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         雨粒の付いたもみじの梢 / 静かな雨の境内     マウスを載せれば写真が変わります
 夜来の雨がトタン屋根をたたきつける音で目が覚めました。昼間も、止んだかと思ったら、また強く降り出し、結局、夕暮れ頃まで断続的に降り続きました。こういう雨を「春驟雨」と呼ぶのでしょうか?
 雨を降らせる前線が日本列島を通過しているためだそうですが、雨が次第に止んで、明日は日差しタップリのポカポカ陽気になるとか。春の訪れを感じさせる恵みの雨。これでまた本格的な春が急接近してきそうです。
 境内の木々にはまだ顕著な動きは見られませんが、よく見ると以前より蕾が大きくなっていたり、葉芽が膨らんで来たりしています。これからは冬の間にため込んだエネルギーを惜しみなく一気に放出して、花を咲かせ、葉を広げていくでしょう。その日も、そう遠くありません。
 気象庁の2回目の桜の開花予想が12日に発表されました。1回目の時には3月31日だった京都の開花予想日ですが、2回目では29日に早められていました。ここ数日のあたたかさの影響が加味されたのかも知れません。
 ウエザーニュースの開花予想では、円山公園が4月4日、哲学の道で4月5日。ボクの根拠のない予想では、真如堂境内の染井吉野の開花は4月2日の予想です。


   苔の緑も青みを増し / 3月15日は月遅れの涅槃会。涅槃の庭  マウスを載せれば写真が変わります
 「百日の日照りには飽かねど、一日の雨には飽きる」という諺があるそうです。雨はどちらかというと‘嫌われ者’かも知れませんが、今日のような時おり激しく降る雨も、「この雨があがったら、また春がうんと近付く」と思うと、決して嫌ではありません。
 「雨水が花や葉を育ててくれるんだ」と考えると、八代亜紀の唄のような気分になります。? 「雨、雨、降れ、降れ、もっと降れ、私のいい人連れて来い」 「私のいい人」は、もちろん「春」です。
 雨をたっぷり吸って、苔の色も青々としてきました。17日は彼岸の入り。まだ寒さはぶり返すこともあるでしょうが、いよいよ春本番ですね。




       孟   宗   に   春   の   驟   雨   の   美   し   き          星野立子





  雨に濡れる胡蝶侘助の花 / ほころび始めた山茱萸の花   マウスを載せれば写真が変わります
 朝、「雨はあがったのかなぁ」と思い、傘もささずに外に出ると、自坊の門の中に赤い侘び助が一輪、ポトリと落ちていました。その色鮮やかさにハッとして目線を上げると、少し前まではほんの数輪しか咲いていなかった侘助の花が、たくさん咲き初めていました。
 「こんなに咲いてきているのに、気が付かなかったのか・・・」と、忙しさに花を見る目が疎かになっていたことに気付かされました。
 門を出て数歩進むと、今度は白い花びらとピンクの花びらが落ちていました。白い花びらは白梅、ピンクは、まだ桃は咲いていないので、紅梅でしょう。花の咲いている梢からは結構離れていますが、夕べの嵐で飛ばされて来たようです。雨に濡れた石の上に落ちている花びらは、共にとても清らかで美しいものでした。花も盛りになると、こんな‘些細な’ことでは感動すらしなくなってしまうでしょうから、むしろ、今日得た感動のほうが、貴重で有り難いように思えました。
 本堂裏の山茱萸さんしゅゆの花が、わずかに咲き始めてきました。明日からの陽気に、一気に開花が進むでしょう。見頃は20日過ぎ頃?
 馬酔木あせびも次第に咲きそろってきました。これからは、咲いた花の名前をご報告することが多くなるでしょう。さて、次は何でしょうか?



       椿  咲  く  た  び  に  逢  い  た  く  な  っ  ち  ゃ  だ  め       池田澄子