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             うっすら雪の積もる境内        マウスを載せれば写真が変わります
 今朝起きたら、屋根が雪で白くなっていました。薄暗い中、目を大きく開いて見た木々の葉っぱの上にも、丸く雪が積もっていました。
 昨日から時おり吹雪くこともあり、天気予報でも雪だるまマークが付いていたので、今朝は真っ白な雪景色を少し期待していました。でも、その割には少し物足りない雪景色。積雪は1センチにも満たず、屋根は真っ白ですが、地面にはほとんど積もってなくて、苔の上や敷石の間が網目状に少し白くなっている程度でした。
 おそらく今日は、観測記録上では「積雪なし」でしょう。「積雪0cm」と「積雪なし」は区別されていて、気象庁の定義によれば、「積雪0cm」は観測点周囲の地面を半分以上雪が覆った状態のこと。「積雪なし」は雪がまったくないか、雪が覆っているのが観測点周囲の地面の半分以下の状態のことだそうです。
 京都地方気象台は市街地にあって、真如堂よりもあたたかいですから雪も少ないので、確実に「積雪なし」。境内も「積雪なし」の雪景色でした。


  餌をやる人が遅いと雪を嘆く猫 / 木々の輪郭を際立たせる薄ら雪  マウスを載せれば写真が変わります
 雪が降ると、早朝に写真を撮りに来る人が増えます。
 「まだ明るくなりきっていないなぁ」と思いつつ、雪が溶ける前にと思って7時過ぎに境内に出かけましたが、まだ写真を撮りに来ている人の姿は誰も見かけませんでした。
 8時頃、大急ぎで門内に走り込んできた車が1台。1人の人が降り立ち、大きなカメラバックと三脚を持って、正面参道を小走りに本堂へ向われました。「そんなに急いでも、大した雪景色ではないですよぉ!」と言ってさし上げたかったです。
 わずかな地面の雪もほとんど溶けた9時過ぎには、3人ほどの方が、仕方なく写真を撮っておられました。本堂の正面で写真を撮っている人の背中に見覚えあり! 顔を覗き込むと、本堂の職員。「勤務時間中なのですが・・・」と頭をかいていました。
 うっすら白くなっただけの雪でしたが、雪を待ちこがれている人がいることをあらためて実感しました。次はもう少し本格的に積もってあげて欲しいなぁ・・・。





       厳   か   に   万   象   寒   の   内   に   あ   り          冨安風生





              なおさら静まりかえる境内        マウスを載せれば写真が変わります
 早朝、窓から外を見ていると、一群の小鳥たちがチッチと声を発しながら、もみじの枝に群がっていました。少し遠かったので鳥の種類はわかりませんでしたが、メジロよりも大きく、ヒヨドリよりもうんと小さめ。小太りの雀ほどでした。
 鳥たちはもみじの枝先を盛んに突いています。たぶん、種を食べているのでしょう。ひとしきり啄むと、またワァーッと群れをなして飛んでいきました。静かに雪の降る中、かわいく、にぎやかな一群でした。
 遠くで、野良猫が「ワァーオン ワァーオン」とすり寄ってきそうな声で鳴いていました。声を辿って茶所へ行くと、軒下で3匹の猫が背を丸めて‘集会’を開いていました。体の大きな白黒猫が、小さい黒猫にちょっかいを出している傍らで、我関せずに居眠りをする白猫。人間の世界と似ていると、何故か直感しました。
 他には訪れる人もまばら。白く静まりかえる早朝の境内は、生き物たちのおしゃべりが聞こえてきそうな不思議な空間でした。

       雪の綿に包まれた千両の実 / 枯れ秋明菊と雪    マウスを載せれば写真が変わります
 南天、千両、椿、紅梅・・・雪が降った時には、赤い実や花の写真が撮りたくなります。白い雪と赤い実、花。真綿のようにふんわりとした雪に包まれた千両の実は、とても居心地がよさそうに見えました。
 南天や千両の実は、これから一気になくなっていきます。鳥たちが食べに来るのです。鳥たちに見つけてもらいやすいように、南天も千両も真っ赤になってアピールしているのですから、食べてもらえれば本望です。やがて、鳥の糞と共に大地に戻され、運がよいものは発芽してもう一度生を得ます。
 鳥たちも今年はたくさん実ったもみじの種にご執心のようですから、南天や千両の実まで食べきれないかも知れません。良かったのか悪かったのか・・・。
 雪はいつもならば目も向けないようなものまで愉快に演出してくれます。カラカラに乾いて痩せた秋明菊にふんわり雪が積もった姿に、思わず心を捕らわれました。
 これから立春までが1年で一番寒い時期です。またいろいろな景色を見せてくださいね、雪さん!





     よ  り  そ  へ  ば   雪  の  に  ほ  ひ  の  か  ぎ  り  な  し        中岡毅雄