12/27版
コートなしでベンチに座っていても寒くはなく、すっかり葉を落とした木々の枝越しに注いでくる冬の光の恩恵を、たっぷり受けることができました。 「お天道さま、ありがとう!」とでも思わず言いたくなる日でした。 でも、こんなにいいお天気は、今日が年内最後だとか。明日から雨が降り始め、年末年始は冷たい風が吹いて寒さが厳しくなるとのこと。 「今日の散歩道」もここ2回は雨の日だったので、「せっかくの晴天を逃してなるものか!」と、更新日を1日繰り上げました。のんびり、気持ちよく写真を撮ることができました。 このお天気に誘われたのでしょうか、境内を訪れる人は、ウイークデイにもかかわらず、いつもよりもずいぶん多目です。6割ほどはお正月前にお墓を掃除しておこうという檀家の方々。残りは観光や散歩の方々ですが、今日は外国人がとても多く、近くで外国人向けのイベントでもあったのだろうかと思うほどでした。
「たった20人?」と思われるでしょうが、観光シーズンでもない日に20人の拝観者というのは、真如堂にとっては決して少ない人数ではありません。 「もみじの頃はきれいでしょうねぇ」と話しながら参道を上がっていく女性たち。足早に本堂にお参りされる男性。「菩提樹の樹には雄の葉っぱと雌の葉があって、実が付いているのは雌の葉です」というタクシーの運転手さんの‘ウソ’の説明に感心する中年カップル。本堂前のベンチに腰を下ろして、ガイドマップに見入る若い女性。もちろん、犬の散歩は三々五々。冬の佳き日の一時を、皆さんのんびりと過ごしておられました。
職員がまだ残っている落ち葉を寄せ集めている他に、出入りの瓦屋さんが境内の建物の雨樋に溜まった落ち葉を吹き飛ばしているのです。 雨樋の掃除は紅葉が終わった冬の必須作業。掃除をしないと雨が溢れてしまうだけではなく、梅雨頃になるともみじの種が芽吹いてきたりもします。雨樋掃除は、瓦屋さんの年末の「サービス」です。 けたたましいブロアの音の間から、「ゴォ〜ン」という低い鐘の音が聞こえてきました。音ですぐにわかります、知恩院の鐘です。除夜の鐘を前に、試し撞きをされているのでしょう。 「あっ、今夜のテレビのニュースに出るなぁ。明日の地元紙の1面のカラー写真はこれだな」と思える、年末押し詰まった頃の恒例行事です。 年 の 瀬 の う ら ら か な れ ば 何 も せ ず 細見綾子
職員とも、「最近、ミーコが帰ってきましたねぇ」「クロのお腹が大きくなっているのでは?」などと、猫情報の交換。猫が増えてきて、血縁関係がわからなくなってきました。「真如堂猫家系譜図」を作らないといけません。 猫たちも、「この人は猫好き、この人は猫嫌い」ということがわかるようで、以前のボクは猫に逃げられていましたが、今では「ミャァー ミャァー」媚びるように鳴いて近付いてきます。「お前は名古屋弁が上手だねぇ」などと言って撫でようとしても、決して触らせてはくれません。さすがは野良猫です。 お腹の大きいクロ。次に生まれるのはどんな毛並みでしょう? そんな悠長なことを言っている場合ではありません。地域猫対策をしないと、本当に猫だらけになってしまいます。
残る真如堂の行事は、31日午後の「除夜会」のお勤めとその夜の除夜の鐘だけとなりました。 除夜の鐘は、11時45分頃から僧侶が撞き始め、その後、お参りになった皆さん方に4〜5人で1回ずつ撞いていただきます。そして、最後にもう一度僧侶が撞いて、午前1時頃には終わります。 毎年5百人ほどの方が撞きに来られて、順番を待つ長蛇の列ができます。境内ではかがり火を焚いていますので、手をかざして暖まっていただいたり、茶所で接待している熱い薬湯を召し上がっていただけば、寒い冬の夜もにぎやかに楽しくお過ごしいただけるでしょう。お近くの方はぜひともお越しください。 鐘楼の基壇に上がられたら、少し耳を澄ませてみてください。低〜い音色の鐘は、今日試し撞きをしていた知恩院。高い音は法然院。その他にも2〜3の鐘の音が聞こえてきます。 鐘の音に耳を澄ましながら、今年の自分の行いを顧みて、悪しきは懺悔し、善きは来年の糧となさってください。 「今日の散歩道」も、今年最後の更新となりました。今年もお訪ねくださってありがとうございました。来年も皆さまのお越しを心からお待ちしております。 来る年が皆さまにとって幸多き年となることを祈念して、今年最後の更新を終えさせていただきます。ありがとうございました。 今 思 へ ば 皆 遠 火 事 の ご と く な り 能村登四郎 |