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でも、スカッとした青空はその日1日だけ。昨日は曇り空の蒸し暑い日となり、今日も朝からどんよりムシムシ。お昼頃には急に暗くなって一雨降り、日が傾くにつれて青空が見てきました。 気温は34度、33.6度、そして今日は32.4度と、梅雨明けの報を喜んでばかりいられない暑さです。 今年の夏はお盆過ぎまではそれほど暑くはならず、8月後半から残暑が厳しくなると、テレビの気象情報が伝えていました。あれっ、ラニーニャ現象で猛暑になるのではなかったのでしょうか? お盆があまり暑くないというのは、ボクにとってはかなり朗報ですが、このまま日照時間の少ない日が続くと、農作物の出来も心配ですし、‘夏の商売’に携わっている人たちはお困りになるでしょう。気温が1度上がると夏物消費が1500億円増えると言いますから、冷夏では景気にもよくありません。 例年並みにそこそこ暑くなってくれるのが、八方丸く収まって一番のようですね。
‘朝のご一行’は、6時頃になると大きな声でしゃべりながら参道を上がって来られます。本堂前に‘集合’して、「皆さんも聞いてください」というようなボリュームで小一時間話をして、7時半頃にはまたそれぞれの方向に大きな声でしゃべりながら帰って行かれます。 ‘ご一行’が本堂前に陣取っておられる間も、お参りされる人、ジョギングされる人、散歩をされる人、犬連れの人などが三々五々境内に現れては去っていかれます。夏の朝の境内の日常です。 日差しが強くなってくる時間になると、訪れる人は減ります。点景に人影を入れて写真を撮ろうと思っても、待ちくたびれるほどなかなか人の姿が見えません。日傘を差した麗しき女性などが通りがかってくだされば最高なのですが・・・。 夕方は犬の散歩タイム。厳しい照り返しを避けて、犬の散歩は盛夏ほど遅くなります。境内の照り返しは厳しくはありませんが、境内にたどり着くまでのアスファルトは熱く焼けて、人間なら裸足で歩けないでしょう。もちろん、犬だって熱いに違いありません。 朝の青い光の中、夕方の赤い日差しの中、昼間のトップライトの下で、それぞれ真夏の境内を楽しんでおられます。 い ふ ま じ き 言 葉 を 胸 に 端 居 か な 星野立子
ジメジメしていた表土が乾いて固くなってくると、地面から蝉が這い出した穴がくっきり目立つようになってきました。 今日、境内を一回りして一番多く見た蝉の抜け殻は、ニイニイ蝉のものでした。鳴き声に耳を澄ましてみると、ニイニイ蝉の鳴き声を基調に、アブラ蝉やクマ蝉の鳴き声が聞こえてきます。蝉の鳴き声からは、まだ本格的な蝉のシーズンが到来していないことがわかります。 境内に蝉取りに来る人はめっきり少なくなってしまいました。親子連れまたはおじいさん・おばあさんが孫を連れてくる場合がほとんどで、子供は幼稚園以下。子供たち2〜3人だけで虫取り網と籠を持って蝉取りに来ることは、ほとんど見られなくなってしまいました。 近頃は蝉を捕るどころか、恐くて触れないという子供も多いでしょう。かぶと虫なども店で買う時代。ペットショップで‘いのち’が売り買いされる時代に、その大切さを教えるのはなかなか至難の業だと思います。 蝉の羽化をご覧になったことがありますか? 暗くなった頃、穴から這い出してきた蝉の幼虫が木によじ登り始めます。ある程度の高さまで登ったところで留まると、背中が割れてきて中から白い成虫が出てきて羽化を始めます。最初は羽根も縮んでいますが、次第に広がり、色も付いてきて、やがて立派な蝉になっていきます。 そのプロセスは実に巧妙に組み立てられていて、とても神秘的です。それを観察するだけでも、生命の営みの素晴らしさが子供たちの心に染みいるのではないかと思われるほどです。 でも、大人が蝉を恐いのでは、暗い中、懐中電灯で穴蝉を探して持って帰ることすら難しいですね。じれったいほど蝉取りも下手な大人が多いですし・・・。
「百日紅がよく咲く年は、夏の暑さが厳しい」などといいますが、今年はどうでしょう? 地球温暖化やヒートアイランド現象で、都会の夏は昔よりも暑くなっているでしょうから、冷夏といえどもよく咲くのではないでしょうか。 百日紅も背が低いうちは花が楽しめますが、ヒョロッと伸びた先に花を付けている木は、花びらがこぼれ落ちて初めて咲いていたことがわかります。本堂の北側にある百日紅など、咲いているのかどうか、さっぱりわかりません。 今、三重塔の脇には2本の百日紅があります。1本は痛々しいほど朽ちていますが、古い案内図を見ると、かつて塔の回りには何本もの百日紅があり、ちょっとした夏の名所だったようです。それを知って、一昨年、実生の苗を塔の近くに移植しました。早く大きくなって、もう一度夏の名所として復活できるように、せっせと肥料を与えています。 自坊の百日紅は、紅い花が咲く台木に白い花の咲く枝を接ぎ木をした、紅白の花が同時に咲く住職ご自慢の木です。紅が先に咲いて、1週間ほど遅れて白が咲き出します。 この百日紅、去年は8月末にやっと咲き出しました。年によって咲く時期はかなり違うようですが、百日紅の開花は気候の影響を如実に受け、また個体差も大きいのかも知れません。 白い花は写真を撮っても雲と同化したように写ってあまり目立たず、せっかく咲いているのにかわいそうです。
カンカン照りをものともせず、しっかり咲く木槿も、夕方には萎んでしまいます。暑さに負けたわけではありません。1日花の宿命です。 「 「東海の水と白頭山が涸れてすり減るまで 天の神の助けのもと わが国万歳 無窮花の花、三千里 華麗なる江山 大韓の民 大韓の道 守りたまえ」 韓国の国歌「愛国歌」。木槿は韓国の国花です。日本の「ムクゲ」という呼び方は、この「無窮花」の読みに由来しています。 暑い時でも、見るだけで清々しい気持ちにしてくれる木槿。ありがたい花です。 百日紅と木槿以外に何か咲いていないだろうかと探したら、 「盗人萩」とは穏やかならぬ名前を持ったこの草。実(豆)が服などに付いてきてやっかいですが、本当に可愛いい花です。実がくっつくことからその名前が付いたのか思っていましたが、さにあらず。実の形が盗人の忍び足の跡に似ているからだそうです。盗人が忍んで歩いた足跡というのを見たことがありませんので何とも言えませんが・・・。実に突飛で面白いネーミング。でも、この可愛い花にはちょっと可哀想な気がします。 25日に「宝物虫払会」が終わり、もうしばらくすると一気にお盆行事に突入。来週からはお盆の棚経に回り始めます。 最も暑い季節を迎えます。皆さまも寝冷えや暑気あたりをなさいませんように。 歩 を ゆ る め 木 槿 の 花 の 白 感 ず 村越化石 |