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            文句なしの好天 / 緑もキラキラ     マウスを載せれば写真が変わります
 快晴で、爽やかで、文句の付けようのない好天。日は照りつけていましたがさほど暑いというわけでもなく、湿気が少なくてカラッとして、本当に気持ちのいい初夏の1日でした。
 今日は、京都三大祭りの一つ「葵祭」の日。葵祭ははっきりしないお天気になることが多いのですが、今日は雨の心配はまったくなく、「葵祭にしては、めずらしいお天気ですね」と、何人かの方と言葉を交わしました。
 そんなにいい日和なのに、午前中は訪れる人もごく稀。観光で来られた方のほとんどは、お祭りを見に行っておられるのです。
 「今日は昼からですね」と職員の間で話していた通り、午後になって少しずつ人影が増え始め、3時前頃には平日にしては少し多目の人がお越しになりました。拝観者数は30人弱。秋以外では多いほうです。


       歩いていても気持ちがいい! / 緑の下で寝ると最高!   マウスを載せれば写真が変わります
 境内の緑も濃くなりました。
 日の光に照らされた緑はことのほか美しく、キラキラ輝いてまぶしいぐらい。光に透かして見たもみじの葉は、とても鮮やかでした。
 躑躅つつじなどの花も終わり、さつきにはまだ少し早い今の境内には、緑以外の色がほとんどありません。その緑が、何よりも‘ご馳走’なのです。
 今日は、緑の木の下でゴロンと横になる人の姿を3人見かけました。一人は茶所前の床机で、もう一人は境内のベンチで、もう一人は石の腰掛けで寝転んでおられました。木陰の石はまだ少し冷たかったに違いありませんが、緑の下を渡る風は香り立つようで、いかにも気持ちよさそうでした。
 女性を観察していると、日傘を差したり帽子を被っておられたのはわずか1〜2割。見るからに紫外線が強そうなのに、ずいぶん無防備では? 木漏れ日だから大丈夫だと油断していると、あとで大変なことになりますよぉ。
 歩いても、座っても、寝転んでも気持ちのいい、初夏の1日でした。




      あ   お   む   け   に   寝   れ   ば   眼   に   南   風          江渡華子




           緑の本堂裏 / 塔越しに見た鐘楼   マウスを載せれば写真が変わります
 暑かったり、また急に冷え込んだりの繰り返しで、何を着ようかと迷う日が続いていましたが、季節は確実に移ろい続けていて、自然界に住まうものたちは着々とその対応を続けています。
 柔らかい新緑の葉は、虫たちにとってはきっと大好物に違いありません。せっかく出た新芽が、早くも食い荒らされていたりもします。虫たちも、いよいよ大活動期に入ろうとしているようです。
 新しい葉を出し、花を咲かせたもみじは、もう種を付け、かえでなどはその種をばらまいています。見事な早業です。
 もみじの枝先に、真っ赤な葉を見つけました。紅葉? いえ、病葉です。きっと木そのものが弱っていて、葉まで十分な水分が行き届かないのでしょう。
 今は、健全な枝と枯れていく枝がはっきりとわかる時期です。新しい芽を出す素振りを見せながらも、結局、葉を1枚も広げることが出来ず
          本堂回廊から三重塔を望む / 木漏れ日の道     マウスを載せれば写真が変わります
に枯れていく枝が、今の時期になると目立ってきます。冬の間はみな同じ枯れ木立だったのに、今は、これから育っていくものと枯れ逝くものに分かれていくのです。そう考えると、少し残酷な季節でもあるのかも知れません。
 紫陽花の花がもう咲き出しました。早咲き種に限ってですが、「ちょっと待って!」と言いたくなるほどせっかちです。
 今日、去年植え付けた紫陽花の苗の周りの草刈りをしていたら、1株が根こそぎなくなっているのを見つけました。常習犯の苗泥棒が、早くも出現したのにはビックリ! 苗泥棒は季節の移ろいに敏感でした! ・・・有り難くない!
 境内を歩いておられる方々を見ていると、いろいろな草木に目をやりながら、中々歩が進まない方があるかと思えば、わざわざ来られたのに、素通りするに等しいほど何の感慨も持たないかのごとく行きすぎていく方もおられます。
 小さな変化、移ろいの中に、実は大自然の営みの一片が隠されていたりして、それに行き当たった時には目から鱗が落ちたかのような驚きや‘真実’に出会ったような大きな喜びが得られるものです。
 せっかくお越しになったなら、普段は気が付かないような‘何か’を見つけて帰っていただければと思います。

          山桜の桜ん坊 / 自坊の大山蓮華     マウスを載せれば写真が変わります
 桜の枝先に、小さく赤い実が付きました。まさに「桜ん坊」です。
 桜は山桜。染井吉野は結実することが極々稀です。
 染井吉野は大島桜と江戸彼岸桜の交配で作り出された種類です。桜には、同じ木の雄蘂の花粉が雌蘂に付着しても実を結ばない「自家不和合性」という性質があります。交配の結果、1本だけ生まれた染井吉野には実がならなかったので、挿し木で増やしました。しかし、増えたものはみな同じ遺伝子を持ったクローン。やはり自家不和合性で、実はならないのです。
 山桜は自然種なので、実はなります。江戸彼岸系の「縦皮桜」もやはり結実します。桜って、散ってからでも楽しめるでしょう? ♪ かわいい桜ん坊ぉ〜 ♪
 境内で、何か発見してくださいね!




      さ  く  ら  ん  ぼ  会  え  な  い  時  間  は  片  想  い         鬼頭文子