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        秋風涼し回廊でもの思う / 桜葉散る参道の二人   マウスを載せれば写真が変わります
 いつ雨が降り出してもおかしくないような、時々黒雲に覆われた1日でした。
 時おりパラパラッと降ってきたので、強い雨になるのではと心配しましたが、それっきり。結局、明るいうちはほとんど降らず、夜になってからしとしとと降り続きました。
 京都市内では23日に最高気温が一気に26.3度まで下がり、7月1日以来、53日間続いていた真夏日(最高気温30度以上)の連続記録が途絶えました。53日連続の真夏日は、京都地方気象台の記録上、3番目の長さとか。ちなみに、一番は1985年の62日、2番目は90年の59日だそうです。
 それからは、炎暑の日々が嘘だったかのように、暑い日でも最高気温が30度をわずかに超える程度。何だか‘スイッチ’が切り替わったみたいな感じです。
 31日は「二百十日」。東海・関東の大雨を見ていると、暦はあなどれないと思いました。


      先から色の変わり始めた花の木 / 秋の木の下闇    マウスを載せれば写真が変わります
 境内の木々はほとんど動きが止まっていて、秋が深まっていく気配は、まだあまり感じられません。
 盛夏の頃、弱っているもみじの葉っぱが少し赤みを帯びてきましたが、今もその状態のままで進んではいません。
 今日、本堂の回廊に腰を掛けて、久々にゆっくりと塔の横の「花の木」を見てみましたが、木の天辺付近の色が少し変わってきていました。かつては円錐形に近い綺麗な形をしていたこの木も、真ん中の背の高い枝が枯れて、すっかり樹形が変わってしまいました。
 こうして木の様子が少し変わり始め、お彼岸が近付いて来たりすると、「今年の紅葉は・・・」という話があちこちから聞こえ始めてきます。事務所に寄せられる旅行雑誌の記事の校正依頼などは、もうずっと前から紅葉特集ばかり。
 木々たちが、それまでの酷暑や水涸れ、あるいは冬の厳しい寒さを越えてきているのを見ていると、「紅葉の時期だけ、チヤホヤしないでやって」と思ってしまいます。




       我  が  降  る  と  言  へ  ば  降  り  出  す  秋  の  雨          永田耕衣




        自由な猫とリード付きの犬 / ヘブンリーブルーの番人   マウスを載せると写真が変わります
 今年は、ミンミン蝉やつくつく法師の声をわずかにしか聞きません。あれだけ暑い夏でしたが、蝉の声もうるさいと思うほどでもなかった気がします。蝉が少なかったのでしょうか。
 境内を歩いていると、蝉の亡骸をよく目にします。確実に、蝉が秋の虫に取って代わられているようで、夜になると虫のさえずりがにぎやかです。
 歩いている人の姿もまばらな境内。「今日の拝観者数はひょっとしたら1桁? 10数人?」と思えるような閑散ぶりでした。いかにも真如堂らしい日だったかも知れません。
 今頃のような、さしたるものは何もないような時期に京都にお越しになる方は、筋金入りの京都通? それとも、やっと夏休みが取れた人? ホテルが安くなるのを待っていた方? 本堂の回廊で長い時間座っておられたり、いろいろな質問を説明役の職員にされたりと、紅葉期に来られる団体客の数倍の時間をかけて、ゆっくり拝観をしてくださっていました。

     秋の七草にしたい水引草 / わずかに残る百日紅の花   マウスを載せると写真が変わります
 茶所の前の萩が、数輪咲き始めていました。でも、写真に撮っても、どこに花があるのかわからない程で、色もまだ浅いです。見頃まで、もう2〜3週間はかかるでしょう。
 自坊の門内に、紅い水引草が咲いているのを見つけました。金水引は早くから咲いていましたが、紅花に気が付いたのは今日が初めて。秋の七草は、いつ誰が決めたのか知りませんが、ボクなら女郎花おみなえしや藤袴より水引草を加えます。
 今日は花の写真が乏しいので、また百日紅に登場してもらいました。もうほぼ終息状態です。木槿むくげもお仕舞い。山梔子くちなしや山吹の帰り花も咲いていますが、やはり今の季節にはそぐいません。秋の花を楽しむのは、まだ当分先になりそうです。
 全国的には9月1日から学校が始まるのでしょうが、2学期制を導入している京都の小中学校は、すでに25日頃から始まっています。夏休みを削ってまで作り出す‘ゆとり’って、何なのでしょう? 8月が終わるギリギリまで、子供たちの声が聞こえていた境内が懐かしくもあります。
 長期予報によると、この先1ヶ月の気温は平年よりも高いとか。このまま涼しくはなってくれそうにもありません。厳しい残暑にご注意ください。




       夏  休  み   犬  の  こ  と  ば  が  わ  か  り  き  ぬ          平井照敏