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今日はようやく平年並みの気温に戻りました。花冷えもどうやらこれで終わりのようです。 19日に開花宣言が出て以来、ゆっくりゆっくり開いてきた桜の花も、今日はそのスピードを一気に速めました。それでも、まだ7〜8分咲程度。今年は本当に長い間桜が楽しめます。 あたたかくなるのを待ちかねていたかのように、今日はたくさんの方が境内を訪れました。春休みで、子供たちが大勢いたこともあって、「今日は土曜日だったかな?」と錯覚するほどでした。 いま思い返してみると、第一線をリタイアしたご年配の方々、写生をする子供たち、結婚記念の写真をぜひとも境内で撮りたいというカップルなど、土日かどうかなど、あまり関係のないような方々が多かった気がします。
テレビで放映されている花の名所の混雑ぶりやブルーシートが敷き詰められている景色を見るとゾッとしますが、真如堂は秋の紅葉の頃と比べればガラガラです。運が良ければベンチも空いているでしょうし、座ってゆっくりできるところも見つかるでしょう。 最近、真如堂を「桜と紅葉の名所」などと紹介している雑誌もありますが、特に桜が多いわけではありません。むしろ、桜は増やさないようにしていると言ったほうが正確でしょう。 花見に来られる方は、紅葉の頃に比べて浮かれている方が多く、時にはお酒を持ち込んで大騒ぎしたり、ゴミを散らかして帰ったりと、ご遠慮いただきたいような方もおられます。ですから、桜は増やさないようにしているのです。 静かにのんびりのほほんと、桜の咲く境内を散策し、ちょっと腰掛けて、お菓子とお茶で一服。そんな‘上品な’お花見客は大歓迎です。 世 の 中 は 三 日 見 ぬ 間 に 桜 か な 大島蓼太
色もすっかり白々としてきて、往時の艶やかな薄桜色も影を潜めました。 ボクにとっての「桜」はこの2本。息を呑むほど美しい瞬間が今年も何度かありました。枝垂れ桜の、花が開くに従って、紅色からピンク色、そして桜色へと花色が変わっていく様子も楽しませてもらいました。「縦皮桜」の蕾は今年もとても可愛く、開いても気品がありました。 遅れて咲いてくる染井吉野は品格や美しさでこの2本には及ばない気がして、染井吉野が見頃になってきても、「写真を撮りたい!」とはあまり思いません。 染井吉野が満開になって人がドッと繰り出す頃、ボクの桜シーズンは終わります。
そして、葉を広げ終わらないうちに、花が咲き始めました。小さな紅い花です。よくご覧いただくと、紅く小さな蕾やでんでん虫の触角のように伸びた蘂がおわかりいただけるでしょう。 境内は桜の花色一色から、次第に新芽の若緑色や花の紅色などが混じり合った複雑な色合いへと移り変わっていきます。 大工さんが1ヶ月ぶりに境内に来て、そのあまりにも大きな変化に、「こんなに違うものですか! ぜんぜん違いますねぇ!」と興奮されていました。変化はまだこれからです。 冬景色もいいですが、春が来て花が咲き若葉が萌えてくると、「やっぱり、春っていいなぁ」としみじみ思います。美しい日本に生まれてよかったぁ!
椿、山吹も綺麗です。 先日、馬酔木の葉を煎じ殺虫剤も作り、牛や馬などの家畜の皮膚に寄生する虫を駆除していたことがあったという話を、檀家のおばあさんから聞きました。調べてみると、今でも自然農薬として活用している人がいるとか。それほどまでの毒性があるとは思ってもいませんでした。 5日は二十四節気の1つ「清明」です。あまり馴染みのない節気ですが、「暦便覧」には「万物発して清浄明潔なれば、此の芽は何の草としれるなり」と記されています。すがすがしい空気と柔らかな日の光に包まれ、草木が芽吹く、気持ちのよい季節です。 来週はあたたかくなるようです。百花繚乱の春を求めてお出かけしましょう! な つ か し き く ね く ね 道 や 風 光 る 市野沢弘子 |