11/30版
境内の紅葉は、晴れ渡った空と陽光に助けられて、今期最高の美しさでした。色に冴えがなく、種がたくさん付いていて茶色っぽい、ちりちり縮れている、不満をあげればいっぱいありますが、それを目立たなくさせてくれる今日の陽の光でした。 広大とは言えない境内ですが、場所によって紅葉の早い遅い、善し悪しが多少違います。 本堂の正面や北側は紅葉が早く、それに次いで本堂の南側、三重塔の西側(正面参道の両脇)、一番最後は本堂の裏側と紅葉が進みます。 本堂の正面の紅葉が早く思えるのは、かえでの木が多いこともあるのでしょうか。かえで類は、ほぼ落葉しました。茶所の前の最も人目をひくもみじは早くから紅葉していましたが、色が冴えることなく褪せ始め、枝先の葉は可哀想なぐらい縮れて、いよいよ終盤。本堂正面や北側の紅葉も、ピークを越えました。
境内で一番紅葉が遅い本堂裏。東参道から急坂を登ってこられて一気に開けた場所で目に飛び込んでくるのは、この紅葉です。多くの方が、「わぁー! きれい!」と感嘆の声を上げておられます。 でも、今はまだ濁ったオレンジ色で、種がいっぱい付いて、葉が枯れているような木もあり、境内の中でも今年出来の悪い紅葉ゾーンかも知れません。 12月に入ってからの、本堂裏の真っ赤な敷き紅葉を心待ちにされている方も多いかと思いますが、残念ながら今年は期待できません。おそらく、茶色く縮れた敷き紅葉になってしまうでしょう。 見る人によって感じ方が違うでしょうが、ボクには今年の紅葉はここ数年でもっとも‘不出来’に思えます。
正面参道を登らずに、斜め右の道から吉祥院前を通って塔の南側を通る道から見上げた紅葉の美しいこと! 今年一番の紅葉で、何人もの通りがかりの人に、「あそこが綺麗ですから、ぜひ見に行ってください」とお勧めしたほどでした。 この場所が綺麗になってくるのは、日の光が差してくる昼下がり以降。もみじの赤や朱、銀杏の黄色などが重なり合い、日の光に透かされて、荘厳といっても過言ではないような深みのある美しい世界が天上に広がっていました。 曇天だった一昨日・昨日はそれほど美しいとは思わなかったのですが、今日の美しさは息の飲むほど。日の光の力をまざまざと思い知らされました。 昨日ようやくこの銀杏の葉すべてが黄色になったかと思いきや、バラバラとたくさんの葉を降らせるようになりました。せっかくですから、まだ散らないで欲しいです。 また、今朝、掃除をしていて、「あっ、もみじが散り始めたなぁ」と今年初めて感じました。‘元気のない’もみじは今までにも散っていますが、‘普通の’もみじが散り始めたのは今日が最初の気がします。 今日が今年の紅葉のピークだったかも知れません。
山一面が赤く染まる東日本の紅葉に比べて、京都の紅葉はスケールで見劣りするという人がおられます。京都の紅葉の特徴は、社寺の建物を背景に、常緑樹の緑などと交ざった、細やかな美しさといえるのではないでしょうか。豪華絢爛な花ではなく、一輪挿しや侘び寂びに通じる紅葉。それが京都の紅葉の魅力のように思います。 真っ盛りの紅葉よりも、滅びの美、欠けたるものの美しさが感じられるのはこれからです。非の打ち所のない盛りの紅葉には緊張さえ覚える気がしますが、散りゆく紅葉はやさしさく包んでくれるように思えます。カサコソという落ち葉の道をゆくのも楽しみです。 いよいよ、そんな楽しい‘後期’紅葉シーズンがやってきます。そろそろ落ち葉掃除が大変になってきます。落ち葉バスターズ、フル回転近し! 師走の紅葉をお楽しみに! 静 け さ を 淋 し さ と せ ず 夕 紅 葉 石井とし夫 今日は時間がなくて、なかなか更新用の写真が撮れませんでした。もう少し時間があれば、未熟ながらもう少し紅葉の美しさをお伝えできたかも知れませんが・・・傍若無人な写真マニアにイライラしていただけかも知れません。 「今年は京都の紅葉を見られなかった」という方へ、ささやかながら、今日の境内の紅葉の1シーンをお届けしたいと思います。 ご覧になって、「やっぱり行きたい!」と思われた方、まだ間に合います。訪れる人が減って、静けさが戻ってきます。これからが、‘京都通’のための紅葉ですよ!
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