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         お参りの人を眺める猫 / 荷物の整理中!?     マウスを載せれば写真が変わります
 午後からは雨になるという予報でしたが、曇り模様ながらも、なんとか降らずに1日持ち堪えてくれました。暑くもなく、涼しくもなく、湿気は多目でしたが、過ごしやすい日でした。
 境内の緑は、もう「新緑」とは言えないほどに落ち着いてきました。葉や茎も、予定通りに広げ終え伸び終えて一段落。そんなタイミングで梅雨はやってくるのですね。中国・四国は既に梅雨入りし、近畿地方ももうすぐそれに倣うでしょう。
 今年の5月は雨が多く、平年の1割増し以上の降雨量でした。「5月」というと晴れる日が多いという印象をお持ちになるかも知れませんが、京都では1年中で4番目に雨が多い月で、平均すると155ミリの雨が降ります。今月25日は49ミリ、29日は31ミリというまとまった雨が降りました。気温も乱高下して、季節が定まらない印象の日が続いています。
 雨の予報の日には、訪れる人がなおさら減ります。雨を覚悟で訪れる人は、よほどの粋人か用事のある人。今日の境内は、訪れる人もごく稀でした。


           やっと到着! / 曇り空と飛行船        マウスを載せれば写真が変わります
 京都はいま、修学旅行シーズンです。
 観光バスで有名どころを移動する学校、チャーターしたタクシーでグループ毎に回る学校、1日乗車券を買って路線バスを乗り継いであちこち行く学校など様々。「社寺仏閣を回って、本当に面白いのかなぁ」と、修学旅行の中高生を見ると思ってしまいます。
 平安神宮のあたりの文房具屋に立ち寄ろうとしたら、私服の中学生らしいグループに「真如堂はどういったらいいですか?」と、道を尋ねられました。「真如堂に行くんか? 何もないよ。面白い道がエエかなぁ?」と、岡崎神社から黒谷・文殊塔を経由して真如堂に行く道を教えてあげました。
 バイクで自坊に帰り、少し用事をして本堂のほうへ行くと、その子たちが正面参道を上がって来るのと出会いました。「あれぇー、教えた道と違うやん!」と経路を聞いて間違いを指摘。「じゃぁ、気をつけてね!」と別れました。しばらくしてから境内を歩いていると、またその子たちに出会いました。「これからどこへ行くの?」と聞くと、庭を拝観しようと思っているとのこと。「こうして何度も出会うのも何かの縁かなぁ」と思い、「じゃぁ、もうタダでいいから、お入り!」と、本堂に案内してあげました。
 「ヤッタぁ!」と喜ぶ奈良から来たというその子たちを、70過ぎた職員さん2人が懇切丁寧に説明してくれました。子供たちは静かに聞いているようすでしたが・・・面白かったかなぁ。
 タダにしたことを、後から職員さんに咎められました。




        老   鶯   の   緑   一   色   し   か   知   ら   ず        大牧 広




             早咲きの紫陽花はもう満開      今週も、マウスを載せても写真は変わりません
 境内を見て回ると、意外に今の季節に咲く花の多いことに気付かされます。
 菩提樹や沙羅の蕾もかなり膨らんで来ました。あと10日〜2週間ほどで咲き出すでしょうか? 「菩提樹はいつ咲きますか?」という電話もかかり始めました。いつかはわかりませ〜ん。
 参道を歩いていたら、ブーンという大きな羽音がして、甘い匂いが漂ってきました。毎年のことなので、「あっ、はぜが咲いたな!」と、すぐにわかりました。目立たない花ですが、虫の集まり具合を見ると、よほど蜜が甘いのでしょう。
 さつきや山法師も咲いています。南天の花も、もうすぐ咲き出します。ボクは南天の花といえば、梅雨を連想します。もちろん、紫陽花は日々咲く花の数が増えています。見頃までにはもうしばらくかかりそうです。

     いっぱい付いた菩提樹の蕾 / 金平糖のような蕾、カルミア マウスを載せると写真が変わります
 墓地の奥深い一角で、3メートルほどの大きな木に育ったカルミアの花が、いま満開を迎えています。カルミアはアメリカシャクナゲとも呼ばれ、昭和初期にアメリカから伝来したものだそうです。金平糖のような蕾、女性用の傘を広げたような花がとても美しく、木の下に落ちていた花にもハッとさせられるような美しさが残っていました。
 残念ながら塀に囲まれた一角の中なので、側に寄ってご覧いただくことはできません。本堂右横から会津墓地に向かう左側の塀の奥のほうを、よく探してみてください。塀越しの遠景はご覧いただけます。
 自然はいつの時期にもいろいろな形で私たちを楽しませてくれます。それに気が付くのも付かないのも、楽しむのも、心躍らせるのも、すべて私たち次第。せっかくお越しになるのでしたら、一つでもハッとするような光景を見つけてください。
 梅雨間近の境内も、パラダイスですよ!




      緑   蔭   に   読   み   く   た   び   れ   し   指   栞        辻田克巳