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    浅春の主なきベンチ / 大工さんの軽トラとやっと現れた主  マウスを載せれば写真が変わります
 夕べは嵐でした。風が強く、横殴りの雨が窓を叩きました。
 今朝になってあちこちを点検してみると、本堂裏の回廊は、北東からの風雨が吹き込んで、びしょ濡れ。書院はまた雨漏り。
 「こんなに吹き込むのは初めてです」と、去年6月から勤め始めた職員さんも驚いていました。
 自坊では、暗闇の中、バタバタと風に煽られ続けていた屋根のトタンが、1枚飛ばされていました。
 軽微な実害がいろいろありましたが、「また一足、春に近づいたなぁ」という気のする夜半の嵐。少しうれしくもありました。
 今日は夕方になってやっと晴れ間が出てきましたが、まだ時々、強い風が吹いています。
 明日の朝まで風が強いそうですが、午後の日差しには春の気配を感じられるようになるとか。やっぱり、確実に春がやってきています。


      通り抜けていった人 / 苔の色も少し鮮やかに    マウスを載せれば写真が変わります
 先日、和菓子を買いに行ったら、「うぐいす餅」「春の山道」「飛梅」と、春爛漫の名前が並んでいました。
 「下萌」という菓子もありましたが、野はまだ萌えていません。でも、苔の色が少し鮮やかになってきたように感じます。苔は草などに比べて、少し早めに春の営みをスタートさせるのでしょうか。
 1日の平均気温が5度を上回るようになると、木々の根が動き始めるそうです。‘外見’からはあまりわかりませんが、もうすでに植物の春は始まっているのですね。
 超曇天、時々時雨の境内。訪れる人はほとんどなく、本堂の床を修理する大工さんの槌音が、時々聞こえてくるぐらいでした。
 タクシーの運転手さん曰く、「雑誌を持って歩いている人の姿が少し多くなってきました」。人も春を感じ始めているのですね。




    春   服   の   人   ひ   と   り   居   り    や   は   り   春            林  翔





           コケモモ? / 完全版‘もみじ葉’     マウスを載せると写真が変わります
 木々の様子に目立った大きな変化がないので、「‘小さな変化’を見つけてやろう!」と、下を向いて歩いていたら、苔の上に小さなピンクの蕾を見つけました。
 ちょうど椿の木の下だったので、「あっ、鳥が椿の蕾を突いて落としたんだな。せっかくこれから咲こうとしているのに、もったいない」と鳥を責めつつ、緑にピンクのコントラストがあまりにも綺麗で、思わず写真を撮りました。
 帰ってから写真を編集していて、これが椿ではなく、桃の蕾であることに気が付きました。おそらく、墓参に持って来られた桃の花の蕾が、何かの拍子で落ちたのでしょう。なぁーんだ・・・。でも、きれい。
 去年新調したベンチの上には、今どき珍しい完全な形のもみじの葉が、濡れてくっついていました。
 落ち葉の時期からもう2ヶ月以上経った今、もみじの枯葉はほとんどなく、落ちていたとしてもボロボロになっています。こんなに綺麗な形で、しかもベンチの上にのっているなんて、信じられないほどです。
 「きっと誰かが置いたに違いない」と思いましたが、夕べの強風の中、よくも飛ばされずに張り付いていたものです。
 落ち葉の時期にこんな光景を見ても何とも思いません。今ならではの驚きだと、またそんなところにも季節の移ろいを感じました。


       蕾膨らむ山茱萸と大文字山 / 馬酔木も咲き進む    マウスを載せれば写真が変わります
 先週、ボクと馬酔木あせびの開花の発見で競った職員さんが、今日また、ボクに挑戦してきました。  「山茱萸さんしゅゆが咲いているのを知ったはりますか?」「えっ! まだ咲いてないでしょう!?」「咲いてはいないのですが、かなり開いて、2つほど咲いているようなんです。知らはらへんかったんですか? ヘヘヘ」「どこ、どこ? 本堂に近い木ですか!?」
 境内の木々のことは、誰よりも早く敏感に察知しているつもりでしたのに、ちょっとショックでした。
 山茱萸の花は咲いているというほどではありませんでしたが、蕾がかなり膨らんで、もうあと数日で開きそうでした。
 20本ほどある山茱萸の木の中でも、毎年、一番先に花が咲く木は決まっています。今朝も境内をぐるっと一周して、その木を一瞥したつもりでしたが、咲きかけている木はその木とは別の、いつも‘普通に’咲く木なので、注意を払わなかったのです。この木だけ飛び抜けて早く蕾が大きくなっていました。
 「ぜんぜん知りませんでした。負けました」と、完敗を認めざるを得ませんでした。
 馬酔木あせびは、例年いち早く咲く木に続いて、他の木も咲き始めてきました。紅い馬酔木も咲き出して、少し早いですが「見頃」だといってもいいかも知れません。
 山茱萸も馬酔木も、いつもの年よりも数日早い開花です。
 民間気象会社「ウェザーニューズ」が16日に発表した桜の開花予想では、暖冬の影響で、開花は全国で過去5年の平均より3日ほど早く、近畿は3月25日となっていました。
 6日に日本気象協会が発表した予想では3月31日でしたが、ボクの予想はウェザーニューズ寄り。今年はきっと早いですよ!
 これからは春の話題をお届けするのが楽しみです。





    熊   の   子   も   一   つ   年   と   り    穴   を   出   づ        三橋敏雄