10/27版
「雨の日は雨を楽しまなければ!」と、早朝に窓を大きく開けて雨がしと降る境内の音に耳を馳せると、あちらこちらからたくさんの鳥の声が聞こえてきました。それは晴れた日よりもずっと際立っていて、「あっ、あの鳥は鐘楼あたりで啼いているのかな?」「あれはあの木に群がっているのかな?」「啼きながら南へ飛んでいる!」などと、境内を立体的に想像させてくれました。 散歩の人さえほとんど姿を見せない雨の日の早朝は、鳥たちも安心して大きな声を出せるのかも知れません。しばらく耳を澄ませて楽しみ、少しひんやりした空気をいっぱい吸い込みました。
昨日、ボクがまだ一度も入ったことがない二条城の前で、観光バスが駐車場に入りきれずに路上に並んでいる光景を見ました。また先日は、旗をかざしたガイドさん率いるご一行が、今シーズン初めて境内にお越しになりました。 秋の修学旅行シーズンも終盤にさしかかり、逆にバスツアーの人たちが増えてきたのかも知れません。 紅葉にはまだ早すぎる今の京都ですが、紅葉期に比べて格段に空いていますし、ツアー代もまだ安いのでしょう。散歩するには快適な気候ですから、いまは狙い目かも知れませんね。
いま、盛んに葉を落としているのは百日紅。少し濁った朱や黄色と緑色が混ざった、小さく丸みをおびた葉が、毎日たくさん落ちてきます。何度掃除をしても、、またすぐに落ちてきて元通り。冬になれば、今度は小さい種がいっぱい落ちてきます。花も葉も種も、掃除人泣かせの百日紅です。 桜や楓の葉も、毎日少しずつハラハラと落ちてきます。銀杏も緑のままで少しずつ散ってきます。 時には紅くなったもみじの葉が落ちていることもありますが、ほとんどは健康な葉ではなく、縮れたり、黒ずんだ紅色をしています。紅くなったもみじを見て「紅葉している!」と喜んでおられる方も多いのですが、いま紅くなっているのは、弱って老い先短い木。見る度に不憫に思います。 紅葉期ほどの派手さはありませんが、静かにゆっくりお過ごしいただくには、今の境内はピッタリです。紅葉には期待せずに、お弁当やおやつを持って、深まりゆく秋をお楽しみください。 黄 落 を あ び 黒 猫 も ま た 去 れ り 中嶋秀子
ただでさえ最近の紅葉のピークは11月下旬なのに、今年は12月になるかも知れません。12月になっても綺麗な紅葉が見られるのならいいのですが、紅葉が遅れた年には、もみじが紅くならずに茶色く縮れ枝に付いたまま枯れてしまうこともよくあります。 さらに今年は深刻です。 昨日のテレビで、東山のライトアップに熱心なお寺に出入りする庭師さんが、深刻な顔をして、「20何年間やっていて、こんなことは初めてです」と落胆げに話しているのが写っていました。何に落胆しているかというと、もみじの種が「恐っそろしい数」付いていて、その種が紅葉の頃には茶色くなって、全体的にスッキリした色にはならないというのです。 「ライトアップをやりすぎて、木が傷んでいるんじゃないの?」と思っていましたが、今日、境内のもみじをじっくり見てみると、1/3ほどの木に同じような症状が出ていました。 もみじは、日照りが強く雨が少なかった夏の翌年に、多くの種を付けるのだそうです。木が危機感を感じて、子孫を残そうとするのでしょう。他の多くの木も、本能的にそういう症状を呈します。 暖冬に加えての、さらなるダメージ。しかも、今年も暑くて雨が少ない夏でしたから、来年も同じような症状になるかも知れません。 「本当に綺麗な紅葉は10年に1度」と思ってきましたが、「さらに遠のいてしまうかも知れない」と、ボクもがっかりです。
彼岸花の葉が花後すぐに出てきて、大きくなってきました。 韓国では彼岸花のことを「想思華」とも呼ぶそうです。彼岸花は「葉不見花不見」と言われるように、花が終わってから葉が出てくるので、お互いを見ることはありません。花は葉を想い、葉は花を思う。相思相愛なのに、別れて暮らす。なんて悲恋なのでしょう・・・ なーんちゃって。雑草と間違って刈ってしまわないように、職員に言っておかなければ。 雨を嫌って順延した更新でしたが、結局、雨にたたられました。来週はいよいよもう11月ですね。 茶 の 花 の 雨 を 含 め る 白 さ か な 鈴鹿野風呂 |