいくらでも花が見つかるでしょう。百花繚乱の境内です。 本堂裏のお茶の木の垣根も新芽が伸びてきています。そろそろ茶摘みをしてもいい頃かも知れません。美味しそうな新芽でした。 20日は二十四節気の「穀雨」。「雨が降って百穀を潤す」という意味で、やわらかい春の雨が降る日が多くなっていきます。せっかくの好期に雨は歓迎されませんが、穀物が生長するために大切な雨です。 雨が降ると、また緑が鮮やかになります。日に日に木々が生長します。本当に目が離せない季節です。 日によって寒暖の変動が大きい季節です。体調を壊されませんように。 春 夕 好 き な 言 葉 を 呼 び あ つ め 藤田湘子 |