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            緑も濃くなった雨の日の境内     マウスを載せれば写真が変わります
 午前中から雨がぱらつき出しました。でも、それほど強く降るわけではなく、少し降っては止んでの繰り返しで、傘がなくても何とかなる程度でした。こんな雨を「青葉時雨」と呼ぶのでしょうか?
 昨日、京都の最高気温は29.9度まであがりました。今年の最高気温です。今日は23.2度。毎日、猫の目のように変わる気温についていくのも大変です。
 土曜日とはいえ、‘何もない’季節の雨の日は、境内を訪れる人もまばら。傘が一つ二つ見えたと思ったのも束の間、傘の主が去ってしまうと、またすぐに誰もいない境内に戻ってしまいました。今日の拝観者数は20人に達しません。「真如堂らしさ」を大いに発揮した1日でもありました。
 聞こえてくるのはかすかな雨の音と鶯のさえずりだけの静かな日でした。あっ、時折、職員の大きな声が響いていました。


           伽藍と緑は相性抜群!    マウスを載せれば写真が変わります
 雨に濡れる緑は綺麗です。空が暗いこともあって、今日はまた一層緑が深まったと感じました。
 「紅葉したら綺麗でしょうねぇ」とおっしゃる方も多いですが、「新緑も綺麗でしょう。秋は人が多くて、こんなにのんびりと楽しめませんよ」と、今の季節をアピールするようにしています。「秋ではなくて残念」と言われると、今の‘緑さん’がかわいそうです。
 でも、その新緑の季節もそろそろ終盤です。日の光が人の肌を焼くように、葉っぱも日焼けするのでしょうか、緑は次第に濃くなっていきます。
 先日、植木屋さんが境内のもみじや桜に殺虫剤を散布しました。パッと見た限りでは虫がいるようには思えませんでしたが、散布後は枝から毛虫がぶら下がったりしていました。そんな虫の姿にも季節を感じました。
 これから真夏に向かって、紫陽花や菩提樹、沙羅の花が咲く以外に、目立った動きがなくなってくる境内です。




      青   葉   雨    石   の   齢   の   ふ   か   ま   り   ぬ        林由美子




              弁天祠と皐        マウスを載せても写真は変わりません
 さつきの花がいま満開です。皐は境内にはわずかしかありませんが、緑一色の中に赤い色を見せてくれているのがとても貴重で、嬉しく思えます。
 「躑躅や皐の花が咲かない」とよく相談を受けます。それ以外の草木のことも、「どんな肥料をやればいいですか?」「いつ剪定すればいいでしょう?」などと、よく聞かれます。ボクの本職はお坊さんです。
 去年、ある檀家から、さくらんぼに実がならないという相談を受けましたので、「さくらんぼには肥料をたくさんやらないといけませんよ」とアドバイスをしたところ、今年は真っ赤な実が鈴なり。「採りきれないほどなれました。和尚さんのお陰です」とお礼を言っていただきましたが、収穫した桜ん坊はいただきませんでした。
 躑躅や皐の花が咲かないのは、ほとんどが剪定時期が遅すぎるのが原因です。花後すぐに剪定すれば、まず間違いはありません。お忘れなきよう、どうぞ。園芸相談コーナーでした。

          七段花と蹲 / 濃紫の色もこれから深まります  マウスを載せれば写真が変わります
 花屋の店頭では、もうずいぶん前から紫陽花の花を見かけました。「なんと季節感のないことだろう」と思っていましたが、境内でも早咲きの紫陽花が咲き出してしまいました。もうちょっと遅くてもいいんじゃないかなぁ・・・。
 1本は‘幻の紫陽花’とも言われたこともある「七段花」。シーボルトの『日本植物記』に紹介されていたり、江戸時代にも栽培されていたようですが、その後は行方知れず。今から50年ほど前に神戸・六甲山中で発見されたものです。
 もう1本は、たぶん「濃紫」。いつも紫陽花のトップを切って咲く種類です。
 他の紫陽花はまだまだ蕾固し。咲き出すまでには、まだかなりの日数がかかりそうです。
 数年前から、紫陽花が株ごと盗まれる事件が続いています。去年は5〜6株。今年ももう既に1株盗られました。紫陽花を増やして皆さんに楽しんでいただこうと思い、挿し芽をしたり、皆さんから新しい種類をいただいて取り組んでいるのに、本当に残念なことです。
 あと2週間ほどすれば京都も梅雨入り。その頃には、きっとたくさんの紫陽花が咲いているでしょう。お楽しみに!





      蚊   の   腹   白   き   眉   近   く   過   ぐ   る        河東碧梧桐