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   今一番紅葉を感じられるポジションより / ほんのうっすら紅く    マウスを載せれば写真が変わります
 1日中曇天の、うすら寒い日となりました。最高気温は16度と、11月20日頃並みでした。急な冷え込みは、ちょっと堪えます。
 明日からは3連休になる人も多いのでしょう、境内を訪れる人も多目。団体も急に増えて、晩秋の観光シーズンの幕開けを感じさせられました。
 でも、よく観察したら、連休とはあまり関係なさそうな人も多かったような・・・。紅葉が近づいて、そわそわし始めた人も多かったのかも知れません。
 本堂の受付で「紅葉はまだですか?」「いつ頃がきれいですか?」と尋ねる人も多くなり、電話での問い合わせも日に日に増えて来ました。例年通りです。
 「もう紅葉しているのかと思って、名古屋から来たのに・・・・」。そんなことをおっしゃられても・・・。「まだ、10月ですよ。紅葉するわけないじゃないですか! 少し調べてお越しください」と言いたくなります。「そうだ 京都、行こう」と、色付いた京都の光景を早くから流すJR東海のCMにも責任を取ってもらわないといけません。


      ほとんど緑のままの本堂裏 / 紅く見えるはカエデの木    マウスを載せれば写真が変わります
 境内は全体的に少し色が変わってきました。でも、そういう印象を与えているのは、主に桜の紅葉です。
 例年、紅葉の先駆けとなる「花の木」も先っぽのほうから赤く紅葉してきましたが、まだ色が濁っています。もみじも、紅くなってきている枝が所々で目立つようになってきましたが、‘健康的’に紅くなっているのではありません。紅葉はまだ「0.5分」程度です。
 たまに来られる方には「なぁーんだ、まだか」と落胆される程度の紅葉ですが、毎日見ていると、その変化は実に楽しいものです。2〜3日見ないうちに色が変わってきている木があったり、夕方の光の中で紅葉の兆しが感じられる枝を見つけたりと、‘昨日’と違う光景を毎日のように発見します。秋は確実に深まってきているのです。
 「見頃はいつですか?」ともよく尋ねられますが、広い境内、その場所や木によっても違いますので、一概には言えません。11月半ばに紅葉のピークを迎える木もあれば、12月10日頃に一番きれいになる場所もあります。概ね、11月後半から12月初旬にかけて、「今日がベスト」と思える木が毎日出没するでしょう。その日その日、その時その時の、一期一会の紅葉をお楽しみください。


      掃除中の床机を占領する人たち / 障子の隙間から花の木  マウスを載せると写真が変わります
 境内では、紅葉の時期に大勢の方をお迎えする受け入れ準備が少しずつ進められています。
 今日は、地元の婦人会の方々が集まって、正面参道を上がったところの茶所で御抹茶などを接待する茶店の用意をしてくださいました。もうしばらくしたら、オープンです。
 仮設トイレの設置、参道の補修、参道に手すりを付ける工事など、ハード面の準備も進められています。
 また、今年から、紅葉期の三脚・一脚の使用をお断りすることにしました。参道の真ん中に三脚を立てたり、三脚をたてて長時間同じ場所を陣取る人、三脚を振り回して人に当たったりするケースなど、三脚によるトラブルは後を絶ちません。一部のアマチュアカメラマンのマナーの悪さは、もう限界レベルです。
 また、自家用の観光車両の駐車も、今年からはできません。わずかな駐車スペースに駐めるために、毎年車の長蛇の列ができ、近隣にご迷惑をお掛けしたり、日常のお寺の活動にも支障が出ます。紅葉期の観光は、公共交通機関で。
 いろいろ改善して、少しでも皆さんにゆっくり、気持ちよく紅葉を楽しんでいただきたいと思っています。




       黄   落   の   葉   に   ま   っ   す   ぐ   な   運   命   線        吉田美子





     御本尊前から伸びる五色の綱 / 本堂前の回向柱    マウスを載せれば写真が変わります
 11月5日から始まる「お十夜(十日十夜別事念仏会)」に備えて、先日、本堂内外の模様替えが行われました。
 本堂内陣に組まれた‘特設ステージ’には、直径30センチほどの鉦が8丁並べられました。5日からの10日間、鉦講の人たちがこの鉦を打って、お念仏を唱えます。
 本堂前の白砂のところに大きな柱が立てられ、そこから伸びた白い綱が、内陣のところで5色の綱に変わり、正面の宮殿のほうへ向かっています。「縁の綱(善の綱)」です
 綱の先は御厨子の中の御本尊の右手に結ばれているので、この綱に触れることは御本尊の御手に触れるのと同じ。直接、御利益を授かることが出来ると言われています。ただし、御手に綱が結ばれるのは5日夜の開闢法要の時。境内にお越しになった皆さんが実際に縁を結ぶことができるのは、6日以降になります。
 6日には由緒を書いたものがその綱にぶら下げられますが、もう既に綱を持って念じる人の姿も見かけられました。綱の先端はまだ御手に繋がってはいませんが、きっとその思いは伝わることでしょう。


  公開始まった観経曼荼羅 / 荘厳な内陣。右側に十夜の鉦、左に曼荼羅  マウスを載せれば写真が変わります
 模様替えに合わせて、内陣の拝観コースの中では、『観経曼荼羅』の特別公開が始まりました。
 『観経曼荼羅』は、奈良・当麻寺にあることから『当麻曼荼羅』とも呼ばれますが、正式には『阿弥陀浄土変相図』といい、『観無量寿経』を絵解きしたものです。
 画面の左右と下辺を小区画して、左側に頻婆娑羅王と韋提希夫人、阿闍世による王舎城の物語を、右に極楽浄土のイメージ法ともいえる十六観相のうち十三観を、下部に九品来迎図を描き、中央大画面には阿弥陀如来を中心とする極楽浄土のありさまが描かれています(この説明では、何のことかわからないでしょうね)。
 真如堂の観経曼陀羅は金糸などによる刺繍で、江戸中期にこの本堂の大きさにあわせて製作され、三井家より寄贈されたものです。キラキラと実にきらびやかで、新しそうに見えるのは、傷みが著しくなって近年補修されたためです。
 「特別公開」ですが、拝観料は普段のまま。あらかじめ下調べしてお越しになると、いっそうよくおわかりになると思います。


          蹲の前の小菊 / 自坊の十月桜      マウスを載せれば写真が変わります
 拝観コースの中では、貫主の趣味の菊の花の展示が、一鉢、また一鉢と増えていっています。
 今までの50年間ほどは吉祥院で展示されていたのですが、貫主就任後の今年は本坊書院に展示替え。本当は、そういうクローズドな場所ではなく、もっと皆さんにご覧いただける場所がいいのですが、盗難などの心配もあり、致し方なく拝観コース内になりました。
 さりげなく置いてある菊の花をお楽しみください。
 自坊では、いま、十月桜が満開です。今年はずいぶん花数も多く、小輪ながら可憐な花をつけています。
 例年、‘普通の’桜が咲く頃まで間断なく咲き続けるのですが、今からこんなハイペースでは、花がなくなってしまわないかと、ちょっと心配です。
 茶所前のヘブンリーブルーは、少し花数が減ってきたような気がします。ヘブンリーブルーのたくさんの青い花の下で、紅い毛氈を引いて紅葉見物。そんな光景を見てみたい気がします。もう少し頑張って!
 来週には、もう立冬を迎えます。




     セ  ー  タ  ー  を  手  に  提  げ  歩  く  頃  が  好  き         副島いみ子