11/21版
18日に木枯らし1号が観測されたかと思うと、19日以降は最高気温が11、12度程度にしか上がらず、最低気温も1、2度まで急降下。いきなり1ヶ月先の気候になってしまったような感じでした。 今日も寒い日でした。朝、少し晴れたかと思ったら、すぐに曇ってきて時雨れたり、夕方近く晴れたかと思ったら、また時雨れたり。 京都の冬に時雨はつきもの。大陸からやって来る季節風が、日本海の水蒸気を吸って雲になり、それが京都の北山を越えてきて冷たい雨を降らせるのです。 「あー、冬だなぁ」としみじみ感じながら、傘もささずに境内を散策しました。
境内を見回る振りをして、何度も紅葉を楽しませてもらいました。 見る度に紅葉の美しさは違います。お天気、お日様の差しかた、雲の色などに応じて、刻々とその美しさを変えていきます。曇っている中に一条の光だけが差している様子も綺麗ならば、もちろん満身に日の光を受けている時も綺麗です。夕方などは、見る見る変化していくので、気が抜けません。 「たくさん写真も撮ったので、もういいかな」とカメラを置いて境内に出たら、素晴らしい光景に出くわしてしまいました。それからカメラを取りに行っていたのではもう手遅れ。晴れたり、時雨れたりの日の紅葉は、なおさら一期一会です。 こ の 樹 登 ら ば 鬼 女 と な る べ し 夕 紅 葉 三橋鷹女
「はい、見頃です」「いつが一番いいですか?「いつと言われても、お天気によっても変わりますし・・・」「来週行くのですが、どうでしょう?」「はい、いいですよ」「再来週ではどうでしょう?」「はい、いいですよ」などという応当が、何度も何度も繰り返されます。 「どうやって行けばいいのですか?」「何時から開いていますか?」などいう電話で、事務仕事は寸断しっぱなしです。 紅葉は見頃です。境内はいつでも開いています。12月初旬になると、本堂の裏の紅葉がピークになります。公共交通機関でお越しください! と、まとめて返事が出来ればいいのですが。
何度も同じことを書きますが、カエデともみじは園芸的には別で、紅葉の仕方も違います。 今日、外国人の人の案内をしましたが、通訳の人に尋ねたら、もみじは「Japanese Maple」、カナダの国旗のような形をしたカエデは単に「Maple」と訳していると教えてくださいました。 Maple はすでに紅葉の盛りを過ぎて、多くの木が葉を散らしています。一方、Japanese Maple は、本堂前ではもう見頃です。 本堂をぐるっと裏側に回ると、まだ緑色のままのもみじが多数派です。本堂裏の紅葉の見頃は、例年、12月初旬です。 境内の紅葉は、本堂前のカエデから始まってもみじに移り、やがて本堂の両側、正面参道付近、そして最後に本堂裏や三重塔の下あたりへと移動していきます。すべての紅葉が終わるのは12月15日頃です。
そう考えると、「見頃」なんて、人それぞれの感じ方や好みで、ずいぶん違ってきます。 出会ったその時の紅葉をお楽しみください。また違う紅葉をご覧になりたければ、何度でもお越しください。 桜のお花見は‘一発勝負’ですが、紅葉は3週間程度は楽しめますから。 強いて言えば、やはり晴れた日。時間は朝か夕方。お天道様が真上にある時の紅葉は、綺麗ですが、少し単調です。 太陽の当たっている側から見るのではなく、太陽に葉を透かして見てください、まるっきり綺麗さが違います。 刻々と変わる紅葉を楽しむためには、早足ではいけません。大渋滞の中、無理をしてあちこち名所を回るよりも、お茶とお菓子でもご持参になり、ゆっくり腰を落ち着けてお楽しみください。 真如堂ほどゆっくり自由に散策できるもみじの名所は少ないですから。境内はタダですし・・・。
今までは景色のいい場所を三脚群が占拠し、その前に立とうものならば、「そこ、どいて!」と怒鳴られたり、場所取り合戦が起きていたりしました。今年はそんな光景も見られません。三脚禁止、大正解です! また、去年までは境内に入る車が長蛇の列をなしていましたが、今年はそれもありません。一部を除いて、一般観光車両は境内に入ることが出来ません。 「他府県から来たのに」という方には申し訳ありませんが、車はどこかに置いて、公共交通機関でお越し下さるようにお願いしています。 車のエンジンやクラクションの音、排気ガスの匂いなどもない境内、ゆったりと紅葉をお楽しみください。まだまだこれからです! た ま し い の ひ と つ が 透 け て 冬 紅 葉 津根元 潮 |