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木の葉には白い霜がいっぱい付き、地表を覆った苔も凍っているかのように白く見えました。 子供の頃は、霜柱をザクザク踏みしめながら学校に通うのが楽しみでしたが、今では霜柱を見ることは稀。今朝もまったく見られませんでした。 昼間は青空も見え、時おり日も差して、ちょっと温かくなった気がしましたが、最高気温は8.9度止まりでした。 しばらくは寒さも和らぐとか。でも、20日は大寒。これから節分にかけてが1年で最も寒い時期。1月下旬から2月初旬が寒さの「底」。そして、立春の声を聞くと同時に、気温は上がり始めます。 寒さはまだまだこれから。せっかくですから、楽しませてもらいましょう! 底冷えの京都へおいでやす。
境内では植木屋さんが寒肥を施すために手押し車を押す姿と、瓦屋さんの屋根を葺き替える作業の音が際立っていました。 滋賀県から山越えで来る植木屋さんは、「昨日は雪が積もって来られませんでした」と言い、京都市の北の端から来る瓦屋さんは屋根に積もっている雪を予想して昨日の作業を中止しました。 今日は寒いけれどもおだやかなお天気。作業も進んだでしょう。 季節の移ろいは止まり、1週間前と何も変わらない景色が広がっています。 「これを撮っても、また先週と一緒の景色だなぁ」と思いつつも、他に撮るものもなし。変わらないのが今の季節の最大の特色。雪でも降らない限り、しばらくは同じような景色が繰り返されます。 行 く 雲 の 冥 き も 京 の 冬 の 晴 に 瀧 青佳
時候、天文、地理、生活、行事、動物、植物などに関わる季節ごとの季語を見るだけで、その光景が思い浮かびます。こんなに要約された、共通感覚の季節表現を持つ民族は、日本人以外にはいないのではないでしょうか? 「竈猫」という季語があります。「猫はこたつで丸くなる」という童謡がありますが、寒がりの猫は火を落とした後の竈の中へ入って暖を取るというのです。竈がなくなった今となっては、死語ともいえる季語になりました。 境内でも、暖を取ろうとする猫が、少しでも日の光の恩恵に預かろうと、刻々と移動していく日向に合わせて、居場所を移していく光景が見られます。温かい日の光に目を細めてうたた寝をする猫の姿は、何ともほのぼのとしています。 撮るものがなければ、猫でも撮さないとしかたがありません。 「この坊さん、前をチョロチョロして写真を撮ってるけど、えらい迷惑やわ。落ち着いて寝てられへん。危害は加えへんから、まぁええか。あー、眠たい・・・ お日様、あったかい・・・」 そんな猫のつぶやきが聞こえて来そうな冬の日向でした。
滋賀県の長浜市では「盆梅展」が開催されていますが、今年は暖冬傾向で、梅の開花も早いのだとか。自坊前の紅梅も、例年より3〜4日、開花が早い気がします。 境内では蝋梅や水仙の花が咲いています。もうしばらくすると、馬酔木の花も咲き出してくるでしょう。じっとしているようで、実はひそかに、静かに季節は移ろっているのですね。 たくさんの絵の具をふんだんに使う春や紅や朱を塗り重ねる錦秋も綺麗ですが、いぶし銀のように、枯れた中にもきらりと光るものが際立つ冬も、また捨てがたい魅力をもった季節ですね。 回りにインフルエンザに罹ったという人が現れ出しました。皆さまもご注意ください。 日 の あ た る 石 に さ は れ ば つ め た さ よ 正岡子規 |