11/28版
濡れて地面にくっついた落ち葉の掃除は一苦労。朝の落ち葉掃除が長引きました。 朝には雨も上がりましたが、1日中、晴れたり、曇ったり、時雨れたりを繰り返す、いかにも京都の冬らしいお天気。さほど寒くありませんでした。 雨の予報を嫌ってか、今日の境内はここ数日では一番空き気味で、昨日と比べても6割程度。 境内の其処此処では、差した日に紅葉が照らされて鮮やかになると「わぁー」という歓声が起こり、強く時雨れてくると本堂の大屋根の軒先に逃げ込んでこられたり。少しゆったりした雰囲気の境内でした。
本堂前や正面参道のもみじは、澄み切った色になる前に乾いて縮れ、かなり散ってしまいました。最近はそうなってしまうことが多くなりました。寒くなるよりも前に乾燥が来るからだと言う人もいます。 綺麗な紅葉を追って動く人の波は正直なもので、一時は黒山の人だかりだった本堂前はひっそりとして、最も綺麗な場所を求めて移動していきました。 本堂の北側では 南側は、桜ともみじが入り交じって植えられていて、桜はほとんど落葉し、もみじの色は今ひとつ冴えません。 12月1日の朝、NHKが境内から生中継することになりました。昨日までは本堂の正面を撮りたいと言っておられましたが、ボクは「もう綺麗ではない。本堂裏のほうがいいです」と再三申し上げていました。 「引いて撮ったらわかりません」と言っていたディレクターも、今朝、もう一度下見に来て、本堂の南側を撮ることに方針変換。色の冴えない本堂の南側でも、ボクは不本意なのですが・・・。
数日前から人だかりができ、今日は寝転んで写真を撮っている人もおられました。日が傾いた頃の本堂の回廊からの眺めも素晴らしいものです。 真っ赤に照っている中に枯れ枝が目立っていたので、今日の夕方、長い竹竿を使ってそれを折りました。これでますます綺麗に見えます。 本堂の真裏は、緑から黄色、赤へと変わりつつある途中。すでに一部は‘敷き紅葉’になっていますが、あまり元気な落ち葉ではないので、それほど綺麗ではありません。 本堂の表と裏、横はわずかな距離。それなのに、紅葉の時期がこれほど違うのは自然の妙としか言いようがありません。長く楽しませてくれてありがたいものです。 照 紅 葉 さ き ほ ど 時 雨 し た り と か 阿波野青畝
不便なのは、撮りたいアングルで写真が写せないこと。僧衣姿で寝転ぶわけにもいかず、せいぜいしゃがむ程度。 ボクがカメラをかまえていると、何やら気配を感じます。撮されているのです。「お坊さんが写真を撮ってる!」と声に出す人もいます。 ベストポジションを知っていると思われているのか、側に来て、同じアングルで撮ろうとする人もいます。 「坊さんだって写真ぐらい撮るわい!!」 どうも、やりにくくて仕方がありません。 団体は次々と来られるので、変装している暇がありません。あー、自由に写真が撮りたい・・・。
せっかくしんどい思いをして坂を上がって来ていただいたのに、本堂と書院を駆け足で拝観し、本堂前付近で写真を撮ったら、もう集合時間。境内をぐるっと見て回る時間などありません。本当にもったいない。 説明の度に申し上げています。「紅葉は日当たりや時間などによって刻一刻と変わっていき、2度と同じ紅葉はありません。皆さんの今も、一瞬一瞬生き死にを繰り返しています。そのお互いが出会う紅葉は千載一遇、 ほんの一部分の紅葉だけ見るのでは、宝の山に入って空手で帰るのと同じ。本当にもったいない、もったいない。 拝観順路が決まっているお寺ならいざしらず。真如堂は境内自由なのですから、ご自分であちこち散策してみて、未曾有の紅葉と出会っていただきたいものです。
まだ雨に濡れていた参道には、落ち葉が敷き詰められていました。濡れた落ち葉は生き生きとして、色鮮やか。同じ木から離れた葉でも、大きさや色合いがずいぶん違うのが面白かったです。 もみじは、葉が細かいほど紅葉が綺麗で、代表格はイロハモミジ。その語源が、葉の切れ込みを「い」「ろ」「は・・・」と数えたことにあることを知りました。「日光のいろは坂に生えているのだろう」と、今まで何となく思っていました。 境内には、イロハモミジ、ヤマモミジ、オオモミジ、ウチワカエデなど、いろいろなもみじ類があります。いろいろなもみじや銀杏などの落ち葉が混じったモザイク模様の参道も綺麗です。ただし、滑らないように気をつけないと・・・。 紅葉もあと2週間ほど。色はこれから冴えてくるはずです。お楽しみに。 な ほ 赤 き 落 葉 の あ れ ば 捨 て に け り 渡部州麻子 |