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              陽光差す午後の境内         マウスを載せれば写真が変わります
 日が照るとあたたかく、陰ると少し肌寒く感じる日でした。
 早朝には霜が降りて草が白くなっていましたし、バイクで走ると結構寒かったりして、家の中に居る人に「今日はあたたかいですねぇ」と言われても、素直に「そうですねぇ」とは応えられませんでした。
 午後からは天気もよくなって綺麗な青空が広がり、光あふれる境内からは子供の声が聞こえてきたり、散歩する人も数も一気に増えました。ボクもあたたかさを素直に享受して「春近し」を実感することができました。
 啓蟄も過ぎ、一雨ごとに春の訪れを感じられるようになってきて、木々の様子にもわずかに春の気配を感じられるようになってきましたが、あと4週間足らずで桜が咲くとは、とても思えません。
 これから、春に向かっての猛ダッシュが始まるのでしょう。今日の午後の陽気が、そのスタートであるような気もしました。


          木々の光と影    マウスを載せれば写真が変わります
 気象庁のソメイヨシノの開花予想では、京都は3月31日と例年並み。民間のウエザー・ニュースでは、「2月の寒さが影響して、記録的に早かった昨年に比べると開花は遅くなる所が多くなりそうです」と、4月5日になるだろうと発表しています。
 毎年のことですが、京都地方気象台が‘開花宣言’を出した日には、「どこに桜が咲いているの?」と不思議に思うほどで、桜の蕾はほころんでもいません。よほど気象台の標準木はせっかちなのだろうと思います。
 節分以降の冷え込みや、境内の他の花の開花の様子を見ていると、ボクはウエザー・ニュースの予想のほうを推します。満開になるのは、おそらく4月10日過ぎではないでしょうか。
 満開〜散り初めの桜をご覧になるのなら、土・日では4月12・13日。ホテルを予約されるのなら、この日がオススメです。




       枯  れ  果  て  て  ゆ  く  も  四  温  の  最  中  な  り        大場佳子






新調寄贈された案内の駒札
 本堂前の案内の駒札が、昨日、新しくなりました。
 一昨日、「明日、立て替えに伺ってもよろしいでしょうか?」と打診の電話があり、今日見てみたら、真っ新に変わっていました。
 高さが少し低くなって見やすくなり、日本語の他に英語・中国語・ハングルで説明文が書かれていて、その内容も変わっていました。
 昨日は休んでいた職員が、ボクの顔を見るなり「あれ、いつかわったんですか!?」と聞いてきて、「いやぁー、よくなりました。屋根のところは銅板が付いていますし、涅槃図のことまで説明に書いてありますよ」と感激顔。
 真如堂が費用を負担して新しくしたわけではなし。文末に「京都市」と書いてありますから、京都市が更新してくれたのでしょうか。とにもかくにも、有り難いことです。

  いつのまにか居眠りし始めた猫 / 警戒心たっぷり快復途中   マウスを載せれば写真が変わります
 「有り難いこと」といえば、猫の話。
 10日ほど前、白黒猫が左前足に、身をえぐられるほどの怪我をしていました。もちろん、普通に歩くことも出来ず、憔悴しきってかわいそうなほどでした。
 今日、犬の散歩に来られたK氏からの情報によると、一人の女性が3日間ほどカゴをもって境内に通われていたので、不審に思って「それをどうされるのですか?」と尋ねたところ、「猫を保護して入院させます。1週間ほどでよくなるでしょう。ついでに、避妊もしてもらいます」とお答えになったそうです。
 今日はその白黒猫の姿が見られました。退院して戻ってきたのだろうといういうことでした。「奇特な人もおられますねぇ」とK氏も感心しきり。そういうK氏も、マナーの悪い犬の飼い主に注意をしたり、放置された犬の糞を掃除してくださっている、これまた奇特な方です。
 白黒猫がいなかった約1週間、敵対するミーコが本堂前で幅をきかせていました。「勢力に陰りを見せていたミーコなのに、どうやって復活することができたのだろう。極意を教えて欲しいなぁ」と思っていましたが、白黒猫が入院していたためだったのかと、今日になってわかりました。その証拠に、今日はミーコの姿が見えません。白黒猫のご帰還に影を潜めたに違いありません。
 白黒猫が去勢をして貰ったのなら、野良猫が増える心配も減りますし、雄同士の喧嘩も穏やかになるでしょう。本当に助かります。
 日向ぼっこをする猫は、春の陽光のあたたかさを改めて視覚的に感じさせてくれます。

            紅みのさしてきたもみじの枝先 / 樒の花     マウスを載せれば写真が変わります
 境内に咲いている花は、自坊の前の紅白の梅、本堂北側の馬酔木程度で、先週とほとんど変わっていません。
 本堂裏の山茱萸さんしゅゆの蕾からは、ほんのわずかに黄色い花色が見えてきましたが、開花まではまだしばらくかかります。他に花はないかと境内を探して回りましたが、沈丁花がそろそろ咲き出す気配。しきみの花が3〜4分咲き。椿があちこちで咲いてはいますが、あまり目立ってはいませんでした。
 もみじの枝先は少し前から‘血’が通ってきたような色をしていますが、まだ動き出すには至っていません。桜の蕾も、まだ冬とほとんど変わっていないようです。
 「暑さ寒さも彼岸まで」と言われますが、その頃になると、境内の様子もかなり変わっているでしょう。いまは‘弾ける’力を溜めているのかも知れません。
 草木の動きはまだ鈍いですが、春を待ちかねた人間は結構活発に動き始めました。
 今日、哲学の道を通りがかったら、たくさんの人がぞろぞろ歩いておられるのにビックリ! まだ桜も咲いていない哲学の道を、皆さん何のために歩いておられるのでしょう?
 また、その道をジョギングする人たちの姿をたくさん見かけました。散策する人が多くて走りにくい哲学の道をジョギングしようなどとは、地元の人ならまず考えません。そういえば、明日は京都市内でハーフ・マラソンが行われます。哲学の道を走っていた人たちは、それに出場するために他府県からお越しになった方に違いありません。
 春まだ浅き都大路を、どうぞ楽しみながら走ってください。あー、でも、明日はまた移動する道に腐心しそうです。




       大  人  だ  っ  て  大  き  く  な  り  た  い  春  大  地         星野早苗