8/2版 




        朝の総門前 / あやしい雲の湧く西の空      マウスを載せれば写真が変わります
 台風第5号 (ウサギ)が見る見る近付いてきました。
 京都でも2日未明から台風の接近を感じさせるような風が吹き始め、早朝には綺麗な青空も見えましたが、だんだん曇りだして遠雷の音も聞こえてきました。
 でも、雨が降ってくるのは2日夜以降、京都に台風の影響が最も出るのは、3日の午後以降のようです。
 関東地方以北はようやく昨日梅雨が明けたようですが、また台風が雨をもたらし、そうこうしている間に、8日にはもう立秋を迎えます。
 京都でも、梅雨明け以降、本当に夏らしいお天気というのは数えるほどしかありませんでした。夏の土用の間の暑さよりも、立秋を迎えてからの暑さのほうが、「残暑」という言葉の響きのせいでしょうか、油照りを連想させて、より厳しいように感じられます。
 平年値では、京都市の最高気温は8月5日を境に下がっていく傾向にあります。まだ盛夏を迎えたような気がしない今年は、例年通りにはいかないかも知れません。
 真如堂の塔頭では、もうすでにお盆の棚経を始めているところもあります。「あまり暑くならないで・・・」 これからお盆を迎える僧たちの一致した願いです。


          朝5時半過ぎ、雲が沸き立つ青空       マウスを載せれば写真が変わります
 朝起きて、トイレの窓から東の空を見ると、青空の下から雲が沸き立ってくるように見えました。雲は流れるように、どんどん形を変えていきます。
 慌ててカメラを取ってきて パシャ! パシャ! お勤めもせずに、本堂の前まで駆けていって、また パシャ! パシャ!
 昼間の青空の色とは少し違うブルーの空に流れていく雲は、さわやかというよりは、台風の到来を告げているかのようで、少し不気味でした。
 「行雲流水」、雲は自在に動いているというよりも、綿菓子が千々に風に吹き飛ばされているという感じで、風のなすがまま。
 まだ6時前だというのに、境内は真昼間よりもかえって賑わっているかのようで、本堂の前で空に向かってカメラをかまえていたら、何人かの人が怪訝そうにボクを横目で見ながら通り過ぎて行かれました。もう少しちゃんと変装しておけばよかった・・・。
 流れる雲、いつもと少し違う境内の光景を目にして、何だか不思議な、少し得をした気分の朝でした。




       夏   空   へ   雲   の   ら   く   が   き   奔   放   に        富安風生




     緑陰で話し込む女性 / 早朝の静かな本堂前で     マウスを載せれば写真が変わります
 今日は朝からカラスが賑やかです。
 あちこちで「カァー カァー」と鳴くものですから、愛猫さくらはあっちの窓、こっちの窓と忙しく行き来しています。
 カラスが賑やかな時は何となく不吉です。これから嵐を迎える今日は、とりわけ不気味な感じがします。
 カラスが賑やかなのは、お盆やお彼岸などでお墓にお供え物が多い時の他には、犬や猫などが弱って横たわっている時など、好ましくな出来事起きていることが多いのです。
 今日はどうして騒いでいるのでしょう? どうやら、カラスは蝉を捕って遊んでいる(食べている)ようです。カラスは蝉やカブト虫などが大好物で、蝉は幼虫でも成虫でもかまいません。時々、「ギャァー」という蝉の断末魔の声が聞こえてきます。嵐の前に腹ごしらえをしておこうと考えているのでしょうか?
 カラスの行動には、特定のエリア・グループに限定して見られるものがあるそうですが、流行もあるように思います。
            夏はやっぱり百日紅        マウスを載せれば写真が変わります
 以前、カラスが墓所の陶器製の線香立てをくわえて飛び去り、それを上空から境内の石畳の上に落として割る行動を繰り返しているとお知らせしましたが、今はそれも影を潜めました。‘発案者’を真似て、一時的に群れの中で流行ったのかも知れませんが、今は‘ブーム’も去ったのでしょうか。
 「脳も大きく、その重さが体重に占める割合はサル並み」というカラスは、その時々の状況に合った手に入りやすいものや栄養価のあるものを見つけて食べるそうです。
 嵐が来る前に蝉で腹ごしらえをしておこうというのも、カラスの知恵かも知れません。ボクもお盆の棚経に備えて、栄養を蓄えておこうっと! 今の‘蓄え’で充分かも・・・。

      夏はやっぱり木槿 / 案外可愛い屁糞葛の花     マウスを載せれば写真が変わります
 境内に咲く花は木槿むくげと百日紅だけになりました。花だって、こんな暑い時に咲かせるのはさぞかし大変でしょう。
 「百日紅」と書いて「さるすべり」と読むのには、頭の中で一捻りする作業が必要です。「百日紅」は中国語名で、「さるすべり」は日本語名。「ひゃくじつこう」では語呂がよくありませんし、「猿滑り」と書いたのでは何だか茶番です。
 百日紅は一度花を咲かせた枝先に再び花をつけるため、長い間咲き続けているように見えますが、「百日」とはちょっと大袈裟。「百日」というのは「長い間」ということでしょう。仏教でもそういう言い方をよくします。
 木の下にはどんどん咲き終えた花が落ちてきて、掃いても掃いても切りがありません。百日間も掃き続けるのは嫌です。
 ‘茶番’といえば、屁糞葛へくそかずらという名前は、本当に気の毒です。臭いからといっても、あまりにひどい命名です。
 同情の思いをもって、毎年同じ木槿の木に蔓を絡ませる屁糞葛を見に行きましたが、誰かが掃除して取り去ってしまったのか見あたりません。それではと第2ポイントへ。これから盛りを迎える頃でした。  屁糞葛は、加齢なるボクにとっては思い入れの深い、盛夏には欠かせない花です。臭くても可愛い花でしょう?
 台風第5号 (ウサギ)にご用心ください。暑中&残暑お見舞い申し上げます。




    散  れ  ば  咲  き   散  れ  ば  咲  き  し  て   百  日  紅       加賀千代女