10/12版
「朝夕は涼しくなりましたけれど、昼間はまだ暑いですねぇ」という挨拶が、最近の定番。 暑いといっても、日中の最高気温は24〜25度まで下がり、盛夏の頃と比べると10度ほども違います。あの暑かった日々の記憶がまだ体のどこかに残っている気がしますが、寒くなる頃には懐かしく思えてくるでしょう。 境内のベンチに座っていたり、ゆっくりと散歩するには、ちょうどよい気候です。 境内で思い思いに過ごせるのも今月中。あと1ヶ月もすると、気の早い紅葉見物の人が押すな押すなとお越しになって、境内の様子はまるっきり変わります。今のようにゆっくり過ごすことは、とても出来ません。紅葉を見ながらのんびり過ごすことが出来れば最高なのですが・・・。 今のうちにお弁当持ちでどうぞ!
「花の木」の先の色がほんの少しずつ変わってきたり、まだらに紅く染まっている葉が落ちていたりと、変化を探しながら境内を歩くのも楽しみです。 毎日拾っていた大砲どんぐり(マテバシイ)が、ここ数日ですっかり少なくなりました。もうほぼ落ち尽くしたのでしょう。楽しみが減ってしまいましたが、ここにも季節の移ろいを感じます。 彼岸花は茎だけが残り、萩ももうそろそろ終わり。そういえば、蝉の声を最後に聞いたのはいつだったのでしょう? 新しく‘お目見えする’ものには敏感ですが、去るものには疎い自分を感じます。 夏の盛りの頃のボクは季節を感じるのを拒んでいたようにも思います。でも、いまは積極的に感じようとしています。秋が好きだからでしょうか? 「好きな季節はいつですか?」と聞かれて、「秋」と答える人が圧倒的に多いようです。次いで「春」、「夏」と「冬」がほぼ並んで続くそうです。
どの季節が好きかで性格が占えるとか。春が好きな人は、明るく前向きな人。素直でわかりやすい性格。夏は大胆で大らかな傾向。嫌なことや苦しいことから逃げたいという逃避傾向もあり。秋は無口で感性の研ぎ澄まされた人で、細かいことに気がつきやすく繊細で、人によっては気難しく人付き合いが苦手な人もいる。冬が好きという人は活動的で地道な努力家。孤独への耐性も強いけれど、仲間とワイワイ遊ぶのが好きなムードメーカーの一面もあり。さて、いかがですか? 当たっていますか? 皆さんの大好きな秋が、少しずつ、少しずつ、確実に近付いてきています。その移り変わる様子を、毎日意識しつつ楽しまれると、錦秋の感動もひとしおだと思います。お天気のいい日には、ぜひ秋の野に出てみてください! 遠 く ま で 行 く 秋 風 と す こ し 行 く 矢島渚男
「引声塔」は14〜16日に行われる「 「引声」とは、お経の一字一字に節を付けて声を長く引くように詠むことです。極楽の様子を描いた『阿弥陀経』や念仏に、「クミ由」「ツキ由」「和上」「和下」など引声独特の節回しを付けて詠じます。 慈覚大師円仁(794-864)は、承和5年(838)、遣唐使として渡唐。辛苦を重ねて五台山に参拝し、多くの教えを学ばれました。五台山で大師は生身の文殊菩薩にお会いになり、極楽世界の八功徳池の波の音に唱和する妙なる「引声阿弥陀経(引声念仏)」を授けられたといいます。 在唐10年の後、帰国の船中、大師は引声の「成就如是功徳荘厳」という一節を失念されてしまいますが、船の帆柱の上に香煙に包まれて現れた小身の阿弥陀如来によってそれを再び授けられます。大師はその小身の阿弥陀如来を衣の袖に包んで持ち帰り、後に真如堂のご本尊になる阿弥陀如来を刻まれた時、胎内に納められたといいます。 「引声」は比叡山から真如堂に伝えられ、一時は途絶えたこともあったようですが、今も毎年勤められています。 摩多羅神は念仏信者の守護神で、慈覚大師が唐より将来して常行三昧堂にまつったといわれています。この「引声阿弥陀経会」の間だけまつられる神像です。 法要は3日間とも朝9時から勤められ、どなたでもお参りしていただけますが、お越しになるのなら16日の結願の日が僧の声も揃うようになってきてよろしいかと思います。何しろ、1年に1度しかお唱えしない節なので・・・。 五色幕は引声とは関係なく、三井家家祖三井高利氏の令室 三井かね様の312回忌法要のために張られたものです。毎年、10月13日に執り行われています。 ちなみに、幕の5色はそれぞれ仏の智慧を表しています(青−あらゆるものを完成にみちびく智慧 白−すべてのものが平等であることを知る智慧 赤−物事の本質を明らかにする智慧 黄−鏡のように、あらゆるものを差別なく見ることのできる智慧 黒(緑)−平等であっても、それぞれ違うものであることを知る智慧)。
2週間ほど前に他所で咲いているのを見て、「まだかなぁ・・・」と心待ちにしていたのが、やっと咲きました。赤の二重も1輪だけ咲きました。 たくさんの貴船菊が風に揺られている姿も、とても綺麗。これからが楽しみです。 楓の紅い葉が落ちていたり、櫨の一枝だけ真っ赤になっていたり、上を見上げても下を見ても、‘小さな秋’が見つかります。 朝露が降りたのか、地面の水分なのか、落ちていた楓の葉は濡れていました。もっともっと寒くなれば、この水分が霜に変わっていきます。 ここ数日、晩秋へ向かうスピードがだんだん早くなっていくのを感じます。来週はまた別の‘小さな秋’を見つけることができるでしょう。 白 菊 の 目 に 立 て 見 る 塵 も な し 松尾芭蕉
10月12日は「芭蕉忌」です。
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