8/24版 




  たっぷり水をもらった木々と日の光 / 緑も洗われて綺麗   マウスを載せれば写真が変わります
 22日、待ちに待った雨が降りました。5ミリ以上のまとまった雨は、23日ぶり。ただ、あまりに激しく降ったため、道路が一部冠水したり、地下駐車場の車に浸水したりという被害も出ました。
 京都の8月の平年の降水量は144ミリ。ところが、22日まではわずか1.5ミリしか降っていませんでした。22日に45ミリ、23日に15.5ミリ降った雨は、乾ききった大地への大いなる恵みの雨でした。
 この雨のお陰で、先月の31日以来、30度を超えていた最高気温も23日には29.8度にまで下がりました。今日は晴れたり曇ったりで、気温は34度まで上がりましたが、空気に潤い感があって、木々の間をそよいでくる風が涼しく感じられました。それに、36、37度に慣れた体には、34度などヘッチャラです。
 「雨って、本当にありがたいなぁ」と、しみじみと感じました。ホースやバケツでどれだけたっぷり水をやったつもりでも、濡れるのは水をやった木の近くだけで、それほど土中に浸みません。ところが、雨はちょっと降っただけでも地面を一様に濡らし、地中まで潤してくれるのですから不思議です。まして、2日間で60ミリ余も降ったのですから、申し分ありません。

緑・黄・オレンジの葉/‘紅葉’してしまったもみじ葉    マウスを載せれば写真が変わります
 でも、欲を言えば、もう少し早く降って欲しかったのです。
 8月の小雨と炎暑のため、境内の木々はかなり痛めつけられました。特に弱っていたもみじの木へのダメージは深刻で、たくさん葉っぱが落ちたり、‘紅葉’したり、大きな枝ごと枯れてしまうことも少なくありませんでした。
 もみじは、カミキリムシの幼虫が幹に穴を空け、そこに蟻が住み込んだり、雨で腐ったりして、水分を枝先に送れなくなってしまうことがよくあります。そんな木や枝は、今年のような渇水の時に、いち早く異変を露わにします。
 弱っていくのを見ながら、毎日、「雨・・・降ってぇ〜〜」と祈るばかり。ちょっと黒い雲や入道雲が湧いてきたら、「ヨッシ! 頑張って大きくなって雨を降らして!」と声援を送っていたのですが、ほとんど願いは通じませんでした。こんなに青空が恨めしく思えた年もありません。
 ようやく降った雨。紅葉した葉や涸れてしまった枝は、自然淘汰だと諦めるしかありません。早かれ遅かれ、そういう定めだったのです。
 太平洋高気圧の勢力も次第に弱り、お天気も不安定になって、秋の長雨のシーズンもやってきます。そんな時、「もう、雨はいらない」などと言わないようにしなければと思っています。

     本堂の階段で談笑し涼む家族 / 散歩する母娘     マウスを載せれば写真が変わります
 今日、坂道を上がって境内に来られる方々の顔は、暑さで歪んでいませんでした。
 家族連れが本堂の縁先に座って涼んでおられましたが、さわやかな風が通っていくのが皆さんの顔から伺えるような気がしました。
 なおいっそう涼しい本堂の中でゴロンと寝ころんだらどれほど気持ちがいいでしょう・・・でも、きっと堂守に怒られますから試されませんように。
 子供の頃、ボクは隣のお寺の幼稚園に通っていましたが、夏の盛りにはバスタオルを持って仏殿に行き、お昼寝をしました。いまだに昼寝が大好きなのは、その名残でしょうか?
 大きくて広く天井が高い仏殿には、暑い盛りでも涼しい風が吹いてきました。「薫風南より来たる 殿閣に微涼を生ず」。「薫風」は少し季節外れですが、涼やかな風が仏殿に入ってくる光景が目に浮かぶようです。エアコンの人工的な涼しさとはまるで快適さが違います。
 また、しばらくは晴れの日が続きそうですが、油照りの日々は「峠は越えた」、そう実感できる今日の天気でした。




       木  漏  れ  日  と  い  へ  ど  溢  る  る  秋  の  道         兵頭幸久




    三界万霊壇の石仏と露仏 / 石仏遠景     マウスを載せれば写真が変わります
 今日24日はお地蔵さまの縁日。朝、真如堂の僧侶が集まって、境内にある地蔵尊を拝んで回りました。年1回の恒例行事です。
 境内には、前回、当ページに写真を載せた「千体地蔵」の他に、狐の化身 玉藻の前の伝説のある「鎌倉地蔵」、本堂脇の三界万霊壇にまつられた石の地蔵尊、そして本堂裏の「万霊堂」のご本尊の地蔵尊などがおられます。境内で一番多い仏さまは、間違いなくお地蔵さま、地蔵菩薩です。それほど、人々に親しまれておられるのでしょう。
 読んで字の如く、大地がすべての命を育む力を蔵するように、無限の大慈悲の心で人々を苦悩から救うというところから、その名があります。お釈迦さまが入滅されて56億7千万年後に弥勒菩薩が現れて私どもを救ってくださるまでの間、六道(地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人道・天道)を輪廻する衆生を救ってくださる菩薩だとされています。
 弱い立場の人々を最優先で救済してくださるとのことから、特に子供の守り神のように信じられ、絶大な信仰の対象となってきました。今も京都の町の至るところにお地蔵さまの祠があり、町内の人が大切に守り続けておられます。
 境内の「三界万霊」の壇に並ぶ石仏は、よく見ると地蔵尊だけではありません。大日如来、阿弥陀如来、道祖神など様々。由緒は明らかではありませんが、古の戦乱で焼け出されたり、明治の廃仏毀釈で捨てられたり、地中から掘り出されたりしたものなどが祀られているのでしょう。この前にたたずむと、一仏一仏の様々な声が聞こえてきそうで、不思議な気持ちになることがあります。
 今日の地蔵尊参りで、8月の定例行事はすべて終わり。またすぐお彼岸がやってきます。

    未だ満開ならず水引草の花 / 光沢のある藪みょうがの実  マウスを載せれば写真が変わります
 秋の花がほんの少しずつ見られるようになってきました。
 今日は秋海棠が咲いているのを見つけました。水分が好きな草なのに渇き気味で、暑さに歪んだような姿をしていて、せっかくの花も台無し。「もう少し綺麗になってから撮って」という‘願い’を察知したので、今日は見るだけにしておきました。
 水引草の花も咲き出しました。花が、上から見ると赤く、下から見ると白く見えることからこの名が付いたといわれていますが、まだ咲き出したばかりでよくわかりません。皆さんの近くにもきっと咲いていると思いますので、一度、上から下からよ〜くご覧になってみてください。
 次回は、もう少し秋の花をお届けできればと思っています。野良猫の写真が続きましたので・・・。
 夏休みも最後の週。でも、2学期制の学校では、もうすでに‘1学期の続き’が始まっているそうです。ボクはこれから‘お盆明け休み’をとらせていただきま〜す!
 まだまだ残暑真っ最中。引き続き熱中症にお気をつけください。




       夏  休  み  果  つ  よ  音  痴  の  ハ  ー  モ  ニ  カ         中谷朔風