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          紅葉は日ごとに美しく、人は日々増える     マウスを載せれば写真が変わります
 今日は一日中、時雨れたり晴れたり、青空が出たり鉛色になったり。
 京都北部の山地で発生した積雲系の雲が、晩秋から初冬にかけて、北西の季節風によって京都市内にもたらされ、「北山しぐれ」と呼ばれる俄雨をよく降らせるようになります。今日は、そんな、いかにも初冬の京都らしいお天気となりました。
 最高気温は12月中旬並みの11度までしか上がらない寒い日となって、紅葉を見に他府県から来られた方々も、口々に「京都は寒いですねぇ」とおっしゃっていました。
 18日には近畿地方にも例年より11日遅く木枯らし1号が吹き、19日には比叡山や北山が白くなりました。つい先日まで「いつ寒くなるのだろう」と思っていたのに、一気に冬がやってきた感がします。
 長期予報では、今シーズンはラニーニャ現象の影響で寒さの訪れが早く、去年に比べて初雪も早く、近畿地方でも月に一度ぐらいまとまった雪が見込まれるそうです。スキーをする人にはうれしい予報ですが、春の到来は早く、短い冬になるようです。
 晴れているのに小雨が降ることの多い時雨がちのこの頃は、よく虹を見ます。昨日も今日も、金閣寺あたりの山裾をたもとの一端とする虹を見ました。虹を見ると、何だか幸せな気分になりますね。


        晴れているのか降っているのか、時雨模様の境内      マウスを載せれば写真が変わります
 この冷え込みのお陰で、境内の紅葉は今週に入って一気に加速し、紅葉を見にいらした方にも、「見た」という気分を味わっていただけるようになってきました。
 今までにも何度か書きましたが、今年はもみじがたくさんの種を付けています。去年の夏が暑くて小雨だったので、もみじも子孫を残さなければいけないと考えたためだそうですが、その種が茶色く枝にいっぱいぶら下がっていて、少々見苦しくなっています。また、今年の夏がやはり暑くて小雨だったために、葉が縮れていたりする木もあります。今年の紅葉は、最初から条件が厳しいのです。
 加えて、つい先日までのあたたかさ。急に寒くなっても、もみじだってそう簡単には綺麗になれません。紅くなっているとはいうものの、まだ大半は澱んだ色で、澄み切った、鮮やかな紅さではありません。
 全然紅葉していないのでは申し訳ないですが、何とかそこそこ見られるようになってきて、やれやれといった感じです。
 いま紅葉しているのは、三重塔や本堂北側の池の付近。本堂の裏側は12月に入ってからが見頃でしょう。ピークは今月末〜12月初旬頃です。
 日に何度か見ていても、二度として同じ紅葉はありません。その日その時、それぞれの木々によって、紅葉は刻一刻と変わっていくからです。一期一会のもみいづる木々たちのありさまをお楽しみください。

       ‘そこそこの’紅葉を‘美人’に変える魔術師日の光    マウスを載せれば写真が変わります
 18日の日曜日以降、境内を訪れる人の数は日に日に増え、23日からの3連休がピークとなります。
 本堂を拝観される人の数も、21日には今季初の千人を超えたそうです。オフシーズンには拝観者が一桁ということも珍しくなく、たまにゼロという日もある真如堂にとって、千人という数字がいかに多いかおわかりいただけるでしょう。連休には2千人を超えることも予想されます。
 本堂前の石段で記念写真を撮っている写真屋さんに聞くと、17日に記念写真を撮った団体は3組でしたが、今日は18組。千人を超えるそうです。
 真如堂で拝観料を頂戴しているのは本堂の内陣と本坊の庭園だけで、境内は自由に散策できます。団体でも、拝観されるのはたいてい希望者だけ。個人の方も、ほとんどの方は境内を散策されるだけで、拝観はされません。
 拝観者が千人を超えたということは、境内を訪れた人はその10倍は下らないでしょう。
 普段は犬の散歩の方が歩いておられるだけのような境内が、この連休には一気に繁華街と化してしまうのです。えらいこっちゃ!

        紅葉越しの三重塔 /日が傾いた頃の紅葉       マウスを載せれば写真が変わります
 この時期になると、新聞やテレビ、ネットの様々なサイトで、「紅葉情報」が掲載されます。京都でも、いくつものスポットの紅葉の進み具合が、「色付く」「見頃」などと発表されます。
 それらをよく見比べてみると、同じお寺なのに、ある新聞では「色付く」、あるサイトでは「見頃」と評価が分かれていたり、隣同士の寺で紅葉の進み具合は変わらないはずなのに、評価が違っていたりすることに気付きます。
 あの「情報」は、作成しているところからお寺などに、電話やFAXで、紅葉の進み具合が「まだ」か「色付く」か「見頃」のいずれなのかという質問が来て、その答えを集計して作成されます。つまり、答えた人の主観が頼り。
 桜の開花なら、「ちらほら」「満開」と、まだ判別しやすいですが、紅葉は木によっても、同じ敷地内でも場所によって違います。それに、人の主観は結構大きく違います。さらに、「色付く」「見頃」の択一では、色づきの微妙な時など、まさに主観で評価が分かれます。
 今など、「見頃」というにはおこがましいけれど、「色付く」は完全に越えている状態です。「もうすぐ見頃」「見頃近し」という選択肢があれば、ボクならそれを選ぶでしょう。まさにそういう状態です。
 お時間が許すならば、連休が終わって少し人が減った来週以降の晴れた日にお越しください。真昼のトップライトを浴びた紅葉よりも、9〜10時頃、3〜4時頃など、少し斜めの日の光が差してくる頃のほうが、美しい紅葉が見られると思います。




        障  子  し  め  て  四  方  の  紅  葉  を  感  じ  を  り        星野立子





         可憐な十月桜 / 目出度や! 吉祥蘭      マウスを載せれば写真が変わります
 紅葉一色の中、十月桜の可憐な花を見ると、何だかホッとします。中華料理が続く中の、和食のような感じ? 喩えが変ですか?
 その名の通り、10月頃から咲き出したこの花は、樹全体に一気に花を咲かせるのではなく、大切な蕾をいとおしむが如く、少しずつ可愛い花を開花し続けていきます。
 「開花時期は、10月〜1月頃と3月〜4月の二度で、全体の蕾の1/3が10月頃から咲き、 残りの2/3は春に咲く。秋と春の二度咲き。場所によっては、冬の間も少しずつ咲き続ける」ということですが、自坊の十月桜は、樹高わずか1.5メートルほどの小木ながら、秋に咲き出したら、切れ目なく少しずつ春まで咲いてくれます。こんな可愛く可憐な花を、誰に喩えればいいでしょう?
 自坊の内外では、吉祥蘭がよく咲いています。葉に囲まれてひっそり咲いていますので、なかなか見つけにくいかも知れません。その名の通り、その家に慶事があると咲くといわれている花です。吉祥蘭いっぱいの自坊は、目出度いことばかり!?
 十月桜、吉祥蘭、そして開催中の菊花展をご覧に、吉祥院にお越しください。別棟の祥源坊では、季節限定の「かふぇ水琴窟」を開いています。祥源坊の庭の水琴窟の音も、ぜひお聞きください。盛りだくさんな紅葉の真如堂です。
 23日は「小雪」です。急な冷え込みに、お風邪を召されませんように。




       化  け  さ  う  な  傘  か  す  寺  の  し  ぐ  れ  か  な        与謝蕪村