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         秋晴れに影日向もくっきりと / 影を求めて歩く人    マウスを載せれば写真が変わります
 澄んだ青空の広がる秋晴れの日となりました。
 先週末には最高気温が20度を下回る日が2日ほど続きましたが、また夏日が続き、今日の最高気温は27.7度。日射しも強く、歩いていると汗をかき、日傘の女性もよく見かけました。
 毎日が連休という方も、毎日休む暇もないという方もおられるでしょうが、世間は今日から3連休。体育の日は台風の影響でお天気が崩れそうですが、今日・明日はまずまずの行楽日和。
 境内を訪れる人は普段よりもずっと多いのですが、観光客というよりは、地元の人が好天に誘われて散策がてら歩いておられるように見えます。紅葉の時期を来月に控えていますし、今はそれほどめぼしい行事や見どころもないので、遠方の方はじっと待機されているのかも知れません。
 のんびり、ゆったり散策する人たちと、黒い服に身を包んで法要に参列する人たちが境内で入り交じった、連休初日の秋らしい佳き日でした。


           朝の光の中の青いもみじ葉        マウスを載せれば写真が変わります
 天気のいい日は、木の葉の色も一段と映えます。
 今日の朝の光に透かして見たもみじ葉の緑は一段と鮮やかで、とても来月には紅く染まるとは思えないほどでした。
 同じもみじの緑色でも、若葉の頃なら「わぁー、綺麗!」と誉めてもらえるのに、今の季節は「まだ紅くないねぇ」などとばかり言われ、今の姿を認めて貰っていないようで、ちょっと可哀想。四季折々、それぞれに美しい姿を見せてくれているのですよ。
 先日お会いした大原野のお寺の住職さんが、もみじの葉先が今年8月の小雨のためか、結構傷んでいるのだと心配そうに話しておられました。真如堂ではそういうこともなく、虫に食い荒らされてもいませんので、今年のもみじの葉はとても綺麗です。京都の西と東でも、ずいぶん違うのですね。
 あとはしっかり冷え込んでくれさえすれば、完璧な紅葉が見られるのですが・・・。まだまだ気の早い話です。




      秋   晴   の   き   ら   め   き   部   屋   の   隅   ま   で   も        上村占魚




       まだ咲き続けている木槿 / 彼岸花とギンナン     マウスを載せれば写真が変わります
 7月中頃から咲き出した木槿むくげの花が、まだ咲いてくれています。あまりに長く咲いているので、咲いているのが当たり前のようになってしまって、愛でてくれる人も少なくなってしまいました。
 気の早い職員から、「木槿を切ってもいいですか?」と尋ねられました。木槿は毎年新しく伸びた枝を切り戻す剪定をしますが、その作業をしてもいいかと尋ねているのです。
 「まだ咲いているのですからダメですよ」と言うと、「咲いていないのはいいですか?」と、どうしても切りたい様子。「少しでもお天道さんの光を浴びさせてください」と言いましたが・・・・・数日後には剪定されてしまっているでしょう。
 自坊の前の四つ目垣の囲まれたところに落ちているギンナンの争奪戦を、毎日4〜5人の人たちが繰り広げています。早い人は朝7時前頃に拾いに来ます。バケツいっぱい拾って、一体どうするのでしょう? 自分が食べるだけとは思えません。
 もしボクが、ドングリを一つ残さず拾うほどの熱意をもってギンナンを拾っていたら、すでにバケツ10杯分ほどは収穫していたことでしょう。かぶれると嫌なので、拾おうという気はまったくは起きません。食べるのは好きなのですが・・・。
 彼岸花にギンナン、ちょっと似合わない気がします。

       艶々赤い山茱萸の実 / かわいい蕎麦の花    マウスを載せれば写真が変わります
 秋が深まっていくと、「あの花は咲いたかな?」「あの実はどうだろう?」と楽しみにしているものがあります。
 大砲ドングリ(マテバシイ)の実もそうですし、山茱萸さんしゅゆの実が色付くのもその一兆候です。
 今朝、本堂の裏に山茱萸の実を見に行くと、まだ疎らながらも、赤く色付いた実が、朝の光に艶々と光っていました。
 小さな実に大きな秋を見つけたようで、とても嬉しく思えました。
 自坊の前庭の蕎麦の開花も待ち遠しい出来事です。蕎麦はほんの数株しかありませんが、毎年、今頃になると咲いてくれます。
 花の咲いた蕎麦畑は白一色に見えますが、近付いて花を見るとピンクや黄色もあり、とても愛らしいものです。
 ただ、蕎麦は少しの風でも揺れて写真が撮りにくく、カメラのファインダーを覗きながらこっちも揺れていると、酔ってしまいそうでした。
 はぜの実や菩提樹の実が落ちてくるのも、南天の実が赤くなるのも、秋の深まりを感じさせてくれます。もうその頃には、もみじの葉も紅く染まっていることでしょう。  10月9日は「寒露」。もう夏日も終わりになるでしょう。




      三  日  月  の  地  は  お  ぼ  ろ  也   蕎  麦  の  花          松尾芭蕉