7/26版 




               人も木も焦がすような日差しの境内     マウスを載せれば写真が変わります
 「焦げる」と表現しても大袈裟ではないような、炎暑の日が続いています。
 ここ1週間の京都市の最高気温は、35.3 37.4 35.9 36.4 36.2 37.3 37.7度で、今日は37.5度。
 降水量はずっとゼロ。大地はカラカラに乾いています。
 草木も耐え難い様相を表し始め、弱っていた木は、紅葉するかのように葉の色が変わってきました。何本かは枯れるかも知れません。
 茶所前のヘブンリーブルーも、暑すぎるためか、ここしばらくは花数が減っています。
 子供の頃はいくら気温が高くても、33度ほどだったような気がしますが・・・。記録に残っている京都の最高気温の極値は、1994年8月8日の39.8度だそうです。言葉もありません・・・。
 来週末から、ボクはお盆の棚経に回り始めますが、来週はさらに暑くなるという予報が出ています。亡くなった方々の精霊回向どころか、こっちがお陀仏になりそうです。


      緑陰の蝉取り / 本堂の縁で涼む親子(7/25)    マウスを載せれば写真が変わります
 それでも境内は、アスファルトなどの照り返しがないだけ、まだましです。石畳や白砂の上は暑いものの、刺すような日差しは木陰までは達しません。
 人も猫もみんな木陰を探して、‘避難’。湿度が低くて少し風があった分だけ、今日の木陰は多少‘快適’でした。
 久々に、蝉取りをしている子供を見かけました。おばあさん、お母さんと3代揃っての蝉取り。子供だけで蝉取りをしている姿は、久しく見ません。
 熊蝉もうるさく鳴き出しました。今朝、今夏初めて、ミンミン蝉の声を聞きました。蝉には種類によって鳴き出す順番があります。最初はニイニイ蝉、次は油蝉などというように。でも、今年は何だか雑然と鳴いている気がします。
 それにしても、今日のお母さんは蝉取りが下手。見ていてイライラしました。
 大きな本堂の屋根の下は、境内屈指の涼しいポイント。眩しいような境内を眺めながら、念入りに日焼け止めを重ね塗りする女性がおられました。
 堅物の職員の目に留まったら、「そんなところにご本尊にお尻を向けて座って、化粧していてはいけましぇんよ!」と叱咤されたでしょう。今日、その職員はお休みでした。
 酷暑の境内ですが、皆さん思い思いに過ごしておられました。




       静   脈   の   浮   き   上   り   来   る   酷   暑   か   な         横光利一





        説明する僧と見物する人たち / 宝印を授ける   マウスを載せると写真が変わります
 25日は、恒例の「宝物虫払会」でした。
 梅雨が明けたとはいえ、毎年お天気が不安定なことが多いこの頃。虫干しは結構な重労働なので、「今年は中止になるかな」とひそかに期待をすることも多いのですが、今年は雨など降りそうにもなく、端から覚悟を決めて臨みました。
 7時前、若手の僧たちが蔵から掛け軸などの入った長持ち8つを搬出。長持ちは蔵の2階に入っているので、架台に乗せて滑車で降ろします。本堂の下まで軽トラで運び、そこからは長持ちに担ぎ棒を通して肩で担いで本堂の適当な場所に置きます。あとは、ほとんど無秩序に掛け軸を吊していくのみ。
 「平安期」のものから、鎌倉、室町、江戸が一番多く、昭和のものまで、掛け軸を中心に約200点を本堂の中にズラリと吊します。
 後は、‘見張り’と説明役。ボクはほとんどずっと説明役をしていました。
 本堂左奧の、「安倍晴明蘇生図」の前では、貫主が「結定往生之印」を参拝者の額に当てて、無病息災・長寿のお加持。
 その昔、安倍晴明が頓死をしそうになった時に、信仰していた不動尊が閻魔大王に掛け合い、清明は蘇生したのだとか。その時、閻魔王に「世の人に弘めなさい」と授かったのがこの印。不動尊と印は、清明公逝去の後、真如堂に寄贈され、現在も宝物として伝えられています。
 今年は暑さのためか、訪れる人も15〜20%減。土用の風を通して虫を払うのですが、宝物にはちょっと乾燥し過ぎた風でした。  暑さはまだまだ続きます。どうかご自愛ください。





       お  虫  干  し   有  情  無  情  の  絵  図  掛  け  て         中井ユキ子