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              さぁ、紅葉の季節がやってくる!         マウスを載せれば写真が変わります
 夜来の雨も9時頃にはあがりました。薄曇りの1日でしたが、雨の予報が外れて大助かりでした。
  「寒くなるというから、いっぱい着込んできたら、暑くって」と、夕方、本堂にお参りになったご婦人が汗をぬぐっておられました。
 今日は立冬。暦通り、ぐんと気温が下がって、一気に寒くなっていくという予報。土曜日は冷たい雨が降り、冷たい風も吹いて、昼間でも吐く息が白くなる程だとか。
 紅葉には、願ってもない条件です。
 この1週間で紅葉はずいぶん進みました。  「今年の紅葉はいいですよ」と、最近、皆さんに申し上げています。辛口のボクが言うのですから、かなり良さそうだと思っていただいて結構です。
 ボクのごく主観的な意見ですが、今年はここ数年の中でもベスト3に入る紅葉が見られそうです。さらに大胆な予想を申し上げると、紅葉は近年中では早目で、見頃は11月27・28日頃。本堂裏で12月3日頃。
 ハズレたらごめんなさい。


  もう真っ赤! 気の早いもみじ / 緑の中にぽつんと赤いカエデの木  マウスを載せれば写真が変わります
 境内を訪れる人の数はずいぶん多くなってきました。普段10人、20人程度の拝観者が、100人を越える日も出てきました。
 市内の道路でも大型バスをよく見かけるようになり、時間帯や経路よっては渋滞も始まりました。
 紅葉はまだ「もみじ色付く」程度ですが、ピーク時にホテルの予約が取れなかった団体や少し安価な価格設定のツアーなどが来始めたのかも知れません。
 もみじの色づきはわずかですが、カエデの紅葉はかなり進んでいます。いまなら、紅葉し始めた境内をゆっくりお楽しみいただけます。
 紅葉の美しさはもちろんピーク時の方が上ですが、ゆっくりした時間を楽しめるのは今頃や12月初旬過ぎ。ボクは境内が雑踏と化す11月下旬よりも、そんな頃のほうが好きです。




       音  た  て  て   立  冬  の  道   掃  か  れ  け  り          岸田稚魚






         十夜の鉦講と参拝者 / 鉦を打つ     マウスを載せると写真が変わります
 5日から、「十日十夜別事念仏会」、通称「お十夜」が始まりました。
 足利義教公の執権職をしていた伊勢守貞経の弟、平貞国は世の無常を感じて、自分は仏道に生きようと真如堂にこもって念仏の行をしました(1430年頃)。
 3日3夜のお勤めが済んだら髪を落として出家しようと決意していた3日目の明け方、貞国の夢枕にお坊さんが現れて、「阿弥陀さまを信じる気持が本当なら、出家するしないは関係ないではないか。出家するのは待ちなさい」とお告げをされました。
 貞国が出家を思いとどまって家に帰ってみると、兄は上意に背き吉野に謹慎処分。代わりに貞国が家督を継ぐようにという命令が下っていました。
 貞国は、「もしも自分も出家をしていたら、家督を継ぐ者がいなくなって、執権職を受けるどころか、家も断絶していただろう」と阿弥陀さまに感謝して、あと7日7夜、合計10日10夜の念仏をしました。これが「お十夜」の始まりです。
 夜6時半頃より、鉦講の人たちが打つ30センチほどの鉦の音が、冷え渡る境内や近隣にまで響き渡ります。15日は結願大法要で、境内は大勢の人で賑わいます。
 開帳された御本尊の右手に結ばれた「縁(善)の綱」と呼ばれる綱が、境内の「回向柱」まで伸びています。この綱に触れることは御本尊の御手に触れたことと同じであり、有り難い功徳を授かると言われています。
 色付いた境内の中で行われる初冬の行事「お十夜」に、ぜひお参りください。


         落ち葉の忘れ物 / 色とりどりのカエデの落ち葉     マウスを載せれば写真が変わります
 今秋、新しく作り替えたベンチの上に、紅葉した桜の葉っぱが重ねて置いてありました。きっと、大人の女性の仕業でしょう・・・何となく。
 カエデの中には、もう既に紅葉のピークを過ぎて、盛んに葉を降らす木があります。木の下は赤や黄のモザイク模様。
 桜やカエデの葉を集めたり、野良猫と遊んだりと、今の境内にはいろいろな楽しみ方があります。お弁当持ちでお越しになるのを、ぜひともおすすめします。
 でも、静かな境内も、もうあと1週間ほど。来週末からは一気に人が増えるでしょう。
 今季から、境内での三脚・一脚の使用を禁止にしました。写真を撮るのに夢中になって、回りの迷惑を考えないような人も少しは減るでしょう。
 また、自家用観光車両の進入も規制します。総門付近の混雑が少しでも改善されるでしょう。
 「禁止」の多くなる紅葉期の境内ですが、紅葉の境内を少しでもゆっくりお楽しみいただきたいとの思いからです。数年ぶりの素晴らしい紅葉? ぜひお楽しみください。




      地  の  温  み  空  の  ぬ  く  み  の  落  葉  か  な        吉田鴻司