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境内を行き来する人はほとんどなく、落ち葉を集める機械の音が遠くから聞こえて来ます。 境内の木々の枝には散り忘れた葉が茶色くなって枝に付いていたりしますが、紅葉はもうすっかり終わり。今日もガイドブックを手にした人が何人かお越しになりましたが、雑誌に掲載されている全山真っ赤に染まった光景は、いまはどこにもありません。ガイドブックを手に、キョトンとされていました。 真如堂にしては異常な賑わいの1ヶ月。あの紅葉の頃の人混みはどこへ行ったのでしょう? 人気の少なくなった境内は少しさみしい気もしますが、ホッとしたというのが正直な気持ちです。
かつては熊手などの箒で落ち葉を集めていましたが、いまは「ブロア」という、強い風を起こす機械を使って落ち葉を吹き飛ばして集めています。ブロアを使った方が圧倒的に楽で、苔なども傷みにくく、物影の落ち葉も綺麗に掃除できます。 難点は大きなエンジン音。早朝に掃除をしていると、「せっかく静かな雰囲気で紅葉を見ようと思って来たのに、うるさかった」などという投書が来たりすることもあります。気持ちはわかりますが、そんなことを言われでも、人が少なくて掃除しやすい時間は他にはありません。 本堂の裏の落ち葉掃除には、ようやく昨日から着手しました。あまり早く掃除をすると、「掃除をしないでください」「楽しみにしていたのに」と敷き紅葉を見たいという方からのクレームが来るのです。掃除をするのにも、いろいろ気をつかいます。 これまで落ち葉の処分は、ゴミ回収業者に持っていってもらう、あるいは境内に積んで腐らせるというのが主でしたが、今年からは近くにある総合支援学校(旧養護学校)が引き取ってくださることになりました。その学校では、就労を希望する生徒のための職業教育の一環として農園芸コースがあり、野菜などを作っておられます。その畑の堆肥として落ち葉を使ってくださるということになり、先日来、軽トラックで搬入させて貰っています。 落ち葉の堆肥などを使った有機栽培の野菜は、きっと美味しいに違いありません。これもある意味での「地産地消」かな? 来年が楽しみです! 地 の 温 み 空 の ぬ く み の 落 葉 か な 吉田鴻司
木の形などに興味をお持ちの方は少ないでしょうが、観察すると実に面白ものです。 スウッと真っ直ぐに伸びる木、くねくねと捻くれながら大きくなる木、同じ科目の木でも品種によって違っていたりします。 樹齢によっても枝振りが変わります。若い頃は勢いよく伸びていた木も、歳を取ると伸び方が鈍り、何だかゴツゴツした感じになってきたりします。桜などは、「天狗巣病」という病気に罹って枝振りが変わったりもします。 そんな木の性、年齢、病気などが、葉を落とした今からの季節にはよくわかるようになってくるのです。人間も裸になったほうが病気がよくわかるのと同じです。 花も紅葉もない境内にお越しになったら、ぜひ木々たちの「性」をご覧になってみてください。
南天や千両が美しいのは今しばらく。そのうち鳥が目を付けて、だんだんと実が少なくなり、千両などは一つもなくなってしまいます。鳥は実が熟すのを本当によく知っています。 知らないのは人間。赤い千両が目立ってくると、「これ、千両? 万両?」という会話が必ず聞かれます。 今年も残すところあと2週間となりました。正月が来て嬉しいのは子供の頃のこと。でも、正月が来てくれないと「あらたまらない」こともあります。 柚子の美味しい季節となってきました。21日は冬至です。柚子湯を楽しみましょう! 季節ごとの楽しみを見つけましょう! 歳 月 を 浮 か べ 沈 め て 冬 至 風 呂 佐々木早月 |